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第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 1〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 1〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働基準法及び労働安全衛生法

〔問 1〕
労働基準法の監督機関及び雑則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労働基準監督官は、労働基準法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。

B 労働基準監督官は、労働基準法を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

C 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(2か月以内の期間を定めて使用される者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴等の事項を記入しなければならない。

D 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額等の事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

E 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。

皆様、こんにちは社労士TKGBです。

それでは本日の解説をはじめさせていただきます。

ABの選択肢は「署」と「所」の違いをイメージとしてつかむことができていれば解ける問題です。

社会保険労務士試験の試験科目は発表された要項によると、

1、労働基準法及び労働安全衛生法
2、労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
3、雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
4、労務管理その他の労働に関する一般常識
5、社会保険に関する一般常識
6、健康保険法
7、厚生年金保険法
8、国民年金法

の8科目が午前の選択試験で実施され、択一試験は一般常識というくくりで、「労務管理その他の労働に関する一般常識」と「社会保険に関する一般常識」が5問ずつの計10問という形で、択一試験は7科目で実施されます。

このうち、1~4の「労働基準法及び労働安全衛生法」「労働者災害補償保険法」「雇用保険法」「労務管理その他の労働に関する一般常識」の4科目を大きなとらえ方で、労働保険科目といいます。
そして、5~8の「社会保険に関する一般常識」「健康保険法」「厚生年金保険法」「国民年金法」の4科目をおおきなとらえ方で、社会保険科目といいます。

今回の問題は「労働基準法及び労働安全衛生法」という試験科目ですので、社会保険労務士試験の試験科目としてのおおきなとらえ方では、労働保険科目ということができます。

この労働保険科目でのいろいろな申請や苦情、相談、届出その他の窓口は「労働基準監督署」と「公共職業安定所」が1番最初の窓口になることが多いのです。

では、この2つの窓口の1番大きな違いはどのようにイメージすると、社会保険労務士試験に役立つ覚え方ができるのでしょうか。

それは「署」と「所」という最後の漢字で覚えてください。日本語での読み方は、いずれも「しょ」と読みますね。

しかし、「署」には「こわい」「強制力がある」「さからってはいけない(罰則がある)」というイメージをもっていただくとよろしいかと思います。

逆に「所」には「やさしい」「強制力はない」「さからってもいいかな?(罰則はない)というイメージを持っていただくとよろしいかと思います。

といっても、これだけではわかりにくいですよね。

具体的な例をご紹介します。あなたが今まで生きてきた人生の中で、「署」がつくお役所にはどのようなものがあるか普段の生活で認識したことはありますか。

私であれば、「警察署」「税務署」などがありますね。いずれも「こわい・強制力がある・逆らったら罰則がある」というイメージを私個人的には持っています。

考え方としては、「署」という漢字がついている労働基準監督署も「使用者」「労働者」の関係上、労働者の人権を守るために、使用者が労働保険関係上の違反行為をすれば「厳しい対応」をとりますね。まさに、「警察署」と同じような権限をもつ場合もありますね。

今のような「署」と「所」というイメージを持って頂くと今回の〔問 1〕のABはそれぞれ必要な場合は問題文Aや問題文Bにあるような厳しい対応をとることができるのだなぁ、というイメージでそれぞれ正しい(正答肢)という答えが導き出しやすくなるのではないでしょうか。

Aの労働基準監督官とは、労働基準監督署で働いている公務員のことです。労働基準法違反の罪については、警察官(警察官の正式名称は司法警察官といいます)と同じような権限を持ちますね。だから○(正答肢)となります。

Bの労働基準監督官は使用者や労働者という労働関係の当事者について警察官と同じ権限を持ちますので、「報告」、「出頭」という権限をもちますね。だから○(正答肢)となります。

後半の3つは使用者の義務についての問題ですね。いずれも「しなければならない」という「義務」となっていることに注意できるように、あなたも文末の表現を気にする癖をつけるようにされると社会保険労務士試験問題を解く上ではよろしいのではないかと思います。

Cに関しては労働者名簿の作成についての問題です。使用者は「労働者名簿」と「賃金台帳」については、労働者を使用する場合は作成する義務があります。それは労働者の人権を守るために、あとで使用者が口から出任せを言って、労働者の人権が侵害されないようにするために、いつどういう条件でどれだけ働いたかなどを決まった書式で作成しなければいけないのです。ただし、その日初めてその使用者の元で、働き、明日以降は継続して働かないという形態の労働者に対しての労働者名簿を作成することは困難な場合もあります(いわゆる「日雇い」という形態で働く人のことですね)。そういう「日日雇い入れられる者」に関しては、必ず「義務」というように労働者名簿を作成しなければならない、という義務までは要求されていません(もちろん、あとで何かトラブルが発生したときのために、日日雇い入れられる者に対しても労働者名簿を作成したほうが望ましいのですが・・・)。ここで、私が作成という言葉であらわしているのが労働基準法では「調製」という言葉で労働基準法107条に記されています。ここでの「調製」という言葉は、「作成」という意味でとらえてください。もちろん、「日日雇い入れられる者」にも、「賃金台帳」の作成は必要です。これは、1日だけしか働かなくても、「賃金」は必要ですからね。

ですから、Cが×(今回の〔問 1〕での解答)となります。

続けて、Dですが、Cの解説で触れたように賃金台帳は、どのような形態の労働者にも必要不可欠です。よってDは○(正答肢)となります(労働基準法108条)。

最後のEですが、労働基準法上での保存期間は基本的に「3年」であると覚えておいてください。よってEは○(正答肢)となります(労働基準法109条)

結論として〔問 1〕の解答は「C」となります。