第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 健康保険法 〔問 2〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 健康保険法 〔問 2〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

健康保険法

〔問 2〕
保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 保険外併用療養費の対象となる特別療養環境室へ入院させる場合は、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切に説明し、料金等を明示した文書に患者側の署名により、その同意を得なければならない。

B 柔道整復師が保険医療機関に入院中の患者の後療を医師から依頼された場合の施術は、当該保険医療機関に往療した場合、患者が施術所に出向いてきた場合のいずれであっても、療養費の支給対象とはならない。

C 70歳未満の者と70歳以上の者がいる世帯の高額療養費は、同一月において、①70歳以上の者に係る高額療養費の額を計算する。次に、②この高額療養費の支給後、なお残る負担額の合算額と70歳未満の一部負担金等の額のうち21,000円以上のものを世帯合算し、この世帯合算による一部負担金等の額が70歳未満の高額療養費算定基準額を超える部分が高額療養費となる。①と②の高額療養費の合計額が当該世帯の高額療養費となる。

D 健康保険組合直営の病院または診療所において、保険者が入院時食事療養費に相当する額の支払いを免除したときは、入院時食事療養費の支給があったものとみなされる。

E 標準報酬月額の随時改定により標準報酬月額が変更になり、一部負担金の負担割合が変更する場合、負担割合が変更になるのは、改定後の標準報酬月額が適用される月からである。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

〔問 2〕は全体として簡単(ひとつひとつの正誤判断がつきやすい)であったために、かえって難しい問題でしたね。その理由はのちほど・・・。

Aは「保険外併用療養費の対象となる療養を行う場合は特別料金の自己負担を伴うので、医療機関は、あらかじめ患者に対して、その内容と費用に関して説明を行い、文書によりその同意を得なければならない。」という平成18.9.29保医発0929002号について問いかけてきている問題です。平成18.9.29保医発0929002号という意味は平成18年9月29日付けで厚労省保険局医療課長が発した通達の二つ目ですよ、という意味です。通達とは公務員の内部文書のことです。内部文書といっても、公務員が対応するのは一般の国民ですから、通達(公務員内部の文書)とはいっても、私たちの身近な生活に大きくかかわってくるものですね。また、今回の通達は健康保険法第86条1項の「被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保健医療機関等のうち事故の選定するものから、評価療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外療養費を支給する。」という法律を根拠にした通達となります。この根拠という言葉は、この法律をもっと具体的に現場が対応できるような補足として通達を出しましたよ、という意味でとらえておいて下さい。よってAの問題文は通達そのままの文章ですので、○(正答肢)となります。

Bは「骨折、打撲、捻挫、脱臼などのときに柔道整復師の施術を受けた場合。ただし、現に医師が診療中の骨折又は脱臼の場合には、応急手当の場合を除いて医師の同意を得る必要がある。なお、この場合、施術録に医師から同意を得た旨が記載してあれば、必ずしも療養費支給申請書に医師の同意を添付する必要がない。」という平成9.12.1保険発149号について問いかけられている問題です。この保険発という意味は、厚生労働省保険局保健課長名での通達のことです。この通達通りであれば、「療養費」というお金が出ます。しかし、今回の問題は「ひっかけ問題」として、文中に「後療を医師から依頼された」とあります。つまり、今回かかった費用は「後療料」という柔道整復師の方に「療養費」以外の名称で健康保険などから出るので患者負担は3割のままです。ただ、今回の問題のように「療養費」という名目では支給はされることはありません。「後療料」という名目での支給となります。よってBは○(正答肢)となります。

Cは「①療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く。次項において同じ。)に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額(次条第①項において「一部負担金の額という。」)が、著しく高額であるときは、その療養の給付又はその保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた者に対し、高額療養費を支給する。②高額療養費の支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、療養に必要な費用の負担の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して、政令で定める。」という健康保険法第115条1項について問いかけてきている問題です。この健康保険法第115条1項の最後にある「政令で定める」という内容が健康保険法施行令41条と42条にあります。とても長い文章ですので、そのままの引用は割愛しますが、まとめると今回のCの文章そのままになります。よってCは○(正答肢)となります。

Dは「健康保険組合は、規約で定めるところにより、健康保険組合である保険者が開設する病院若しくは診療所又は薬局から食事療養を受けた場合において、保険者がその被保険者の支払うべき食事療養に要した費用のうち入院時食事療養費として被保険者に支給すべき額に相当する額の支払いを免除したときは、入院時食事療養費の支給があったものとみなす。」という健康保険法第85条7項について問いかけてきている問題です。Dの問題分は健康保険法第85条7項そのままの文章です。具体的な例をあげると、基準に適合している施設での1回の食事代は640円と決められています。患者の自己負担額は一般的な収入の人で、260円となっています。この差額の380円が保険者から患者一回の食事につき入院時食事療養費として支払われているのが現状なのです。よってDは○(正答肢)となります。

Eは「保険者等は、被保険者が現に使用される事業所において継続した3月間(各月とも報酬支払の基礎となった日数が、17日間以上でなければならない。)に受けた報酬の額を3で除した額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。」という健康保険法第43条1項及び「保健医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該給付につき厚生労働大臣が定めるところにより算定した療養の給付に要する費用の額に当該各号に定める割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保健医療機関又は保険薬局に支払わなければならない。(1)70歳に達する日の属する月以前である場合 100分の30 (2)70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合で、次の(3)に掲げる場合を除く。 100分の20 (3)70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であって、療養の給付を受ける月の標準報酬月額が28万円以上であるとき 100分の30」という健康保険法第74条1項について問いかけてきている問題です。これは健康保険法74条1項の(3)の標準報酬月額の28万円以上に直接かかわってくる問題ですので、改訂後の標準報酬月額が適用される月からということになります。よってEは○(正答肢)となります。

ここで、大きく悩むことになります。今回の〔問 2〕は比較的簡単にすべてが○(正答肢)だとわかりました。しかし、問題としては、「誤っているものはどれか」と聞いてきています。

もし、選択肢に解答無しという選択肢があれば、それを選択すれば良いのですが、無いので、私にはお手上げです。

結論として今回の〔問 2〕の解答は「解答無し」というのが私の見解です。

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