第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 健康保険法 〔問 4〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 健康保険法 〔問 4〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

健康保険法

〔問 4〕 健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 被保険者の資格取得が適正である場合、その資格取得前の疾病または負傷については、6か月以内のものに限り保険給付を行う。

B 保険者から一部負担金等の徴収猶予または減免の措置を受けた被保険者が、その証明書を提出して保険医療機関で療養の給付を受けた場合、保険医療機関は徴収猶予または減額もしくは免除された一部負担金等相当額については、当該被保険者の所属する保険者に請求することとされている。

C 保険医の登録の取消しが行われた場合には、原則として取消し後5年間は再登録を行わないものとされているが、離島振興法の規定により離島振興対策実施地域として指定された離島の地域に所在する医療機関に従事する医師(その登録取消しにより、当該地域が無医地域等となるものに限る。)その他地域医療の確保を図るために再登録をしないと支障が生じると認められる医師については、これらの取消しを行わないことができる。

D 日雇特例被保険者は、特別療養費受給票の有効期間が経過したとき、または受給者資格票の交付を受けたときは、速やかに、特別療養費受給票を全国健康保険協会または委託市町村に返納しなければならない。

E 被扶養者が少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき、疾病、負傷または出産につき、その期間に係る保険給付はすべて行わない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aは「被保険者の疾病又は負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う。 ①診察 ②薬剤又は治療材料の支給 ③処置、手術その他の治療 ④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護 ⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護」 という健康保険法第63条1項及び「被保険者の資格取得が適正である限りその資格取得前の疾病又は負傷に対しても保険給付が行われる。」という昭和26.10.16保文発4111号について問いかけてきている問題です。保文発という言葉は「厚生労働省保険局長が民間に対して出した通知」だと思って下さい。考えて下さい。健康保険というものは、一般の人にとっては、いつ利用するのでしょうか。そうですね。怪我をしたときなどに病院で治療をしてもらうというのが多くの使われ方ですね。そのときに、一部負担金として実際にかかった費用の3割を現金で病院の窓口で支払うというのが現実的な話だと思います。では、この問題文では、「6か月以内のものに限り」という言葉がありますね。あれっ生後4ヶ月の赤ちゃんが熱を出したと言うときに病院で観てもらうのに健康保険は使えないのでしょうか。わかりましたね。こんな無茶苦茶な規定があるわけないですよね。ということで、今回の問題であなたのあたまには、しっかりとインプットされたと思います。また、今回あげた赤ちゃんの例ですが、実社会ではあかちゃんは医療費を無料とするという自治体がかなり多くなっていますので、母子手帳などを示すだけで良いのかも知れませんが・・・。よってAは×(誤答肢)となります。

Bは「保険者は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者であって、保健医療機関又は保険薬局に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、次の措置を採ることができる。 ①一部負担金を減額すること。 ②一部負担金の支払いを免除すること。 ③保健医療機関又は保険薬局に対する支払いに代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること。」 という健康保険法第75条2,1項について問いかけてきている問題です。 ここで、あなたに知っておいて欲しいのは今現在の「療養の給付」に要する費用については、保険者が社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会を通じて保健医療機関に支払う「社会保険診療報酬」と被保険者が直接保健医療機関に支払う「一部負担金」によってまかなわれている、という事実です。つまり、あなたや私が怪我をしたときなどに、治療の後で、病院の窓口などに支払うのが一部負担金です。私の場合は治療に要した費用の3割を一部負担金として支払っています。残りの7割が「社会保険診療報酬」という名目で各保険医療機関などに支払われているわけです。保険者が一部負担金を安くしてあげても、病院などでの治療費は同じ筈です。治療の質の低下があっては患者さんがこまりますからね。ですから、一部負担金が少なくなった分は「社会保険診療報酬」の金額が増えることになります。その「社会保険診療報酬」というお金は各保健医療機関は、健康保険であれば「社会保険診療報酬支払機関」というところからもらいますし、国民健康保険(自営業の人達などが利用する保険)を利用した「療養の給付」であれば、「国民健康保険団体連合会」から「社会保険診療報酬」というお金をもらうわけですね。つまり、今回の問題文では、健康保険での話ですので、保険者ではなく、実際にお金を払ってくれる「社会保険診療報酬支払機関」に請求してもらうわけなのですね。よってBは×(誤答肢)となります。

Cは「厚生労働大臣は、保険医又は保険薬剤師の登録の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その登録をしないことができる。 (1)申請者が、健康保険法の規定により保険医又は保険薬剤師の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者であるとき。 (2)申請者が、健康保険法その他の国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。 (3)申請者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。 (4)上記の(1)~(3)のほか、申請者が、保険医又は保険薬剤師とてし著しく不適当と認められる者であるとき。」という健康保険法第71条2項について問いかけてきている問題です。5年間は再登録はできない、と覚えている受験生が多いですし、それが普通です。しかし、今回の問題は離島振興法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S28/S28HO072.html についても問いかけてきている問題です。 離島振興法によると、取消し後2年未満でも再登録を認めています。それだけ、離島の医師不足は深刻だということですね。はっきり言って、このCは超難問です。本試験で初めてこの問題を見た場合は解けなくて当たり前だと思って下さい。知っていたらおかしいくらいの難問だと思って下さい。ただし、この〔問 4〕に関しては、他の文章で明らかに正解がわかりますので、それを見抜くことができるかどうかがポイントとなります。Cは×(誤答肢)となります。

Dは特別療養費についてわかっていますか?と問いかけてきている問題です。特別療養費とは日雇特例被保険者が療養の給付を受けるためには、前2月間に26日又は前6月間に78日分の保険料を納付する(つまり働くということですね)必要がありました。では、日雇という労働をはじめてから26日以内に病気や怪我などで病院に行っても、全額自己負担しなければいけないのでしょうか?健康保険法での一般的な被保険者は、たとえ、今日、健康保険の被保険者になったばかりでも、3割負担で保健医療機関に診てもらうことが出来ます。日雇といっても、同じ人間です。ということで、特別療養費という制度があるのです。この特別療養費という制度は、日雇という形態で働く人が日雇い特例被保険者(つまり前2月で26日以上の保険料を納めることができるまで)になる可能性ができるまで、当月を含めて、日雇になって3月以内であれば、日雇特例被保険者になり得ないので、特別療養費を出してあげましょう、という制度です。だから、特別療養費の支給要件(支給されるための条件)として日雇特例被保険者に該当するに至ってから3月以内という条件があるのです。逆に言えば、日雇特例被保険者としての療養の給付を受けることができる受給資格票をもらったり、特別療養費の有効期間がすぎれば、速やかに(手間取らずに速くに)、特別療養費の証明である特別療養費受給票を返納しなければいけません。ここで示している日雇特例被保険者の「受給者資格票」も特別療養費の「特別療養費需給票」も、どちらもあなたや私がもっている「保険証」と同じようなものだと思っておいて下さい。よってDは○(今回の〔問 4〕の正解)となります。

Eはとてもよく出題されるパターンです。被保険者が罪を犯した場合は被扶養者には罪はありません。逆に被扶養者が罪を犯しても、被保険者には罪はありません。保険給付は、罪を犯した本人の分だけ行いません。本人以外に対しての保険給付は変わりなく行われます。ここで、あなたは罪を犯した者は怪我したり病気になったりしても「見殺しなのですか?」と不安になるのかもしれません。安心して下さい。金銭面での保険給付は行われませんが、少年院その他の刑事施設などに入った人に対しては、健康保険とは全く違う組織としての医師や看護師が刑事施設内にあります。その医師や看護師から療養の給付に似た治療などをうけるりです。ただし、イメージとして小学校や中学校の保健室に毛が生えたぐらいの施設ですので、応急処置しかうけることはできません。手術を要するような大きな怪我や病気の場合は、別の施設に搬送されるというのが現実です。Eの文章は、本人以外の保険給付は行われる、というのが正しい文章となります。Eは×(誤答肢)となります。

今回の〔問 4〕の正解肢は「D」となります。

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