第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 5〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 5〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)

〔問 5〕 一般被保険者の基本手当以外の求職者給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 受給資格者が公共職業訓練等を行う施設に付属する宿泊施設に寄宿し、300メートル余りの距離を徒歩により通所する場合にも、通所手当が支給される。

B 受講手当の日額は、基準日における受給資格者の年齢に応じて、500円又は700円とされている。

C 正当な理由がなく自己の都合によって退職したため、基本手当について離職理由に基づく給付制限を受けている受給資格者であっても、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けることとなった場合においては、当該公共職業訓練等を受ける期間について、技能習得手当を受給することができる。

D 傷病手当の日額は、当該受給資格者の基本手当の日額に100分の90を乗じて得た金額であり、支給される日数は、同人の所定給付日数から当該受給資格に基づき既に基本手当を支給した日数を差し引いた日数が限度となる。

E 受給資格者が、離職後公共職業安定所に出頭して求職の申込みを行う前に、疾病又は負傷によって職業に就くことができない状態になった場合でも、そのような状態が30日以上継続したことについて公共職業安定所長の認定を受ければ、傷病手当を受給することができる。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aの問題文は「通所手当は、公共職業訓練等を行う施設への通所のため交通機関、自動車等を利用する受給資格者に対し、通所距離が原則として片道2㎞以上である場合に月額42,500円を限度として支給される。」という雇用保険法施行規則第59条1項について問いかけてきている問題です。ここで、「交通機関」「自動車」「片道2㎞以上」というキーワードで判断してください。徒歩でテクテクと歩くのではダメですよ、という意味ですね。もっとわかりやすく言い換えると、「通所手当」と項目を儲けて支給するのですから、公共職業訓練等を行う施設まで通所するのに金銭負担がかかる人に限定して、お金を出してあげましょう、という趣旨ですね。よってAは×(誤答肢)となります。

Bの問題文は「受講手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けた日について、日額500円(受給資格者が平成21年3月31日から平成24年3月31日までの間に公共職業訓練等を受けた場合における当該期間内の受講手当については700円)を支給するものである。」という雇用保険法施行規則第57条、同則附則2条について問いかけてきている問題です。今(2013年6月12日現在)は受講手当の日額は500円です。また、受講開始日が平成24年4月1日以降である職業訓練を受講する場合、受講手当に上限額(20,000円)が適用されます。よってBは×(誤答肢)となります。

Cの問題文は「被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、第21条の規定による期間(待機期間)の満了後1箇月以上3箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の期間については、この限りでない。」という雇用保険法第33条1項及び「①技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(2年を超えるものを除く。)を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について支給する。②技能習得手当は、受講手当及び通所手当とする。③技能習得手当は、鉱業職業訓練等を受講した日であって、基本手当の支給の対象となる日について支給される。」という雇用保険法第36条1項、雇用保険法第24条1項、雇用保険法施行令第3条1項、雇用保険法施行規則第56条、第57条、第59条について問いかけてきている問題です。技能習得手当は、基本手当がもらえるときには、同じようにもらえて、基本手当がもらえないときには、同じようにもらえない、運命共同体だと法律で規定していますね。Cの問題文は、「・・・・離職理由に基づく給付制限を受けることとなった場合においても、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けることとなった場合においては、・・・」とあるので、さきほどご紹介した雇用保険法第33条1項の規定により、基本手当がもらえますね。ですから、技能習得手当も、基本手当と運命共同体ですから、もらえますね。Cの問題文は、技能習得手当がもらえる前提の「基本手当」がもらえないのではないか?と思わせるような「ひっかけ問題」でしたね。よってCは○(今回の〔問 5〕の解答)となります。

ここで、雇用保険法で失業したときにもらうことができるものについてまとめてみましょうか。

まず、〔問 1〕の解説で私が最初にご紹介した

雇用保険法の目的として「①雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。 ②雇用保険は、1条の目的を達成するため、失業等給付を行うほか、雇用安定事業及び能力開発事業を行うことができる」と雇用保険法第1条と第3条に規定されています。

という文章を見てみましょう。雇用保険法は

雇用保険法は(1)失業等給付 ☆☆☆☆☆☆(2)雇用安定事業 ☆☆☆☆☆☆(3)能力開発事業

の(1)を行い、(2)や(3)を行うことができる、と規定されていますね。 この中で読んだ字の通り、失業等給付が失業したときにもらうものを意味しています。

実は、雇用保険法は1947年(昭和22年)に制定された失業保険法(昭和22年法律第146号)に代わり、1974年(昭和49年)に制定されたのがこの法律である。ですから、もともとは、失業保険法というのが正式名称だったのです。ただ、失業の時だけではなく、失業する前の雇用の継続をはかる目的である雇用安定事業や今現在働いているのだけれども、能力をより高めるために働きながら職業訓練や技能講習などをうけることができるようにした能力開発事業を時代の要請を背景に付け加えて名称を昭和49年に雇用保険法と変えたのです。

そして、昭和49年以前からあるのが失業保険のメインとなる「失業等給付」なのです。失業等給付は①求職者給付②就職促進給付③教育訓練給付④雇用継続給付の4種類ありますが、雇用保険法第10条にて

↓↓↓以下は雇用保険法第10条の内容です。↓↓↓

第三章 失業等給付

第一節 通則

(失業等給付) 第十条  失業等給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付とする。 2  求職者給付は、次のとおりとする。 一  基本手当 二  技能習得手当 三  寄宿手当 四  傷病手当 3  前項の規定にかかわらず、第三十七条の二第一項に規定する高年齢継続被保険者に係る求職者給付は、高年齢求職者給付金とし、第三十八条第一項に規定する短期雇用特例被保険者に係る求職者給付は、特例一時金とし、第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に係る求職者給付は、日雇労働求職者給付金とする。 4  就職促進給付は、次のとおりとする。 一  就業促進手当 二  移転費 三  広域求職活動費 5  教育訓練給付は、教育訓練給付金とする。 6  雇用継続給付は、次のとおりとする。 一  高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金(第六節第一款において「高年齢雇用継続給付」という。) 二  育児休業給付金 三  介護休業給付金

(就職への努力) 第十条の二  求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならない。

(未支給の失業等給付) 第十条の三  失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その者に支給されるべき失業等給付でまだ支給されていないものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。 2  前項の規定による未支給の失業等給付の支給を受けるべき者の順位は、同項に規定する順序による。 3  第一項の規定による未支給の失業等給付の支給を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

(返還命令等) 第十条の四  偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。 2  前項の場合において、事業主、職業紹介事業者等(職業安定法 (昭和二十二年法律第百四十一号)第四条第七項 に規定する職業紹介事業者又は業として同条第四項 に規定する職業指導(職業に就こうとする者の適性、職業経験その他の実情に応じて行うものに限る。)を行う者(公共職業安定所その他の職業安定機関を除く。)をいう。以下同じ。)又は指定教育訓練実施者(第六十条の二第一項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練を行う者をいう。以下同じ。)が偽りの届出、報告又は証明をしたためその失業等給付が支給されたものであるときは、政府は、その事業主、職業紹介事業者等又は指定教育訓練実施者に対し、その失業等給付の支給を受けた者と連帯して、前項の規定による失業等給付の返還又は納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができる。 3  徴収法第二十七条 及び第四十一条第二項 の規定は、前二項の規定により返還又は納付を命ぜられた金額の納付を怠つた場合に準用する。

↑↑↑ここまでが雇用保険法第10条の内容でした。↑↑↑

Dの問題文は、傷病手当の額についての考え方について問いかけてきている問題です。傷病手当は基本手当のかわりにもらうものですから、額は同じですね。ただし、傷病のために基本手当がもらえないかわりにもらうものですから、基本手当のように所定給付日数の延長という特例は一切なかったですね。それで、わざと「仮病」で傷病手当を受給しようとしても、すぐに所定給付日数がきれるようにしているのですね。Dの問題文の「100分の90」が余計でしたね。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題文は「よく考えてください」傷病手当は、基本手当をもらうかわりにもらうものですね。つまり、基本手当がもらえる人だけが傷病手当をもらう権利かあるのですね。基本手当をもらうためには、「離職後、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申し込みをしなければならない。」と雇用保険法第15条に規定されていましたね。求職の申し込みをしなければ、「基本手当」はもらえなかったのですね。 ということは、基本手当をもらう前提としての「求職の申し込み」は通過していなければいけませんね。よってEは×(誤答肢)となります。

結論として今回の〔問 5〕の解答はCとなります。

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