第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 8〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 8〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)

〔問 8〕 労働保険料の額の負担に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問において、「労災保険」とは「労働者災害補償保険」のこと、「労災保険法」とは「労働者災害補償保険法」のこと、「免除対象高年齢労働者」とは保険年度の初日において64歳以上である労働者であって、雇用保険法第38条第1項に規定する短期雇用特例被保険者、同法第43条第1項に規定する日雇労働被保険者及び同法附則第7条第1項に規定する高年齢継続被保険者以外の者のこと、「二事業率」とは労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下「労働保険徴収法」という。)第12条第6項の二事業率をいう。

A 雇用保険の日雇労働被保険者は、印紙保険料の額の2分の1の額を負担しなければならないが、当該日雇労働被保険者に係る一般保険料を負担する必要はない。

B 労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している場合であって、免除対象高年齢労働者を使用しない事業については、雇用保険の被保険者は、一般保険料の額のうち雇用保険率に応ずる部分の額から、その額に二事業率を乗じて得た額を減じた額の2分の1を負担することとされている。

C 一般保険料の額のうち労災保険率に応ずる部分の額については、事業主及び労働者が2分の1ずつを負担することとされている。

D 海外派遣者の特別加入に係る第3種特別加入保険料については、当該海外派遣者と派遣元の事業主とで当該第3種特別加入保険料の額の2分の1ずつを負担することとされている。

E 雇用保険の免除対象高年齢労働者に係る一般保険料の免除においては、当該一般保険料の額のうち雇用保険率に応ずる部分の額については、被保険者の負担のみが免除され、事業主の負担は免除されない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

労働保険料の負担について問いかけてきている問題ですね。労働保険料とは、「労働者災害補償保険法」と「雇用保険法」の保険料のことですね。そして、「労働者災害補償保険法」の保険料は事業主しか払いませんでしたね。それにたいして「雇用保険法」の保険料は事業主と被保険者の両方が払いましたね。雇用保険法で事業主だけが払うのは雇用保険二事業に対する保険料でしたね。今現在は、雇用保険率は

今現在(2013年6月12日現在)は厚生労働省のホームページの http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/hokenryoritsu_h25.pdf のURLを見てみると、

・一般の事業☆1000分の13.5(事業主=5+3.5で被保険者は5負担とする)

・農林水産業・清酒製造業☆1000分の15.5(事業主=6+3.5で被保険者は6負担とする)

・建設の事業☆1000分の16.5(事業主=6+4.5で被保険者は6負担とする)

具体的な額を計算してみましょう。実際に社会保険労務士試験に出題される可能性も高いですからね。

一般の被保険者のAさんの一年間の賃金総額は500万円でした。Aさんは42歳で建設業の会社に雇用されています。この会社の事業主とAさんが払う雇用保険料はいくらでしょう。 考え方は、雇用保険の一般保険料として建設の事業の負担率は1000分の16.5ですので、500万円×16.5÷1,000=82,500円です。 事業主が負担するのは賃金総額に対して1000分の6と二事業分の1000分の4.5ですから 500万円×(1000分の6+1000分の4.5)=52,500円です。 被保険者が払わなければいけない雇用保険の保険料は 500万円×1000分の6=30,000円となります。 総計は52,500円+30,000円=82,500円となり、計算はぴったり合うことになります。 他の業種も同じパターンで計算してくださいね。

また、日雇労働被保険者の保険料に関しては、一般保険料に加えて印紙保険料の負担もあります。 具体的には ・賃金日額11,300円(1級)以上☆176円(事業主が88円で日雇労働被保険者が88円の負担)

・賃金日額8,200円以上11,300円未満(2級)☆146円(事業主が73円で日雇労働被保険者が73円の負担)

・賃金日額8,200円未満(3級)☆96円(事業主が48円で日雇労働被保険者が48円の負担)

具体的な計算問題をやってみましょう。日雇労働被保険者のAさんは42歳で建設の事業で働きました。賃金日額は2万円で、一年間に100日間働きました。この場合の雇用保険の保険料を事業主やAさんの負担する分もふくめて計算しなさい。

Aさんの保険料関係全体額は、まず2万円×100日=200万円が賃金総額となるから、 一般保険料は 200万円×1000分の16.5=33,000円で内訳は 事業主200万円×(1000分の6+1000分の4.5)=21,000となり、 Aさん200万円×1000分の6=12,000円となり、総計33,000円とあう。

次に印紙保険料は賃金日額が11,300円以上だから、1日につき一律の176円となるので、 176円×100日分=17,600円で、 事業主88円×100日分=8,800円となり、 Aさん88円×100日分=8,800円となり、総計17,600円であう。 解答としては、 全体の雇用保険料は33,000+17,600円=50,600円となり、 事業主負担は21,000円+8,800円=29,800円となり、 Aさん負担は12,000円+8,800円=20,800円となり総計50,600円で計算が合うこととなる。 という考え方でイメージしてくださいね。

では、具体的な問題をみていきましょうか。

Aの問題文は「一般保険料を負担する必要はない」という部分が一発アウトという状態ですね。よってAは×(誤答肢)となります。 ちなみに日雇労働被保険者が一般保険料と印紙保険料を払うという考え方は、独立して分けて払うという考え方です。くわしくは http://www.ctg-rokyo.com/insurance-faq.html のURLの「日雇労働被保険者については、基礎的な一般保険料とは別に印紙保険料を徴収することにより、必要な財源を確保し日雇保険制度として独立した制度運営を図ることとしたものです。すなわち、一般保険料と印紙保険料の両方を納付するということは、保険料の二重払いではなく、保険料を二つに分けて払っているのです。  納付方法については、一般保険料は労働保険の年度更新の際に日雇労働被保険者に支払った賃金を含めて申告・納付し、印紙保険料は日雇労働被保険者に賃金を支払うつど、実際雇用した日について賃金に相当する印紙を被保険者手帳に貼付・消印することにより納付します。」という部分をご参照下さい。

Bの問題文は、「その通り」ですね。二事業率を控除したあとを半分にしたのが被保険者が負担する分ですね。さきほどの計算例を理解していればすぐにわかる問題ですね。よってBは○(今回の〔問 8〕の解答)となります。

Cの問題文は「労災保険料」は被保険者負担はゼロですね。よってCは×(誤答肢)となります。

Dの問題文は「特別加入保険料」についてわかっていますか?という問題ですね。 特別加入保険料とは、労働者災害補償保険法による、第1種特別加入者、第2種特別加入者、第3種特別加入者が払う保険料のことですね。労働者災害補償保険法の解説で私がくわしくご説明したのですが、もう忘れている方もおられるかもしれませんね。

第1種特別加入者=中小事業主等の特別加入者のことです。 第2種特別加入者=1人親方等の特別加入者のことです。 第3種特別加入者=海外派遣者等の特別加入者のことです。

では、それぞれの保険料はどのようになっているのでしょうか?

第1種特別加入保険料額=特別加入保険料算定基礎額の総額×第1種特別加入保険料率

第2種特別加入保険料額=特別加入保険料算定基礎額の総額×第2種特別加入保険料率

第3種特別加入保険料額=特別加入保険料算定基礎額の総額×第3種特別加入保険料率

となります。計算式内にある言葉の意味としては、

・特別加入保険料算定基礎額=給付基礎日額基礎日額の365倍(1年分)です。

・第1種特別加入保険料率=中小事業主等が行う事業の労災保険率と同一です。

・第2種特別加入保険料率=最高1000分の52から最低1000分の4の範囲内で、18区分により定められています。具体的には厚生労働省のホームページの http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhokenpoint/dl/tokubetukanyu_ryoukin.pdf のURLをご覧下さい。

・第3種特別加入保険料率=1000分の4(全ての業種に一律となります)。

そして、保険料の負担にかんしては、 「事業主は、労働保険料の額(一般保険料及び印紙保険料の額)のうち、被保険者の負担すべき額(一般保険料及び印紙保険料に係る被保険者負担額)以外の部分を負担する。」と徴収法(正式法律名→労働保険の保険料の徴収等に関する法律)第30条4項に規定されています。この徴収法第30条4項を読みかえると、事業主は労災保険料は全額負担、雇用保険料は被保険者の負担額と同額+雇用保険二事業、第3種特別加入保険料を負担する、と読むことが出来ますので、頭の中にイメージしておいてくださいね。

Dの問題文は、第3種特別加入保険料について問われていますので、これは全額事業主負担ですね。第3種特別加入者、つまり海外派遣者も自分自身の一般保険料は払いますが、+アルファとしての第3種特別加入保険料ははらわなくてかまいません。だって、そうですよね、事業主の命令で海外に派遣されて仕事をうるのだから、なぜわざわざプラスアルファの保険料まで自腹をきらないといけなのか、ということになりますよね。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題文は「そんなわけはないだろう!」となりますね。なかよく半分ずつ折半で負担しているのですから、両方同時に負担ゼロとなりますよね。よってEは×(誤答肢)となります。

結論として今回の〔問 8〕の解答は「B」となります。

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