第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 4〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 4〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)

〔問 4〕 賃金日額及び基本手当の日額に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問においては、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者及び船員法第1条に規定する船員である被保険者は含めないものとする。

A 賃金日額の計算に当たり算入される賃金は、原則として、算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6か月間に支払われたものに限られる。

B 賃金日額の計算に当たり、家族手当、通勤手当及び住宅手当は、すべて賃金総額から除外されるので、それらの多寡によって基本手当の日額が異なることはない。

C 受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって一定の基準を上回る収入を得た日については、基本手当が減額または不支給となり得るが、その場合の基準及び計算方法に関しては、当該受給資格者が特定受給資格者に当たるか否かによって異なることはない。

D 基準日に52歳であった受給資格者Aと、基準日に62歳であった受給資格者Bが、それぞれの年齢区分に応じて定められている賃金日額の上限額の適用を受ける場合、Aの基本手当の日額はBのそれよりも多い。

E 基準日における受給資格者の年齢に関わらず、基本手当の日額は、その者の賃金日額に100分の80を乗じて得た額を超えることはない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

雇用保険法における「賃金日額と基本手当日額」という定義は、次のようにイメージしてください。まず、賃金日額は雇用保険法第17条1項にて「賃金日額は、算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6箇月間に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く。)の総額を180で除して得た額とする。」と定義されています。ここで算定対象期間とは、離職の日以前2年間(特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間でも可)のことを算定対象期間といいます。雇用保険法による「賃金日額」をわかりやすくいいかえると、「辞める日までの2年間の範囲内で、定期的な給料としてもらったお金の1番最新のものから6箇月の期間を180でわって1日あたりの平均額を出したもの」となります。 次に雇用保険法における「基本手当」の定義ですが、「基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12箇月意地用であったときに、支給する。」という雇用保険法第13条1項で規定されています。そして、今回の問題で問われている基本手当日額に関しては、雇用保険法第16条にて、

(基本手当の日額) 第十六条  基本手当の日額は、賃金日額に百分の五十(二千三百二十円以上四千六百四十円未満の賃金日額(その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額)については百分の八十、四千六百四十円以上一万千七百四十円以下の賃金日額(その額が同条の規定により変更されたときは、その変更された額)については百分の八十から百分の五十までの範囲で、賃金日額の逓増に応じ、逓減するように厚生労働省令で定める率)を乗じて得た金額とする。 2  受給資格に係る離職の日において六十歳以上六十五歳未満である受給資格者に対する前項の規定の適用については、同項中「百分の五十」とあるのは「百分の四十五」と、「四千六百四十円以上一万千七百四十円以下」とあるのは「四千六百四十円以上一万五百七十円以下」とする。

と規定されています。そして厚生労働省のホームページによると、

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002encm.html

のURLにて2012年8月1日から基本手当日額を変更すると発表しています。

くわしくは

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002encm-att/2r9852000002envx.pdf

のURLをご覧頂き、A4用紙9枚に印刷してみると、内容がよくお分かりになると思います。

正直なところ、私が社会保険労務士試験を受験したときにはもっともっと簡単な計算式というか一覧表を覚えればすんだのですが、今現在はかなり計算式が複雑になっています。

基本手当日額の計算式及び金額、という http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken/pdf/kihonteate.pdf のURLの意味は60歳未満であれば賃金日額に応じて、賃金日額の80%~50%の金額となる基本手当日額がもらえます。60歳から65歳の人は賃金日額の45%~80%がもらえますよ、という意味です。

現実的には2013年の社会保険労務士試験問題対策としては、「60歳未満は賃金日額の50~80%、60~65歳は賃金日額の45~80%の額が基本手当日額となるのだ」というイメージを持って下さい。

ここでは、2013年の社会保険労務士試験対策用に限定して上のURLのA4用紙9枚に印刷した中から私が必要だと思う情報だけをご紹介しますと、次の表となります。

賃金日額の上限額及びそれに伴う基本手当の上限額

離職の日(基準日)の年齢
賃金日額の上限額基本手当の日額の上限額
30歳以上45歳未満14,310円7,155円(14,310円×50%)平成24年8月1日以降は
45歳以上60歳未満15,740円7,870円(15,740円×50%)左の上限額が適用されて
60歳以上65歳未満15,020円6,759円(15,020円×45%)いますので、この金額は
30歳未満又は65歳以上12,880円6,440円(12,880×50%)
おさえてくださいね。

実際に細かい基本手当日額を計算させることは2013年の社会保険労務士試験には出題されないのではないかと私個人としては考えています。そう考える理由としては、インターネットで「基本手当日額 計算式」で検索すると、でてきますが、一回見たら「もういいわ。ごちそうさま!ゲップぅ」というくらい細かい式ですからこの式を社会保険労務士試験受験生の立場で覚えなさい、というのは酷すぎると私個人としては思うからです。基本手当日額の計算式を暗記するよりも、もっと過去の社会保険労務士試験に出題された他の内容を覚えていく方が全科目が社会保険労務士試験合格の70%ラインに到達しやすいのではないかと個人的に思うからです。あくまでも、かって社会保険労務士試験問題に苦しんだ受験生としての立場からの考え方となります。

まとめると「賃金日額」は最近6箇月の平均の賃金であり、「基本手当日額」は、賃金日額の8割~5割前後(60歳~65歳だけ80%~45%)の額が求職中の生活費として支給されるということになります。

では、具体的な問題を見ていきましょう。

Aの問題文は、「原則として・・最後の6箇月・・・」とあるので「その通り」ですね。よってAは○(正答肢)となります。

Bの問題文は「かつべしじゅりい」を知っていますか?という問題です。「かつべしじゅりい」とは「家通別子住臨1」のさいしょの読み仮名であり、「家通別子住臨1」とは、

家族手当 通勤手当 別居手当 子女教育手当 住宅手当 臨時に支払われた賃金 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

の頭文字をあらわしています。「労働保険」つまり、「労働基準法」「労働者災害補償保険法」「雇用保険法」「徴収法」「安全衛生法」では、「かつべしじゅりい」とは、共通の言葉ですので、何回か「かつべしじゅりい」と口ずさんで、覚えておいてください。今回は、「かつべしじゅりい」は基本的な賃金に入るよ、ということなので、Bは×(今回の〔問 4〕の解答)となります。念のために、「かつべしじゅりい」は原則として基本的な賃金には、入りますが、労働基準法の「割増賃金(残業手当)」を計算するときには、入りません。具体的な例をあげると、Aさんは4月に1日に8時から17時(1時間休憩)の8時間労働で、20日間勤務という形態で、基本給は16万円で、社員一律の手当としての家族手当が2万円、通勤手当が3万円、住宅手当が3万円で4月の給与総計は24万円の予定だったのですが、10日間ほど残業したとします。その10日間は17時から19時まで各日2時間ずつの残業をしました。Aさんの4月の給与総計はいくらか計算しなさい、という問題が出たときに、24万円÷20=12,000円が1日当たりの給料である。12,000円÷8時間=1,500円が1時間当たりの賃金である。2時間の残業だから、1,500円×2時間×1.25(今回の割増率は2割5分でしたね)=3,750円が1日当たり加算されるので、10日間では37,500円が加算される。よって24万円+37,500円=277,500円がAさんの4月の給料です、としたら大間違いです。 たしかに、基本的な考え方として、総額24万円を20日でわると、1日あたり12,000円の賃金という考えかたは間違いではありません。 しかし、割増賃金計算には「かつべしじゅりい」は含めません。よって16万円÷20日=8,000円が割増賃金を考える上での基本額となります。だから、1時間当たり1,000円の賃金ですので、1,000円×2時間×1.25=2,500円が1日当たりの加算額となります。10日間では、25,000円となりますね。ですから、正しくは、16万円+25,000円+家族手当2万円+通勤手当3万円+住宅手当3万円=265,000円がAさんの給与総額となります。 「かつべしじゅりい」は基本的な賃金がきまったあとで、あとから加算して総計を出すものなのだという考え方であれば、「労働基準法」での「割増賃金」の難問が出たとしても、「バッチリですね。

Cの問題文は、「自己の労働=内職」について聞いてきている問題ですね。失業の認定中の基本手当額を減額するか否かという問題ですので、ばっちり8時間正規の労働をしているという状況はありえません(それならば、基本手当自体がすべてパーでんねん、となりますからね。)。そして、基本手当の額については、すでにご説明したように、「離職日の年齢」「賃金日額」の2点で決定します。ですから、基本手当の額は同じ年齢で同じ賃金日額ならば、 特定受給資格者だろうが特定理由離職者だろうが一般の受給資格者だろうが、同じ基本手当の額となります。「特定受給資格者」「特定理由離職者」「一般の受給資格者」で変わるのは、基本手当をもらう日数、つまり所定給付日数がかわるのでしたね。よって今回のCは○(正答肢)となります。

Dの問題文は、

賃金日額の上限額及びそれに伴う基本手当の上限額

離職の日(基準日)の年齢
賃金日額の上限額基本手当の日額の上限額
30歳以上45歳未満14,310円7,155円(14,310円×50%)平成24年8月1日以降は
45歳以上60歳未満15,740円7,870円(15,740円×50%)左の上限額が適用されて
60歳以上65歳未満15,020円6,759円(15,020円×45%)いますので、この金額は
30歳未満又は65歳以上12,880円6,440円(12,880×50%)
おさえてくださいね。

の表を覚えていますか?という問題です。 この表によれば、52歳のAさんの上限額は7,870円 62歳のBさんの上限額は、6,759円となり、 あきらかにAさんの方が多いですね。よってDは○(正答肢)となります。

表をきちんと覚えていない人は、45~60歳が一番多い、30~45歳が2番目、60~65歳が3番目というイメージをもっているだけでも、社会保険労務士試験問題を解くときには案外役にたつものです。

Eの問題文は、「その通り」ですね。80%の給付率が「上限」ですからね。よってEは○(正答肢)となります。

結論として今回の〔問 4〕の解答は「B」となります。

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