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第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 2〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 2〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働基準法及び労働安全衛生法

〔問 2〕
労働基準法に定める労働契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 労働基準法で定める基準に違反する労働条件を定める労働契約の部分は、労働基準法で定める基準より労働者に有利なものも含めて、無効となる。

B 労働契約の期間に関する事項、就業の場所及び従事すべき業務に関する事項は、使用者が、労働契約の締結に際し、労働者に対して書面の交付によって明示しなければならない事項に含まれている。

C 使用者は、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合であっても、解雇してはならない。

D 使用者が、労働基準法第20条所定の予告期間を置かず予告手当の支払もしないで労働者に解雇の通知をした場合には、解雇の通知後30日の期間を経過したとしても解雇の効力は発生しないとするのが最高裁判所の判例である。

E 使用者は、労働者の責に帰すべき事由によって解雇する場合には、労働者の帰責性が軽微な場合であっても、労働基準法第20条所定の解雇予告及び予告手当の支払の義務を免れる。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aの問題文の考え方として、労働基準法は、「弱者=労働者」を使用者側からの攻撃から守るための法律です。そして、労働基準法の基準は最低ラインですから、このラインを下回る基準は「許さない=無効である」というスタンス(態度)をとっています。ですから、労働契約の中で、ある契約は下回るから無効、別の契約は上回っているから有効、というように、個々の事例をみて、実情を考慮して判断されることになります。ですから、今回の問題文での「有利なものも含めて」という部分はダメですね。これをみとめると、最低限のラインの労働基準法まで契約内容がさげられる可能性が出てきますね。だから、労働基準法には「労働基準法を理由にして条件をさげてはならない」という趣旨の規定の労働基準法第1条第2項が「労働基準法で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るようにつとめなければならない。」とされていますね。よって、Aは×(誤答肢)となります。

Bの問題文は、労働契約の締結時に使用者が労働者に明示する内容についての問題ですね。想像してみてください。あなたには、大切な家族がいたとします。その家族と安定した生活を営むために働くとします。あなたの家族に働くことについて伝えなければいけない大切なことは何でしょうか。

次の具体例を見てください。

1、2011年4月1日午前9時から兵庫県神戸市中央区1丁目1番地1号の合格製菓にてケーキに使うスポンジ部分をつくる仕事がはじまるよ。仕事が終わるのが夕方の5時ぐらいだから、帰宅は6時半頃になるよ。そうそう朝、家を出るのは7時半ぐらいになる。土日が休みで、8月の第2週がまるまるお休みになると聞いているよ。そうそうクリスマス前の12月になれば、残業が2時間、つまり夜の7時まで仕事が延長されると聞いたよ。この仕事は、2014年の3月31日までの契約なんだ。

2、給料は毎月25日に20万円の基本給に通勤手当と家族手当、住居手当等が5万円で計25万円がゆうちょ銀行に振り込まれる予定だよ。

以上の2つが家族に話をする内容ですね。そして、

3、朝の9時から始まり10時30分から10時45分まで休憩。12時30分から13時15分まで昼休憩。15時から15時15分まで休憩。17時終業で実労働時間は6時間45分。12月以外は残業は無し。仕事について最初の1週間は、研修を兼ねて担当者がOJTとして新入社員に指導助言をする。賃金計算は20日締めで当月25日支給。

という内容は、労働者本人が把握しておく内容ですね。

以上の具体例から判断する労働条件を簡単にピックアップしましょうか。

1、仕事をはじめる月日、終わる月日。
2、仕事をはじめる時間、終わる時間。
3、仕事の場所、仕事の内容。
4、給料、残業など。

本当は労働基準法第15条に関連して絶対的明示事項として、就業規則に必ず明記するものとしての
①労働契約の期間②就業の場所及び従事すべき業務③始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換。④賃金(退職手当及び相対的明示事項②に規定する賃金を除く。以下④において同じ)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇級⑤退職(解雇の事由を含む)

というものがあり、相対的明示事項としては、定める場合には就業規則に明記するものとしての
①退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期②臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与等並びに最低賃金額③労働者に負担させるべき食費、作業用品等④安全及び衛生⑤職業訓練⑥災害補償及び業務外の傷病扶助⑦表彰及び制裁⑧休職

という定めがあります。

しかし、私の本音としては、これをいちいち覚えるのは「無理」です。

だから、さきほどのいつからいつまでどこでどんな仕事をする。給料はいくらで何時に家を出て何時に帰る。という家族に伝えることから連想する方が、実際の社会保険労務士試験対策としては有効だと思います。私自身は、そういうイメージを頭に描くことにより、「絶対的明示事項」の過去問を解くようにしていました。そして、この絶対的明示事項は原則として家族にも伝えることが出来るように「書面の交付」による明示だというイメージを持ってくださいね。

ですから、Bの問題文の内容は「その通り」となりますね。よってBは○(今回の〔問 2〕の解答)となります。

Cの問題文は、「解雇制限」についての問題ですね。これは「療養開始後3年超えたとき、平均賃金1200日分の打切補償」と「天災事変その他やむを得ない事由の事業継続不能」の2つの場合だけは、特例として「すべての者を解雇できる」とイメージしてくださいね。ですから、Cは×(誤答肢)となります。

Dの問題文は、この問題が出題された二年前、つまり平成19年の第39回社会保険労務士試験でも、同じ問題が出題されたのです。また、平成19年の第39回社会保険労務士試験の解説の時にも、くわしくご説明しますが、平成19年の第39回社会保険労務士試験の午後の択一試験労働基準法〔問4〕Cの問題文は次のような内容でした。
「C 使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、又は解雇予告手当の支払をしないで労働者に解雇の意思表示をした場合には、その意思表示をどのように受け取るかは労働者の選択にまかされていると解するのが相当であるから、労働者は同条所定の解雇の予告がないとしてその無効を主張することができ、又は解雇の無効を主張しないで解雇予告手当の支払を請求することができるとするのが最高裁判所の判例である。」という問題文でした。もちろん、×(誤答肢)で、この問題文に対する考え方は、「予告手当の支払なしにした即時解雇の意思表示は、即時解雇としての効力は発生しないが、使用者が特に即時解雇に固執しない限り、解雇予告の意思表示を含むものと解し、30日を経過するか、又は解雇の通知後に予告手当を支払ったときは、そのいずれかの時から解雇の効力が生ずるものと解すべきである。」という条件付無効説が最高裁判所の判例となっています。わかりやすくいえば、「あなたは、首だ。解雇だ。明日から来なくて良いよ。」と社長が、社員に言ったとしても、社員は首、つまり解雇にはなりません(即時解雇無効)。でも、その社長が意思表示をした内容は、意思表示をしたときが、解雇予告のスタートとしてカウントされます。つまり、「30日後に解雇しますよ。」という解雇予告を今、行ったのですよ、という扱いにしますよ、というのが今回の問題の趣旨なのです。正直なところ、この判決を出した最高裁判所は「使用者側」よりだなぁ、と私個人は思っています。ですから、今回の平成21年度の第41回社会保険労務士試験の午後の択一試験の労働基準法〔問 2〕のDの問題文は、平成19年の第39回社会保険労務士試験択一試験労働基準法〔問4〕Cと全く同じパターンの問題ですね。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題文は、「軽微」という単語をみた瞬間、「アウトォ!」と私は叫んでしまいました(本試験の時には叫んではダメデスよぉ)。労働基準法は「弱者=労働者」を守る法律ですから、「軽微」で、労働者に不利な扱いをするわけがありません。もちろん×(誤答肢)となります。

結論として今回の〔問 2〕の解答は「B」となります。