第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 健康保険法 〔問 8〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 健康保険法 〔問 8〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

健康保険法

〔問 8〕 健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、47等級区分によって定められるが、最低は第1級の58,000円であり、最高は第47級の1,210,000円である。

B 被保険者に関する毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならないが、任意継続被保険者に関する保険料については、その月の末日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までに納付しなければならない。

C 保険者は、被保険者または被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、保険給付の全部または一部を行わないことができる。

D 被保険者は、①死亡したとき、②事業所に使用されなくなったとき、③適用除外に該当するに至ったとき、④任意適用事業所の任意適用の取消しの認可があったとき、以上のいずれかに該当するに至った日の翌日から、被保険者の資格を喪失する。その事実があった日に更に被保険者に該当するに至ったときも同様である。

E 全国健康保険協会が管掌する健康保険の被保険者は、事業主に対して、①氏名変更の申出、②住所変更の申出、③任意継続被保険者である場合であって適用事業所に使用されるに至った時等の申出を、5日以内に行わなければならない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aは標準報酬月額の数字をきちんとおさえていますか?という問題です。 第1級の58,000円と第47級の1,210,000円は必ず覚えておいて下さい。繰り返します。最少額の第1級の58,000円から47段階目の最大額の第47級の1,210,000円までが健康保険法での標準報酬月額表として規定されています。すべての数字を確認したい場合は、 http://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h24/1991-91737 のURLでのあなたのお住まいの都道府県をクリックすると47段階の一覧表が確認できると思います。私が社会保険労務士試験の受験生時代は全国統一の数字でもあったので、1~5級までと44~47級までは覚えていました。理由は簡単です。5級までは順に10,000円足すだけで出ます。44級までは順に60,000円引くだけで出ます。これ以上の数字が出ても答えることの出来る受験生はほとんどいないし、全ての等級を覚えようとするのは時間の無駄ですよ。よってAは○(今回の〔問 8〕の解答)となります。

Bは「①一般の被保険者に関する毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。②任意継続被保険者及び特例退職被保険者に関する保険料については、その月の10日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までに納付しなければならない。」という健康保険法第164条1項について問いかけてきている問題です。この翌月末日と当月10日という違いを覚えやすくする方法は次のイメージをして下さい。働いている人の保険料は「事業主は、毎月の保険料については被保険者の前月分の保険料を給料から天引き(控除)できます。」具体的に言えば、2月分の保険料は、2月が終わった後に支払われる給料(つまり3月にもらう給料)から天引きできます。一般的な話で言えば、3月25日に支給される給料からは2月分の保険料が天引きされています。また、実務では、毎月下旬頃に前月分の保険料額を計算した「保険料納入告知書」が事業主に送られてきます。2月分の保険料は3月下旬頃に「保険料納入告知書」として、事業主に送られてくるわけですね。そして、その「保険料納入告知書」の納付期限は、その月の月末となっています。結局年金事務所から事業主に送られてくる「保険料納入告知書」にて、「2月分の被保険者の保険料は3月末日までに払いなさいよ。」という連絡が事業主に来るわけです。これを法律特有のわかりにくい表現をすると「①一般の被保険者に関する毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。」となるわけです。これは、納付するようなシステムができあがっているから、ただそれに従うだけです。サラリーマンの人などは、給料から天引きされているので、支払っているという実感はうすいかもしれませんね。それに対して、任意継続被保険者は、もう給料はありません。だから、前月の給料から天引きということもありません。だから、当月の保険料は当月におさめるのです。本当は当月1日支払いでも良いのですが、少し猶予期間をおいて、当月10日までというのが、今の現状となっています。将来的にこれが不都合だとされたら、当月5日までとか、当月20日までとかに変更されるかもしれませんが、今のところは当月10日までという指定になっているのが現状です。Bの問題文の任意継続被保険者は「その月の末日」ではなく「その月の10日」までに納付すればよいこととなります。よってBは×(誤答肢)となります。

Cは「保険者は、被保険者又は被保険者であった者(日雇特例被保険者又は日雇特例被保険者であった者を含む。)が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、保険給付の一部を行わないことができる。」という健康保険法第119条について問いかけてきている問題です。Cの問題文の「全部」はありませんので、Cは×(誤答肢)となります。

この給付制限も受験生の頭を悩ませる問題ですね。次のように覚えて下さい。

本来は困っている人のための保険給付の筈ですが、保険給付をしないで良い位、悪質なことをした場合は、給付制限になるという考え方です。

①絶対的給付制限→最悪な行為をした人にはその人個人に対する保険給付は行いません。 健康保険法第116条に「被保険者又は被保険者であった者(日雇特例被保険者又は日雇特例被保険者であった者を含む。)が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由による保険給付は、行わない。」とあります。 ポイントは「故意(結果を予想した行為)」という言葉が入っているかどうかになります。これは、わざと人を殺した(故意に人を殺した)場合には、遺族年金がもらえないといった厚生年金保険法や国民年金法の規定と同じです。何かもらうために故意(わざと)の行為に対しては、厳しい対応、つまり保険給付は行われません。

②全部制限(一部制限も含む)→故意ではなくても、重大な過失(非常識な行為)に対しては、保険者が判断して、給付をやめることができますよ、という規定です。 健康保険法第117条に「①被保険者(日雇特例被保険者を含む。)が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる。②保険者は、保険給付を受ける者が、正当な理由なしに、文書その他の物件の提出若しくは提示命令に従わず、又は職員の質問若しくは診断に対し答弁若しくは受診を拒んだときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる」とあります。 ポイントはまだ保険給付を受けていない者が常識はずれな行動をとれば、保険給付をしないと考えても良い、という規定です。

③一部制限→保険給付の一部を行わないことができる(ちょっと損させるよ、というニュアンスです)。 健康保険法第119条に「保険者は、被保険者又は被保険者であった者(日雇特例被保険者又は日雇特例被保険者であった者を含む。)が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、保険給付の一部を行わないことができる」とあります。 ポイントは「療養に関する指示に従わない」というフレーズが入っていることです。つまり、もう保険給付をしてもらうことは決定して、保険給付(療養の給付→治療)が始まっています。イメージとして、お医者さんが「注射をしますから、シャツをめくって下さい」と指示したときに、「いやだぁ~、エッチィ~」と言って、指示に従わないときには注射をしなくても良い→一部の保険給付をしないことができる、というニュアンスです。イメージにすると、とてもわかりやすいですね。

まとめると、「故意」という単語が入っていれば、「保険給付は行わない」 「常識はずれな行動」は、「保険休部の全部又は一部を行わないことができる」 「療養に関する指示に従わない」→「保険給付の一部を行わないことができる」 というくくり方で、受験生が悩む「給付制限」の問題はこれからのあなたにとっては、得点源となりますね。

ながながと解説してきましたが、再確認すると、Cの問題文中には「療養に関する指示に従わない」とあるので、「保険給付の一部を行わないことができる」となります。よって、Cは×(誤答肢)というように、条文をきっちりと覚えていなくても、難問である「給付制限」の問題に対する答えが出ましたね。

Dは「一般の被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日にさらに一般の被保険者の資格を取得するに至ったときは、その日)から、一般の被保険者の資格を喪失する。 ①死亡したとき。 ②その事業所に使用されなくなったとき。 ③適用除外の規定に該当するに至ったとき。 ④任意適用事業所の取消しの認可があったとき。」という健康保険法第36条について問いかけてきている問題です。 Dは最後の部分の「至ったときも同様である」が「至ったときはその日に喪失する」となれば、健康保険法第36条通りになりますね。考え方としては、2つの保険者のもとでの被保険者にはなることはできない、という考え方で解決します。今日、一般の被保険者になったのならば、切り替わるのですから、もう前の被保険者の資格は必要ありませんね、という考え方で結構です。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題は〔問 7〕Aの解説をもう一度読んでください。「氏名変更の申出」は事業主に対して「速やかに」行えばよいのです。遅れても罰則はありませんが、事実をきちんと伝えることは大切なことですね。住所変更の申出も氏名と同じく速やかに事業主に行います。また任意継続被保険者である者が一般の被保険者となった場合は、被保険者の資格が重複しないように、雇ってもらうそのときに事業主に申し出で下さい。その場で申し出るので「遅滞なく」です。いずれも遅れても罰則はありません。なぜならば、いずれもさかのぼって、事実があった日に、それぞれの権利があったとみてもらえるからです。よってEは×(誤答肢)となります。また、最初の氏名変更届以外はかなり細かい規定ですので、今覚えていなくても大丈夫です。

結論として今回の〔問 8〕の解答は「A」となります。

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