第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 4〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 4〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

厚生年金保険法

〔問 4〕 厚生年金保険法の不服申し立てに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 被保険者の資格、標準報酬または保険給付に関する処分に不服がある者が、社会保険審査官に対して審査請求をした場合、審査請求した日から30日以内に決定がないときは、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

B 被保険者の資格または標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができる。

C 被保険者の資格、標準報酬または保険給付に関する処分についての審査請求及び再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。

D 被保険者の資格、標準報酬または保険給付に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経る前でも、提起することができる。

E 保険料の賦課もしくは徴収に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経る前でも、提起することができる。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

今回の問題は不服申し立てについて知っていますか?という問題です。 不服申し立てとはわかりやすく言えば、「公務員がやった行為について不満があれば言ってちょうだいよ」という制度です。だから、お上である公務員に対して「申し立て」という言葉を使わされているのです。

具体的な条文としてまずABCは 「①被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。 ②審査請求をした日から60日以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に再審査請求をすることができる。 ③第1項の審査請求及び前2項の再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。 ④被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の処分とすることができない。」 という厚生年金保険法第90条について問いかけてきている問題です。

Aは上の②の「60日以内」になると良かったですね。×(誤答肢)となります。

Bは上の④の「することができない」になると良かったですね。×(誤答肢)となります。

Cは上の③の内容通りですね。○(今回の〔問 4〕の解答)となります。

補足説明をします。社会保険審査官は日本全国で、102人です。 http://www.houko.com/00/02/S28/190.HTM のURLに人数についての説明があります。 1つの県当たりに平均して2名ぐらいです。たった2名ぐらいでいろんな文句について審査をするわけです。人手が足りないのは当たり前ですね。もっと人数が多い市町村の介護認定担当の人達でも、認定結果を出すのに「30日以内」という基準があるのです。社会保険審査官が1つ1つの事案の審査決定を出すのに平均したら、30日(約一箇月)以上かかるのは当たり前ですね。本試験で30日以内か60日以内かで迷ったときは、全国で102人しかいない、と思い出すと、「それだけ少ないから時間がかかるよね」という60日以内というAの判断がつきやすいと思います。次に日本は「一事不再理」という法律上の原則があります。一度、裁判などで結果を出したら、「確定した判決がある場合には、その事件について再度、実体審理をすることは許さない」ということです。同じ事を何回くり返しても、時間の無駄である、それよりも他のトラブルについて考えていきましょう、という制度です。そのために裁判では、三審制といって、「地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所」とすすみ、最高裁判所で確定した判決はくつがえすことはできません。社会保険労務士試験の試験範囲での「審査請求の決定→再審査請求での裁決」で確定した内容については、同じ事案であれば「一事不再理」の制度がとられます。これがBの問題の考え方です。Cに関しては他の問題でもやりましたね。

DとEは「不服申立前置主義」についてわかっていますか?という問題です。 DもEも「取消しの訴え」というフレーズがありますね。これは裁判所に訴えるという意味です。裁判所に訴えるためには、日本の法律に照らし合わせて裁判所に訴えても良い内容か否かが判断されます。否と判断されたら「訴え却下」として、門前払い(受け付けてもくれません。時間とお金の無駄だけです)。たとえば、一緒に住んでる10歳の子供がその親が戸棚に隠していたおいしい饅頭(まんじゅう)を勝手に食べてしまったという場合に裁判所に「窃盗罪」で訴えても却下されます。法律は家族内の出来事には原則不介入だからです。たかが、饅頭でも赤の他人の大人がとったら、立派な窃盗罪で裁判所はきちんと「有罪判決」を出してくれるのにね。不服申立前置主義とは、法律に基づく処分に不服のある者が、その処分の取消しを求める訴訟を提起するためには、原則として、審査請求や再審査請求といった不服申立てをまず行い、審査請求に当たってはその決定を、再審査請求に当たってはその裁決を経た後でなければならないと定められています。この原則を、「不服申立前置」といいます。不満があるならば、なんでもかんでも裁判所が受け付けていたら、今現在でも、日本の裁判は「遅すぎる」と言われるぐらいに裁判官の数にくらべて、持ち込まれる事件の数が多いのですから、「はっきり言ってやっていけないよぅ」ということになりますね。だから、裁判所に訴える前に裁判所以前の機関でやるべきことをやってくださいよぅ、というのが不服申立前置主義といいます。ですから、DもEも×(誤答肢)となります。

結論として〔問 4〕の解答は「C」となります。

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