第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 3〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 3〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

厚生年金保険法

〔問 3〕
厚生年金保険法の保険料の徴収に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 厚生年金保険の保険料の先取特権の順位は、国税にのみ次ぐものとする。

B 厚生年金保険の保険料は、厚生年金保険法に別段の規定があるものを除き、民事執行法上の強制執行の例により徴収する。

C 厚生年金保険の毎月の保険料は、当月末日までに、納付しなければならない。

D 厚生年金保険の保険料は、納付義務者について、民事再生手続きが開始したときは、納期前であっても、すべて徴収することができる。

E 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所または船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aは「保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。」という厚生年金保険法第88条について問いかけてきている問題です。この規定は他の社会保険でも同じようなものだと考えて下さい。Aの問題文は「国税にのみ」の部分が「国税及び地方税に」というようになっていれば良かったのです。よってAは×(誤答肢)となります。

Bは「保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金は、厚生年金保険法に別段の定めがあるものを除き、国税徴収の例により徴収する。」という厚生年金保険法第89条について問いかけてきている問題です。この規定は他の社会保険でも同じようなものだと考えて下さい。Bの問題文は「民事執行法上の強制執行の例」の部分が「国税徴収の例」というようになっていれば良かったのです。よってBは×(誤答肢)となります。

Cは「毎月の保険料は、翌月末日(第4種被保険者及び船員任意継続被保険者が納付すべき保険料については、その月の10日)までに、納付しなければならない。」という厚生年金保険法第83条1項について問いかけてきている問題です。Cの問題文は「当月末日」の部分が「翌月末日」となっていれば良かったのです。よってCは×(誤答肢)となります。

Dは「保険料は、月の各号に掲げる場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができる。
①納付義務者が、次のいずれかに該当する場合。
イ 国税、地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき。
ロ 強制執行を受けるとき。
ハ 破産手続開始の決定を受けたとき。
ニ 企業担保権の実行手続の開始があったとき。
ホ 競売の開始があったとき。
②法人たる納付義務者が、解散をした場合。
③被保険者の使用される事務所が、廃止された場合。
④被保険者の使用される船舶について船舶所有者の変更があった場合、又は当該船舶が滅失し、沈没し、若しくは全く運航に堪えなくなるに至った場合。」という厚生年金保険法第85条について問いかけてきている問題です。ここで、おさえておいて欲しいのは、厚生年金保険法第85条の規定は健康保険法の繰上徴収の規定に④が加わるだけです。
健康保険法と厚生年金保険法は多くの条文が似ています。そして、健康保険法の条文に「船舶関係」を加えただけというパターンがとても多いのです。原因は、「船員保険法」という法律の内、年金部分だけ「厚生年金保険法」に最近組み入れたからです。理由は、やはり「お金がない」からです。国はお金がないから、お金があるところと抱き合わせにしようとします。ですから、健康保険法関係の申請と厚生年金保険法関係の申請用紙は実は3枚綴りになって1枚目に記入すれば、カーボンコピーで複写になって、一枚目は健康保険関係へ二枚目は厚生年金保険法関係へ、三枚目が本人保存用にお持ち帰りとなるパターン化がとても多いのです。機会があればお役所に行って、申請用紙をジロジロと眺めてきて下さいね。Dの問題文の「民事再生手続き」はまだ会社が生き返る可能性があります。それに対して厚生年金保険法第85条の内容は、生き返る可能性はないような事例ばかりです。よってDは×(誤答肢)となります。

Eは「①事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる
②事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。
⑤事業主は、前2項の規定によって保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。」という厚生年金保険法第84条について問いかけてきている問題です。この条文については、健康保険法第167条を見て下さい。「あ~ら、不思議、不思議のメルモちゃん」というように、違う法律なのに、全く同じ文章だとわかりますね。健康保険法と厚生年金保険法は同じような内容の条文が多いことを意識するのとしないのとでは、社会保険労務士試験勉強の効率が全然違います。なぜ似ているかと言えば、健康保険法も厚生年金保険法も「被保険者」として働いているから、どちらも同じように報酬と賞与をもらいます。だから、控除もできます。そして、実は厚生年金保険法独自での保険料納付期間を調べるデータは国にはないのです。だから、健康保険での納付データを流用させてもらっているのです。そういう関係でも、健康保険法と厚生年金保険法は表裏一体としてかなりの法律(条文)が重なっているのです。そうしないと、お役所側の事務処理が煩雑になるから、お役所側に都合の良いように今までもこれからも法律が作られていくからでしょうね。今回のEの問題文はまさに「その通り」です。Eは正解(今回の〔問 3〕の解答)となります。

結論として今回の〔問 3〕の解答は「E」となります。

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