第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 7〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 7〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)

〔問 7〕 雇用保険制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 教育訓練給付に要する費用については、原則として、その8分の1を国庫が負担するものとされている。

B 失業等給付は、求職者給付、教育訓練給付及び雇用継続給付の3つである。

C 過去6か月以内に、雇用する被保険者を特定受給資格者となる理由により離職させた事業主は、その数が一定の基準を超える場合には、いわゆる雇用保険二事業(雇用安定事業及び能力開発事業)の対象から除外され、これらの事業による一切の助成金、奨励金等の支給を受けることができない。

D 高年齢雇用継続給付は、賃金の減少分を補うものであり、賃金に準じる性格を有するので、所得税及び住民税の課税対象とされている。

E 雇用保険法では、教育訓練給付対象者や、未支給の失業等給付の支給を請求する者に関しても、一定の行為について懲役刑又は罰金刑による罰則を設けている。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

今回の問題はAからEまでバラバラのところから出題されていますね。1つ1つの事例について解説していきましょう。

まずは、厚生労働省のホームページの http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000032rgy-att/2r98520000032rif.pdf のURLを「軽く斜め読み」してみてください。国庫負担についての具体的な数字が紹介されています。

Aの問題文は「国庫負担についてわかっていますか?」という問題です。雇用保険法での国庫負担は2つあります。実際に保険給付されるお金の一部を国庫負担する場合と、公務員つまりお役所が失業者などに対して申請を受け付けたり、アドバイスをしたりという手間暇や使用する紙やボールペン代などは「事務費」として、100%国庫負担です。ですから、ある失業者の方がハローワーク(公共職業安定所)に言って、「仕事をなくしました。お金をください。」と窓口に相談した後で、実際にお金をもらうまでに、失業者からは一円もお金をとっていないはずです。これらの諸手続にかかる経費はすべて「事務費」としてむ国がお金を出しています。これが国庫負担100%となっています。それに引き換え、実際に求職者給付などで、「基本手当(日々の生活費)」などのお金は本来、事業主と被保険者で半額ずつわけて保険料を、いざ失業したときにのために、毎月少しずつ雇用封建の保険料として納付しているはずです。そうして普段から貯めていった保険料の総額から100%出されるのが理想です。しかし、理想はあくまでも理想であって、現実にはお金がとても足りないわけです。社会保険での「年金」と同じで、足りない分は国が「国庫負担」という形でお金を出しているわけです。もちろん、これらの国から出るお金は、もともと色々な名目での「税金」として、我々が過去に国や都道府県や市町村などに支払ったお金ですから、「堂々と国庫負担をしてもらう」ことが必要です。その国庫負担の額は 今現在は

(1)一般求職者給付の4分の1は国庫負担です。

(2)日雇い労働求職者給付金の3分の1は国庫負担です。

(3)広域延長給付の費用の3分の1は国庫負担です。

(4)雇用継続給付の8分の1は国庫負担です。

(5)高年齢求職者給付金、就職促進給付、教育訓練給付、雇用保険二事業に関しては国庫負担はありません。

以上の(1)~(5)をわかりやすく解説すると、雇用保険法を根拠にしてお金をもらう場合に、さきほどの〔問 6〕で学んだ、60歳以上の人に対する高年齢求職者給付金(高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金)にたいしては、国庫負担がないのだな。つまり、自分たちで勝手にやれ、ということなんだな。そこまでは国は面倒見切れないし、年金の繰り上げ支給が申請できる60歳以上になっているからな。そして、延長給付のうち広域延長給付だけは費用が特にかかるから3分の1の国庫負担なんだな。それ以外の「個別延長給付・全国延長給付・訓練延長給付」に関しては、一般の求職者給付金のくくりのなかに入るから「4分の1」のこったふたんの範囲内なんだな。また、日雇で働く人に対する日雇労働求職者給付金も費用が特にかかるから国庫負担は3分の1なんだな。それ以外の一般の求職者給付金は4分の1なんだな。だから、短期雇用の場合も一般に入れて4分の1の国庫負担なんだな。また、雇用継続給付としての「育児休業給付」と「介護休業給付」に関しては、国庫負担は8分の1なんだな。これは他の案件に対して、比較的雇用保険法だけでもやっていけるからなんだな。

という考え方をもっとまとめます。

雇用保険法による保険給付としては、雇用保険法第1条から第3条までに規定しているように「失業等給付(昔の失業保険法のなごり)」「雇用安定事業」「能力開発事業」の3つだけでした。このうち「雇用安定事業」「能力開発事業」の雇用保険二事業に関しては、国庫負担はありません。つまり、事業主からの雇用二事業の保険料のみで運営しています。

次に失業等給付には国庫負担があるのですが、失業等給付は「1、求職者給付」「2、就職促進給付」「3、教育訓練給付」「4、雇用継続給付」の4つに分類できました。

このうち、「2、就職促進給付」「3、教育訓練給付」の2つにかんしても、国庫負担はありません。つまり、の2つに関しては、事業主と被保険者が半分ずつ負担する保険料で運営することになります。

残ったのは「1、求職者給付」「4、雇用継続給付」の2つですね。この2つには国庫負担があります。「4、雇用継続給付」は「(1)高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金)」「(2)育児休業給付(育児休業基本給付金と育児休業者職場復帰給付金)」「(3)介護休業給付(介護休業給付金)」の3種類の人達が雇用を継続するための給付なのですが、「高齢者には未来はない」というひどい言い方よりも、60歳以上は年金の繰り上げ支給もあるでしょう、という考え方」により、(1)の高年齢雇用継続給付に対する国庫負担はありません。のこる(2)(3)にかんしては、その費用の8分の1の国庫負担があります。

最後に「1、求職者給付」は、「(1)基本手当」「(2)技能習得手当」「(3)寄宿手当」「(4)傷病手当」「(5)高年齢求職者給付金」「(6)特例一時金」「(7)日雇労働求職者給付金」の7種類があります。このなかで、「(5)高年齢求職者給付金」に対する国庫負担は今までにも何回かご紹介している理由でありません。そして「(7)日雇労働求職者給付金」は3分の1の国庫負担があります。残る(1)(2)(3)(4)(6)にかんしては、一般の求職者給付扱いで4分の1の国庫負担があります。

と、こういうイメージをいったん頭の中にいれておけば社会保険労務士試験レベルの問題は大丈夫ですよ。今までの解説をあなたも何か紙に書いて頭の中にイメージできるようにしてくださいね。

では、具体的な問題文をみてみましょう。

Aの問題文では、失業等給付のなかで「2、就職促進給付」「3、教育訓練給付」に対する国庫負担はなかったですね。よってAは×(誤答肢)となります。

Bの問題文は、失業等給付は「1、求職者給付」「2、就職促進給付」「「3、教育訓練給付」「4、雇用継続給付」の4つでしたね。よってBは×(誤答肢)となります。

Cの問題文は「そんなものはない」の一言です。そういう法律がないということをはっきりと知っている人は少ないはずです。だから、残りの4つの選択肢とのバランスで消去法により×(誤答肢)だと考える受験生の方もおられるとは思いますが、次のイメージをしてくださいね。雇用保険二事業(雇用安定事業及び能力開発事業)については、国庫負担がなかったですね。そして、被保険者の負担もありません。ということはね雇用保険二事業に関しては、事業主だけが保険料を負担しているのです。そういうシステムで事業主がミスしたからといって、事業主をこまらせるでしょうか。労災保険(労働者災害補償保険法)を思い出して下さい。社会保険労務士試験の試験科目の中で唯一被保険者ヵ゛負担しない野手に事業主が負担する保険料というシステムでしたね。だから、労災保険法では、事業主にミスがあっても、保険給付をしてあげよう、という運営でしたね。雇用保険二事業も小梨背考え方だというイメージをこれからしてくださいね。よってCの問題は×(誤答肢)となります。

Dの問題文は「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準としてかすることが出来ない。」という雇用保険法第12条を知っていますか?という問題です。つまり、税金をかけることはむできないよ、ということですね。これは、社会保険での「障害年金」「遺族年金」でも同じ事ですね。社会保険労務士試験の試験範囲ではないですが、「生活保護」によって支給されるお金についても同様ですね。つまり、収入とみなされないものには税金をかけることはできないのですね。逆に社会保険での「老齢年金」には税金をかけるのですね。老齢年金は今までかけてきた保険料による老後の収入という意味合いがあるからですね。そのかわりに、毎年かけている保険料は全額税控除がありますね(わかりやすく言えば、年間200万円の収入があっても、年金保険料を70万円納めていれば、差し引き130万円の収入として実際の収入の200万円ではなく、130万円を対象にして税金が計算される)。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題文は、「日雇労働被保険者手帳交付違反・偽りの報告提出出頭違反・立入検査妨害等」に関しては、最高で6箇月以下の懲役又は20万円以下の罰金という罰則があるという雇用保険法第85条について問いかけてきている問題です。この法律をしらなくても、どの法律にも、違反したら罰則があるというイメージを頭の中に描いていたらOKです。よってEは○(今回の〔問 7〕の解答)となります。

結論として今回の〔問 7〕の解答は「E」となります。

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