第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 10〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 10〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)

〔問 10〕
労働保険料の納付の督促等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問において、「認定決定」とは労働保険徴収法第15条第3項又は同法第19条第4項の規定に基づき所轄都道府県労働局歳入徴収官が労働保険料額を決定し、これを事業主に通知することをいう。

A 事業主が概算保険料の申告書を提出しないときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官が認定決定をするが、当該事業主が認定決定された概算保険料を所定の納期限までに納付しない場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、当該事業主に督促状を送付し、期限を指定して納付を督促する。

B 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、事業主に督促状を送付したときは、当該督促状に指定した期限までに督促に係る労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金を完納したとき等一定の場合を除き、当該督促に係る労働保険料の額に納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、当該納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間については年7.3%、その後の期間については年14.6%の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。

C 事業主が正当な理由なく印紙保険料の納付を怠ったときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、その納付すべき印紙保険料の額を決定し、これを事業主に通知するとともに、所定の額の追徴金を徴収する。ただし、納付を怠った印紙保険料の額が1,000円未満であるときは、この限りでない。

D 事業主が認定決定された確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合(天災その他やむを得ない理由により、認定決定を受けた等一定の場合を除く。)に、その納付すべき額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)に100分の10を乗じて得た額の追徴金が課せられるが、この追徴金に係る割合は、印紙保険料の納付を怠った場合の追徴金に係る割合に比して低い割合とされている。

E 事業主が、追徴金について、督促状による納付の督促を受けたにもかかわらず、督促状に指定する期限までに当該追徴金を納付しないときは、当該追徴金の額につき延滞金が徴収されることがあるが、国税滞納処分の例によって処分されることはない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

今回の問題は「認定決定」について問いかけてきている問題ですね。認定決定とは何のことでしょう?認定決定とは、本来納めるべき保険料を納めていない又は納める額が足りないときにお役所側がきちんと保険料を払いなさいよ、という連絡を事業主に通知することを意味します。

法律では概算保険料は
「①政府は、事業主が概算保険料の申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。②前項の規定による通知を受けた事業主は、納付した労働保険料の額が同項の規定により政府の決定した労働保険料の額に足りないときはその不足額を、納付した保険料がないときは同項の規定により政府の決定した労働保険料を、その通知を受けた日から15日以内に納付しなければならない。」という徴収法第15条3項、4項

確定保険料では
「①政府は、事業主が確定保険料の申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。②前項(上記①)の規定による通知を受けた事業主は、納付した労働保険料の額が同項(上記①)の規定により政府の決定した労働保険料の額に足りないときはその不足額を、納付した労働保険料がないときは同項(上記①)の規定により政府の決定した労働保険料を、その通知を受けた日から15日以内に納付しなければならない。ただし、厚生労働省令で定める要件に該当する場合は、この限りでない。」という徴収法第19条4項、5項

印紙保険料では、
「事業主が印紙保険料の納付を怠った場合には、政府は、その納付すべき印紙保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。」という徴収法第25条1項

という「認定決定」が行われます。そして、認定決定の通知を受け取った事業主は

概算保険料と確定保険料→通知を受けた日から15日以内
印紙保険料→調査決定をした日から20以内の休日でない日

までにそれぞれの労働保険料を納付しなければいけない、と規定されています。

次に認定決定の通知を受けても労働保険料を払わない場合は「督促・滞納処分」と続きます。徴収法では、

「①労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を納付しない者があるときは、政府は、期限を指定して督促しなければならない。②前項の規定によって督促するときは、政府は、納付義務者に対して督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければならない。③前項(上記①)の規定による督促を受けた者が、その指定の期限までに、労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を納付しないときは、政府は、国税滞納処分の例によって、これを処分する。④労働保険利用その他徴収法の規定による徴収金は、徴収法に別段の定めがある場合を除き、国税徴収の例により徴収する。」という徴収法第26条、第29条に規定されています。

そして、受験生が「いやだなあ」と思うのは、徴収法では聞き慣れない人が出てくるのが嫌だなぁと思う人が多いですね。その1人として「歳入徴収官」とはどのような人のことでしょう。

歳入徴収官とは、「(調査決定)
第三条 歳入徴収官(歳入徴収官代理を含む。第五十五条から第五十七条までに規定する場合を除き、以下同じ。)は、歳入を徴収しようとするときは、当該歳入に係る法令、契約書その他の関係書類に基いて、当該歳入が法令又は契約に違反していないか、当該歳入の所属年度及び科目に誤りがないか、納付させる金額の算定に誤りがないか、当該歳入の納入者、納付期限及び納付場所が適正であるかどうかを調査し、その調査事項が適正であると認めたときは、直ちに徴収の決定をしなければならない。
2 歳入徴収官は、次の各号に掲げる歳入の納付があつた場合においては、収入官吏(分任収入官吏を含む。以下同じ。)又は日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店(日本銀行の歳入金等の受入に関する特別取扱手続(昭和二十四年大蔵省令第百号。以下「特別手続」という。)第一条に規定する歳入代理店をいう。以下同じ。)を含む。以下同じ。)から送付された領収済みの報告書、領収済通知書、振替済通知書、支払未済繰越金歳入組入報告書その他の関係書類(第二十五条の二の規定による処理をした場合にあつては、当該処理をした後における書類)に基づいて、前項の規定による調査及び徴収の決定(以下「調査決定」という。)をしなければならない。ただし、日本銀行から送付された領収済通知書が収入官吏から払い込まれた歳入金に係るものであるときは、この限りでない。
 一 予算決算及び会計令第二十八条の二第一号に掲げる歳入
 二 国の債権の管理等に関する法律(昭和三十一年法律第百十四号)第三条第一項第一号に掲げる債権に係る歳入並びに刑事手続における没収により国庫に帰属した現金に係る歳入及び押収に係る現金で刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百九十九条第二項に規定する還付の請求がないこと等により国庫に帰属したものに係る歳入
 三 元本債権に係る歳入とあわせて納付すべき旨を定めた納入の告知に基づいて納付する延滞金又は加算金に係る歳入
 四 同一の納入者に対する歳入で、その合計額が納入の告知に要する費用に満たないもの
 五 歳出の財源に充てるため、他の会計、勘定又は資金から繰り入れる繰入金
 六 当該年度又は翌年度の一般会計又は特別会計の歳入に繰り入れる歳入歳出の決算上の剰余金に係る歳入
 七 日本銀行国庫金取扱規程(昭和二十二年大蔵省令第九十三号。以下「国庫金規程」という。)第二十条の規定により組み入れる歳入
 八 印紙をもつてする歳入金納付に関する法律(昭和二十三年法律第百四十二号)第三条第五項の規定により納付される歳入
 九 前各号に掲げる歳入以外の歳入で、納入の告知前に納付されたもの
3 歳入徴収官は、次の各号に掲げる歳入の納付があつた場合においては、日本銀行代理店又は歳入代理店からの電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この項において同じ。)による領収済みの通知(第二十五条において「領収済みの通知」という。)に基づいて、調査決定をしなければならない。
 一 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第百三条の二第二十項の承認に係る電波利用料のうち、同項の金融機関が歳入徴収官等から当該電波利用料の納付に関し必要な事項について電磁的記録による通知を受け、当該事項に従い納付するもの
 二 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百六十六条、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第六十一条ノ二及び厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第八十三条の二の承認に係る保険料(児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第二十二条第一項の規定により厚生年金保険の保険料その他の徴収金の徴収の例により徴収される拠出金を含む。)のうち、これらの条の金融機関が歳入徴収官から当該保険料の納付に関し必要な事項について電磁的記録による通知を受け、当該事項に従い納付するもの
 三 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第九十二条の二の承認に係る保険料のうち、同条の金融機関が歳入徴収官から当該保険料の納付に関し必要な事項について電磁的記録による通知を受け、当該事項に従い納付するもの
4 歳入徴収官は、前三項の規定により調査決定をしようとするときは、当該調査決定をしようとする歳入の内容を示す書類によつて、その徴収をしようとする旨を明らかにしなければならない。」というように歳入徴収官事務規程 第三条という法律に規定があります。

簡単にまとめると、歳入徴収官は都道府県の公務員で民間人からお金を集めるときの責任者(担当者)となる人のことです。この人が事業主に「きちんとお金を払いなさいよ」という通知を出す人なのです。

では、具体的な問題文を見ていきましょう。

Aの問題文は「その通り」としか言いようがないですね。もう一度上記の解説をご覧の上Aの問題文を読むと「その通り」となります。よってAは○(正答肢)となります。

Bの問題文は「政府は、前条第1項の規定により労働保険料の納付を督促したときは、労働保険料の額に、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年7.3%)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、労働保険料の額が1,000円未満であるときは、延滞金を徴収しない。」という徴収法第27条1項について問いかけてきている問題です。まさに「その通り」ですので、Bは○(正答肢)となります。

Cの問題文は「その通り」ですね。上の解説をもう一度読んでください。また、共通事項として、「労働保険料の額が1,000円未満」「計算した延滞金が100円未満」の場合は、延滞金を徴収しません。理由は、その延滞金を取ろうとしたときの事務手数料の方が高くなるので「あほらしい」からです。よってCは○(正答肢)となります。

Dの問題文は「その通り」ですね。認定決定後の追徴金は「概算保険料は無し」「確定保険料は10%」「印紙保険料は25%」となります。この趣旨は、概算保険料の場合は、年度当初なので、まだ支払う保険料自体が確定していないので、追徴金はあり得ません。確定保険料は、1年が終わって支払うべき保険料が確定している、具体的には継続事業ならば、平成24年の4月1日から平成25年3月31日の間の保険料は7月10日までに確定保険料として支払うわけです。平成25年3月31日が終わって、平成25年の4月5月6月と3箇月が過ぎて、7月10日の時点で払う保険料を払っていないとか少ないとかいうのは悪質だと判断されるわけです。ただし、さきほどまでの解説にあるように少ないと言っても、1,000円未満の少なさだけならば、「おとがめなし」です。1,000円以上保険料が少なければ、「終わってから3箇月以上たっているのに、ちょっとしたミスさぁ~」という口頭だけでの注意ではすみませんよぉ~、というイメージが、10%の追徴金というシステムなのです。そして、印紙保険料に関しては、事業主が日雇労働被保険者から提出された日雇労働被保険者手帳に印紙を貼り付けなければ、いけないのに、それさえもおこたったのは、かなり悪質だと判断されます。というのも、普通の保険料ならば、お役所が「困るなぁ。」ですむのですが、日雇労働被保険者手帳にきちんと貼っていないならば、日雇労働被保険者自身の生活に大きな悪影響を与えるからです。日雇労働という形態は、常に「失業」状態と表裏一体の関係です。仕事がないときは、「イコール=失業」なのですから、すぐにでも、「基本手当(生活費)」を日雇労働被保険者に貼ってある印紙保険料を見て、お役所(ハローワーク=公共職業安定所)がくれるわけです。それなのに、事業主がはっていなければ、日雇労働被保険者が本当に困る訳なのです。ですから、特に悪質と言うことで、追徴金も25%とはなはだしく高い設定となっています。ということで、Dは○(正答肢)となります。

Eの問題文は「延滞金」の定義についてわかっていますか?という問題です。「政府は、前条第1項の規定により労働保険料の納付を督促したときは、労働保険料の額に、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年7.3%)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、労働保険料の額が1,000円未満であるときは、延滞金を徴収しない。」というのが徴収法第27条1項でしたね。追徴金とは、確定保険料では10%、印紙保険料では25%増額されるペナルティであり、これは労働保険料ではありません。ですから、追徴金が延滞金として増額されることは絶対にありえません。そして、増額はしないのですが、お役所側が徴収するお金ですから、もちろん国税滞納処分の例により処分(結局お金を徴収されることです)されることは、あります。お役所側が徴収するお金については、社会保険労務士試験の他の科目(健康保険法や国民年金法や厚生年金保険法になど)でも、全て9通することとしてイメージしておいてください。よってEは×(今回の〔問 10〕の解答)となります。

結論として今回の〔問 10〕の解答は「E」となります。

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