第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 健康保険法 〔問 3〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 健康保険法 〔問 3〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

健康保険法

〔問 3〕
健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 全国健康保険協会は、被保険者が介護保険第2号被保険者でない場合であっても、当該被保険者に介護保険第2号被保険者である被扶養者がある場合には、規約により、当該被保険者(特定被保険者)に介護保険料額の負担を求めることができる。

B 被保険者の資格を喪失した後に出産手当金の継続給付を受けていた者がその給付を受けなくなった日後6か月以内に死亡したとき、被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものは、その被保険者の最後の保険者から埋葬料として5万円が支給される。

C 介護保険第2号被保険者でない日雇特例被保険者の保険料額は、その者の標準賃金日額に全国健康保険協会の被保険者の一般保険料率と介護保険料率とを合算した率を乗じて得た額である。

D 高額療養費の給付を受ける権利は、診療月の翌月の1日を起算日として、2年を経過したときは、時効によって消滅する。ただし、診療費の自己負担分を、診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日が起算日となる。

E 全国健康保険協会は、その業務に要する費用に充てるため必要な場合において、運営委員会の議を経て短期借入金をすることができる。その場合、理事長はあらかじめ厚生労働大臣に協議をしなければならない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aは「健康保険組合は、第156条第1項第2号の保険料額及び157条2項の任意継続被保険者の保険料の算定、の規定にかかわらず、規約で定めるところにより、介護保険第2号被保険者である被保険者以外の被保険者(介護保険法第2号被保険者である被扶養者があるものに限る。以下「特定被保険者」という。)に関する保険料額を一般保険料額と介護保険料額との合算額とすることができる。」という健康保険法附則7条1項について問いかけてきている問題です。これは健康保険組合は、経営基盤が弱いところが多いので、より多くのお金をとってもいいよ、という規定になります。全国健康保険協会は全国で1つしかない大きな団体ですので、そんなことはしてはいけません。よってAは×(誤答肢)となります。

Bは「次のいずれかに該当したときは、被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものは、その被保険者の最後の保険者から埋葬料の支給をうけることができる。(1)傷病手当金・出産手当金の継続給付の規定により保険給付を受ける者が死亡したとき(2)傷病手当金・出産手当金の継続給付の規定により保険給付を受けていた者がその給付を受けなくなった日後3月以内に死亡したとき(3)その他の被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後3月以内に死亡したとき」という健康保険法第105条1項について問いかけてきている問題です。この3月という数字を間違える合格者は少ないと思われますので、もし勘違いをしていた人は、今回の問題でしっかりと覚えておきましょう。よってBは×(誤答肢)となります。

Cは「日雇特例被保険者に関する保険料額は、1日につき、次に掲げる額の合算額とする。(1)その者の標準賃金日額の等級に応じ、次に掲げる額の合算額を基準として政令で定めるところにより算定した額。
イ標準賃金日額に平均保険料率(各都道府県単位保険料率に各支部被保険者の総報酬額の総額を乗じて得た額の総額を協会が管掌する健康保険の被保険者の総報酬額の総額で除して得た率を言う。以下同じ)と介護保険料率とを合算した率(介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については、平均保険料率)を乗じて得た額 
ロ イに掲げる額に100分の31を乗じて得た額」という健康保険法第168条1項について問いかけてきている問題です。ここでの介護保険第2号被保険者とは、40歳以上65歳未満の人のことです。日雇特例被保険者の場合は、家族の保険料の負担までは求められてません。自分自身が40歳以上65歳未満でなければ、保険料は自分の分だけ負担すればOKです。日雇ということは、働いている形態がいつまでも働くことが出来る形態ではないので、自分自身の分の保険料のみの支払いでよいとされています。よってCは×(誤答肢)となります。

Dは「保険料を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する。保険料等納入の告知又は督促は、民法第153条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。」という健康保険法第193条について問いかけてきている問題です。ただ、この健康保険法第193条だけでは、もう何回も使い古されていて問題にならないので、時効の起算日をひっかけようとする問題が出てきます。時効の起算日としては、
①療養費は、療養に要した費用を支払った日の翌日。
②移送費又は家族移送費は、移送に要した費用を支払った日の翌日。
③高額療養費は、診療月の翌日の1日(ただし、診療費の自己負担分を診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日)。
④傷病手当金は、労務不能であった日ごとにその翌日。
⑤出産手当金は、労務に服さなかった日ごとにその翌日。
⑥出産育児一時金、家族出産育児一時金、埋葬料、家族埋葬料は保険事故の発生日(出産日又は死亡日)の翌日。
⑦埋葬費は、埋葬を行った日の翌日。
となります。高額療養費だけ、原則として翌月の1日が起算日となるので、他の場合の支払った日の翌日とは違います。考え方としては、高額療養費というものは、毎月、毎月、その人やその世帯での一箇月の医療費などの一部負担金の額を一箇月ごとに締めて合算して計算するものです。つまり、高額療養費は、その月が終わるまでは算定できないのです。だからこそ、算定できるのは月末となりますので、月末の翌日、つまり翌月の1日という考え方をすると、他の場合の支払った日の翌日と結局は同じ考え方なんだなぁということがわかりますね。よってDは○(今回の〔問 3〕の解答)となります。

Eは「全国健康保険協会は、その業務に要する費用に充てるため必要な場合において、厚生労働大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。」という健康保険法第7条の31について問いかけてきている問題です。これは、例えば、全国健康保険協会が「お金が足りないなぁ」となったときに、他の業務にまわすお金の余裕分から一時的に借りてますよ、ということを厚生労働大臣に知らせるというニュアンスでとらえて下さい。今回の問題文の「協議」とは、「全国健康保険協会と厚生労働大臣が相談して物事を決める」ことを意味します。もともとは、同じ財布の中からあちこちにお金をゆうずうするだけですので、お知らせとなる「認可」で結構です。ここで、「認可」と「許可」という言葉が社会保険労務士試験ではたびたび出てきますので、わかりやすいイメージをご紹介します。「認可」は、もともと認められている権利を「お知らせ」するだけですので、ほとんどの場合は「認可」されます。逆に「許可」は、もともと認められている権利ではないので、例えば労働基準法の「36協定」のように、本当にダメなことを「こういう自主規制をしました。だから、なんとか認めてやって下さい」という「お上のお許し」をもらうというニュアンスが「許可」だととらえると、これから先の社会保険労務士試験で「認可」と「許可」のどっちだったけなぁ、と迷ったときの手助けとなります。よってEは×(誤答肢)となります。

結論として〔問 3〕の解答は「D」となります。

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