第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 7〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 7〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

厚生年金保険法

〔問 7〕 厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 政府は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。また、この場合において、受給権者が既に当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けていたときは、政府は保険給付をしないことができる。

B 老齢厚生年金の受給権者の死亡に係る遺族厚生年金の額の計算において、老齢厚生年金の受給権を有する配偶者(65歳以上の者に限る。)が遺族であるとき、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数について300か月に満たないときに300か月として計算するが、給付乗率については生年月日による読み替えを行わない。

C 障害厚生年金の受給権者が、故意または重大な過失によりその障害の程度を増進させたときは、直ちに、その者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当する者として額の改定を行うものとする。

D 老齢厚生年金の受給権者が、正当な理由がなくて、厚生年金保険法施行規則の規定により行わなければならない届出またはこれに添えるべき書類を提出しない場合には、保険給付の全部または一部を一時停止することができる。

E 老齢厚生年金の受給権を有する65歳以上の遺族厚生年金の受給権者が、当該遺族厚生年金の裁定請求を行う場合には、厚生労働大臣は、当該受給権者に対し、老齢厚生年金の裁定の請求を求めることとする。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

今回の解説をできましたら印刷して何回かお読み頂くことをおすすめいたします。

まずは、年金の1階部分と2階部分の併給について解説します。

前提としては http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3244 のURLをご覧下さい。

まず大原則として1人1年金です。昭和60年までの旧法の時代には1人で二つ以上の年金をもらってもよいという制度がありました。いわゆる共済年金(公務員年金)です。それが昭和61年4月1日からの新法になって、全ての年金を「基礎年金」という統一した年金にしようとしたから、今も続く混乱が生じたのです。なぜ、混乱が生じる危険性を承知の上でも「基礎年金」に統一したかと言えば、「お金がない」からです。国民年金だけでは、少子高齢化の時代に年金をはらうことが「無理」となることが日本という国のお役人達にも昭和という時代の最後の方になって、わかってきたから年金制度の大改革をしたのです。大改革をしたといっても、今までの国民年金では足りないお金の分を大企業に勤めているから給料もたくさんもらっているので、保険料のとりっぱぐれがないサラリーマン主体の厚生年金や税金からできている給料から納めるから絶対に保険料のとりっぱぐれがない公務員の共済年金とあわせたのです。そして、国民年金は「基礎年金」、厚生年金保険は「基礎年金+厚生年金の二階部分」、共済年金は「基礎年金+共済年金の二階部分」という年金形態にしたのです。ただ、あまりにも、国民年金での老後がこころもとない、という声を無視できなくなったので、国民年金にも「国民年金基金」という二階部分に似せて作った物を創設して国民の不満を解消しようとしているのが今の現状です。 そして、昭和61年以降の統一された「新法」では、1人1年金が徹底してつらぬかれています。理由は簡単です。お金がないからです。お金があれば、昭和60年までのように一人で二年金をもらう人が出ても、良いのです。ここで、あなたは覚えていますか。昭和50年代は高齢者が医療費が無料の時代があったのですよ。今でこそ、2割負担や3割負担といっていますが、70歳以上の高齢者は昭和50年代は負担金が0だった時期があったのです。だから、元気な人の方が病院に行って、病院が、まるで高齢者専用の「喫茶店」や「サロン」のようになっていたのです。ただ、これもお金がなくなったので、高齢者も今のように一部負担金を払うようになりました。さて、1人1年金というルールを徹底したのですが、色々な不満があり、徐々に併給も可能とされてきました。 たとえば、老齢基礎年金の2階には老齢基礎年金というように、同じ支給事由でないと、認められないのが原則ですが、今現在は老齢基礎年金の二階部分には遺族厚生年金ももらうことができるようになりました。これは、せっかく納めた保険料がもったいないではないか、という不満の声を反映させたものとなります。ただし、社会保険労務士試験受験生の立場にとっては、年金の併給調製についてはとてもわかりづらくなっているのも確かです。そこで、年金の1階と2階の関係を簡単にパーフェクトに覚える方法をお伝えしましょう。あなたは、次のイメージ図をノートに何回か各練習をして、社会保険労務士試験本番では、問題用紙の余白にイメージ図をさっと1分以内で書けるようにしてください。これで年金の1階と2階は苦手どころか、逆に他の受験生をつきはなす得点源となりますからね。

↓↓↓ここから↓↓↓

______老厚____障厚____遺厚_(経)——————————–
老基__①________________②____○ ——————————–
障基__②注____①______②注__× ——————————–
遺基_____________________①____× ——————————–

↑↑↑ここまでを1分以内で書けるように何回も練習してください↑↑↑ 文字と文字の間にある「____ 」のアンダーラインは横位置をあわせるためだけのものですから、 あなたがノートなどにこの表を写すときには無視して結構です。

基礎年金と厚生年金の併給早見表

老厚障厚遺厚(経)
老基①は同じ支給事由での併給がOK(片方旧法OUT)
障基②注②注×②は65歳以上でも併給OK
遺基×②片方旧法でもOK

第1段階のポイント①は同じ支給事由での併給がOK(片方旧法OUT)
第2段階のポイント②は65歳以上でも併給OK、
第3段階のポイント②片方旧法でもOK —————————————————–
この第3段階まででたいていの問題は解けます。
第4段階のポイント②注の2つは2階が旧法の場合のみOUT
第5段階のポイント遺厚の経過的寡婦加算は老基との併給のみついたままで、          障基と遺基は満額出るからいらん。

第4段階と第5段階は難問の場合に効果を発揮します。

とにかく、上の第1段階から第5段階までのポイントを①や②や②注や○や×などの記号を見て、頭の中に第1段階から第5段階までのポイントが浮かぶようにしてください。

イメージ図を書くことと、ポイントが頭の中に浮かぶようにできたら、あなたにとって、年金の1階と2階の併給調整は得意分野に変身します。

では、書き方を説明します。 まず、ノートにフリーハンドで横に3本又は4本の腺をひいて、上から「老基」「障基」「遺基」の順に書き込んでください。次の一番上の段に左から「老厚」「障厚」「遺厚(経)」の順に書いてください。これで外枠が完成しました。次に中身の記号を書いていきます。左上から右下にかけて斜めに①を3つ書いてください。次に真ん中の列の左右に「②注」を2箇所書いてください。そして、一番上の右端に「②」と書いて下さい。最後に右端の(経)の下に上から「○××」の順に記号を書き込んでください。以上を1分以内に書き込めるように何回も練習して下さいね。

では、言葉の意味を解説します。言葉の意味として、「老基」は老齢基礎年金、「障基」は障害基礎年金、「遺基」は障害基礎年金、「老厚」は老齢厚生年金、「障厚」は障害厚生年金、「遺厚」は遺族厚生年金、(経)は経過的寡婦加算という名称を意味します。

最後に大切なポイントを解説します。 第1段階のポイントの①は老齢基礎年金の上の老齢厚生年金、障害基礎年金の上に障害厚生年金、遺族基礎年金の上に遺族厚生年金の併給ができるということを示しています。これらは、同じ支給事由ですので、併給されるのは、基本的なルール通りでOKだとわかりますね。しかし、①の場合でも、「ひっかけ問題」が出されて「ひっかかる」受験生も多いのです。旧法での老齢厚生年金と新法での老齢基礎年金は併給できるのか?、旧法での障害厚生年金と新法での障害基礎年金は併給できるのか?、旧法での遺族厚生年金と新法での遺族基礎年金は併給できるのか?という3パターンの問題が「ひっかけ問題」としてだされることがあります。全て「OUTアウト」つまりダメです。併給できません。あなたは、「えっ、老齢基礎年金の上の老齢厚生年金だから良いのじゃないの?」「えっ、障害基礎年金の上の障害厚生年金だから良いのじゃないの?」「えっ、遺族基礎年金の上の遺族厚生年金だから良いのじゃないの?」と思うかもしれません。ダメなのです。理由は簡単です。支給事由が違うからです。ここで旧法とは、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの年金制度のことです。新法とは、昭和61年4月1日以降の年金制度のことです。法律名は「厚生年金保険法」「国民年金保険法」という同じ名称でも、昭和61年の3月と4月を境にして、大きく違う年金制度になってしまっているのです。国がお金がないから、「基礎年金」という制度を作った影響がここに出ているのです。 わかりやすい問題例をあげましょう。「昭和52年に父が亡くなって遺族厚生年金を受給している人が昭和63年に別の家族が亡くなって遺族基礎年金をもらう権利を得た。両者は併給されるか。」という問題文であれば、支給事由が違うので併給できない、とこたえることができる人は多いでしょう。ただし、本試験では「旧法の遺族厚生年金と新法の遺族基礎年金は併給できるか?」と至極簡潔にきいてくるのです。ここで、多くの人は、「同じ名称の基礎年金の上の厚生年金だから、併給できるんじゃないの。」「新法はわかるけど、旧法はわからない、旧法の扱いは甘かったから併給できるんじゃないの?」とひっかかってしまうわけですね。「旧法の障害厚生年金と新法の障害基礎年金との併給はできる」という問題文が出てしまえば、「○」として、ひっかかる受験生は多いのです。よく考えてください。たとえば、同じ右腕の障害だとしても、旧法の昭和61年3月以前に起きた事故などによる障害の症状が固定したから障害厚生年金をもらっているはずでしょう。同じ右腕の障害をもったとしても、昭和61年4月以降の事故での障害では、支給事由(障害の原因となった事故)は時間的に違います。よ~く、考えたら、旧法と新法での併給は名称が同じでも、同じ支給事由に成り得ないことが分かりますよね。「旧法の老齢厚生年金と新法の老齢基礎年金は併給できる?」と聞かれても同じです。旧法の方が保険料納付要件はゆるかったのです。わかりやすく言えば、短い年数で老齢厚生年金がもらえたのです。1番短い場合は15年間保険料を納めただけで、老齢厚生年金をもらうことができました。しかも、旧法の方が額が多いと良いところばかりです。だから、お金がなくなっていくのです。新法は保険料納付要件は25年となりました。すでに旧法でもらうことが確定した老齢厚生年金と新法ではじめてもらうようになった老齢基礎年金とでは、支給要件からしてちがいます。ひっかからないようにしてくださいね。

第2段階でのポイントの②は65歳以上で併給OKとは、「老齢基礎年金の上に遺族厚生年金の併給はOK」「障害基礎年金の上に老齢厚生年金はOK」「障害基礎年金の上に遺族厚生年金はOK」となります。考え方として、支給事由は違うのですが、障害基礎年金をもらう人は、昭和61年4月1日以後に障害の程度が重いから障害基礎年金をもらうようになったのです。障害基礎年金は1級又は2級のみですから、そこまで、障害の程度が重いのならば、働くのはおろか、普段の生活もままならない、つまり、収入は年金ぐらいしかないわけです。そういう社会的弱者の人だから、障害基礎年金をもらうほどの障害になった以降に新たに他にもらう年金があれば、出してあげましょうと言うことで、最近になってから、障害基礎年金の2階は65歳以上であれば「老齢」「障害」「遺族」のいずれも併給可能となったわけです。そして、老齢基礎年金の2階に遺族厚生年金がくるパターンですが、遺族厚生年金をもらうことができる人は、ハイシフソンソで、配偶者、55歳以上の夫、父母又は祖父母、18歳に達する日以後の3月31日までの子、孫、あるいは20歳未満で障害等級1級又は2級の筈です。つまり、収入が少ないことが予想される人達です。つまり、遺族厚生年金も一家の大黒柱がなくなったのだから、なんらかの基礎年金をもらえるならば、その2階につけてあげてもいいよ、という趣旨で最近になって「老基」「障基」「遺基」のいずれの2階に対してもつけてあげるよ、となりました。

第3段階でのポイントは②は片方旧法でもOKです。なぜならば、②の趣旨は、もともと支給事由が違っても、社会的弱者の障害者となった時以降にもらう障害基礎年金の上につけてあげよう、遺族厚生年金をもらうことのできる人は社会的弱者(収入が少ない人)だから、つけてあげようというように、支給事由が違うことを前提にして、二階部分をつけています。だから、①のように、旧法と新法では、時間的に同じ原因には成り得ない、つまり支給事由が違う、という支給事由を問わない設定なので、②は旧法と新法でもOKとなります。

第4段階での②注の2階が旧法OUTは、第2段階や第3段階の説明をよく見て欲しいのですが、障害の程度が1級や2級という重い障害になったために、働くことが出来ないから収入としては年金以外にはないから、障害基礎年金の上に他の年金をもらうようになったらすべて認めてあげましょう、という趣旨ですね。2階が旧法の場合は、1階の障害基礎年金をもらう前の年金ですね。つまり、旧法と言うことは、時期的にまだ障害になっていない段階での年金です。つまり、重い障害を持ったとき以降だから、特別に2階を認めようと言う趣旨に反します。まだ、障害を持っていない段階での年金ですから、OUT併給はしないよ、ということでかなりの難問になりますね。

第5段階での○××は経過的寡婦加算というものは、老齢基礎年金に遺族厚生年金が併給されるときだけつきます。経過的寡婦加算の意味は、満額の老齢基礎年金をもらうことができないから、その分色を付けて補充してあげましょう、という趣旨での加算金です。ということは、障害基礎年金と遺族基礎年金は、いずれも老齢基礎年金の満額分のお金をもらいますね。つまり、経過的寡婦加算で基礎年金が少なくなっている分を補充するという意味がないわけです。

以上のポイントは今は難しく感じると思いますので、機械的にさきほどのイメージ図を書いて5つのポイントを口ずさむことができるようにすれは良いのです。機械的に解答できるようにしましょう。

ポイントの解説は余裕がある人だけ、じっくりと読んで頭に入れてみてください。

Aは「①政府は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。②前項の場合において、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、保険給付をしないことができる。」という厚生年金保険法第40条について問いかけてきている問題です。Aの問題文では、「保険給付をしない」というフレーズがあります。これは、保険給付を全部しないというニュアンスです。そうでなければ、「全部又は一部」や「一部」という語句が入るはずですから・・・。損害賠償を受けた範囲内での保険給付は二重になるからしないよ、という趣旨ですので、Aは×(誤答肢)となります。

Bは厚生年金保険法第60条の遺族厚生年金の額をきちんと理解していますか?という問題です。遺族厚生年金は次の2パターンのどちらかとなります。 原則として、死亡した者の被保険者期間が300月に満たない場合は、300月(保険料納付要件の25年)に増やして計算した老齢厚生年金額の4分の3の額とする。 例外として、老齢厚生年金等の受給権を有する配偶者(65歳に達している者に限る)の場合だけ (1)原則の額 (2)原則の額×3分の2+その配偶者本人の老齢厚生年金等の額の2分の1 の(1)(2)のどちらか多い額とする。 わかりやすいように具体的な金額で示すと、ある人が亡くなって、計算した遺族厚生年金が300万円だったとします。配偶者自身の老齢厚生年金が400万円だったとします。 (1)原則の額は300万円です。 (2)300万円×3分の2+400万円×2分の1=350万円となります。 この場合は、(2)の350万円を選ぶこととなります。 この制度の趣旨は、65歳に達していて、老齢厚生年金の受給権を有する配偶者ならば、老齢厚生年金もある程度の金額になるはずである。それにひきかえ、遺族厚生年金は亡くなった人の老齢厚生年金の4分の3とあらかじめ減額されている。少しでも、配偶者の額が多くなるようにしよう、という趣旨です。ここで、覚えておいて欲しいのは、国民年金法の遺族では「子」が、厚生年金保険法の遺族関係では「配偶者」がとても優遇されています。これを意識的に覚えているだけでも、今後の問題が解きやすくなります。今回のBの問題文では、この配偶者のことについて聞いてきているのではなく、死んだ被保険者も老齢厚生年金の受給権者であった(つまり国民年金で25年以上などの保険料納付要件を充たした上で、厚生年金にも加入していた)というひっかけ問題です。生年月日の関係で25年ではなく20年で保険料納付要件を充たしていた人でも、死んだ場合には、300月補償となります。なおかつ、保険料納付要件を充たしたという「長期要件」での遺族厚生年金ですから、基礎計算となる老齢厚生年金の給付乗率も生年月日による読み替えを行います。ですから、Bは×(誤答肢)となります。はっきりいって、このBの問題を本試験で見た場合には、わからなくてパスして良い問題です。この問題を解くことが出来る受験生はそんなにいないのではないかなぁ、と個人的に感じる位の難問です。

Cは「障害厚生年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、第52条第1項(職権による障害厚生年金の額の改定)の規定による改定を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、同項の規定による改定を行うことができる。」という厚生年金保険法第74条について問いかけてきている問題です。 考え方として、厚生年金保険法の給付制限は次の覚え方をして下さい。

A絶対的給付制限→保険給付をしない (1)被保険者又は被保険者であった者が、故意に、障害又はその直接の原因となった事故を生じせしめたときは、当該障害を支給事由とする障害厚生年金又は障害手当金は、支給しない。 (2)遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者を故意に死亡させた者には、支給しない。被保険者又は被保険者であった者の死亡前に、その者の死亡によって遺族厚生年金の受給権者となるべき者を故意に死亡させた者についても同様とする。 (3)遺族厚生年金の受給権者は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させた時は、消滅する。

覚え方として、「故意(結果を予想して行為すること)に他の者を殺した」「故意に障害を予想した事故を起こした 」というように、故意(結果を予想した行為)で、自分にお金が入ってくるようにした場合は、保険給付はしません。

B相対的給付制限→全部又は一部の支給をしないことができる (1)被保険者又は被保険者であった者が、故意の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生ぜしめ、若しくはその障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。 (2)年金たる保険給付は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。 ①受給権者が、正当な理由がなくて、第96条第1項(受給権者に関する調査)の規定による命令(物件の提出命令)に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかったとき。 ②障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は第44条第1項(老齢厚生年金の加給年金額)の規定によりその者について加算が行われている子が、正当な理由がなくて、第97条第1項(診断)の規定による命令(受診命令)に従わず、又は同項の規定による診断を拒んだとき。 ③前号に規定する者が、故意若しくは重大な過失により、又は正答な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の回復を妨げたとき。

覚え方として、(1)のパターンではまだ保険給付を受けていない者が「故意若しくは重大な過失」ときた時は、「全部又は一部をしないことができるんだな」という覚え方をして下さい。(2)のパターンでは、年金を受けている者が「正当な理由がなく」というフレーズが入っているときも「全部または一部をしないことができるんだな」と覚えておいて下さい。

最後に、その他の珍しいパターンです。 (1)障害厚生年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、第52条第1項(職権による障害厚生年金の額の改定)の規定による改定を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、同項の規定による改定を行うことができる(厚生年金保険法第74条)。 (2)保険料を徴収する権利が時効によって消滅したときは、当該保険料に係る被保険者であった期間に基づく保険給付は、行わない。但し、当該被保険者であった期間に係る被保険者の資格の取得について第27条(事業主の届出)の規定による届出又は第31条1項(確認の請求)の規定による確認の請求があった後に、保険料を徴収する権利が時効によって消滅したものであるときは、この限りでない(厚生年金保険法第75条)。 (3)受給権者が、正当な理由がなくて、第98条第3項(届出等)の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる。

その他の珍しいパターンの3つは何回か見直して覚えてもらうしかないですね。 イメージとしては、(1)は医者が早く良くなるようにという思いで指示してくれた言葉に従わずに障害を悪くしてもしりませんよ(2)は時効と言うことは、保険料を払わないのが2年以上も続いているのに、お金をくれ(保険給付してくれ)というのは勝手すぎますよ(3)あなたの責任で書類を出さないのならば、その分の保険給付を差し止めますよ、ただし、差し止めだから、後から書類を出してきたら、「次から遅れないでね」と、いったん注意をしてから、お金(保険給付)をだしてあげますよ、というニュアンスだとイメージすると覚えやすいと思います。

社会保険労務士試験の本試験で1番役に立つ覚え方は、「故意に殺した」「故意に障害になった場合だけ、「保険給付を行わない」それ以外は「行わないことができる」と「できる」という言葉がついているというこです。 だから、今回のCも文末が「行うものとする」というように確定的な言い方をしているので×です。確定的な言い方をするのは、「故意に殺した」「故意に障害になった」場合だけだと覚えておけば、かなりの問題で助かりますよ。難しい問題だと思ったら、文末が「言い切り(確定的)の表現」か「できる(しなくてもよいというやんわりとした表現)」かの違いで判断すると言うことを頭に入れて下さい。社会保険労務士試験の本試験の文章は、わざと勘違いしそうな表現をこれでもかと入れてくるので、受験生は「パニック」になって、勝手に悩むのです。まよったら、「文末が言い切りかやんわり」かの二者択一だという割り切りでもかなりの短時間での正答が導き出せます。これをわかっているのは、試験慣れしたかなりハイレベルの受験生だと思っています。 よって、Cは「故意又は重大な過失」という言葉で「故意」という単語に反応してしまいますが、「故意に殺した」「故意に障害になった(自分でわざと包丁で左手を肩から切り落として障害状態にした)」のどちらでもありません。「故意又は重大な過失」の具体例としては、前後不覚になるまでへべれけになるまで、飲んでから飲酒運転をして電柱にぶつかったということが1つの例です。これは、それだけ飲んで車を運転すれば、「故意に交通事故を起こした」ととらえるのが自然です。しかし、飲酒運転で交通事故を起こすのは、予想されていても、それが「自分が障害状態になることを予想する」ことは普通はできないです。年末年始では、飲酒運転の検問が多くなるので、ひっかかるドライバーの人もふえますが、ほとんどの人は「少し危険かも知れない」と思って運転はします(これは重過失に値する)が、「障害状態になるかもしれない」と思って運転はしないと思います。そういう私も「昭和時代」には、飲酒運転をしたことがありますが、「危ないかも知れない」とは思っていても「障害状態になるかも知れない」と思って運転したことはありません。つまり、障害状態に対する「故意(結果を予想して行為すること)」は全くありませんでした。よって、Cは×(誤答肢)となります。

Dは、さきほどのCの説明にある「書類」を出さないのですから、「出すもの出さないのならば、くわしい判断ができないから、ちょっと保険給付も全部は出せないなぁ、ちょっと止めとくよ。出すもの出したら、保険給付もお金も全部出してあげるからね」というニュアンスですので、「停止」ではありません。「停止」は二度とでませんが、「差し止め」は、こちらが預かっているだけ(保留)ですから、出してあげたいけど止めているよというニュアンスですよ。よってDは×(誤答肢)となります。

Eは年金額の増額と減額についてわかっていますか、という問題です。これは基礎年金つまり1階部分が国民年金であるということをしっかりわかっていますか?という問題です。本来は65歳からもらえるはずの老齢年金をもっと早くもらいたい人や、生活費には余裕があるから遅くもらい始めるかわりにその分たくさんもらえるようにしてほしいという場合がありますね。早くもらう場合は1月当たり0.5%ずつ、遅くする場合は、1月につき0.7%の分だけ増減しますね。具体的にいえば、65歳時点で50万円の老齢基礎年金をもらう人が60歳からほしいと言えば、5年(60か月)早いということは、0.05×60=30%減額だから50万円×70%=30万円の老齢基礎年金を毎年死ぬまでもらうことができます。逆に65歳からもらうはずの老齢基礎年金を70歳からもらうとすれば、5年(60か月)おそいから0.7%×60=42%の増額ですから、50万円×142%=71万円の老齢基礎年金を毎年死ぬまでもらうことになりますね。65歳になる直前に年金裁定請求書が贈られてきます。この書類に65歳から年金をもらいます、と書いて郵送すれば、65歳から年金がもらえます。しかし、送らなければ、年金はもらえません。つまり、裁定請求をしなければ年金はもらえません。裁定請求という言葉は「裁定=年金をもらう資格を確認すること」「請求=自分のために何かをしてほしいと要求すること」をつなぎあわせて「裁定請求=自分が保険料納付期間と年齢の資格の2つとも満たしているから老齢年金をもらうという資格があるのだと確認して下さい。そして、確認したならば、私が希望するときから年金を支給して下さい」というものなのです。ですから、65歳の時点で請求をしていなければ、年金はもらえません。しかし、請求したときから年金はもらえます。つまり厚生労働大臣に「老齢年金をちょうだいよ」というのが裁定請求ということになります。老齢年金をもらうためには「裁定=自分は年金をもらう資格がある人間ですよ。だから、年金くださいな」と厚生労働大臣に請求しなければ年金はもらえません。そして、これは社会保険労務士試験勉強ではほとんど出てこないのですが、非課税年金には遺族(基礎・厚生)年金や障害(基礎・厚生)年金などがあります。つまり、同じ額の年金をもらうならば、今回の問題の場合は、老齢年金よりも、遺族年金の方が非課税だから、実質的な収入が多くなるわけです。するとこういうことを考える人がいます。「よし、私は今65歳だ。老齢年金と遺族年金の両方共に受給資格はある。しかし、一人一年金だから、非課税の分、遺族年金の方が得だから遺族年金をもらおう、そして70歳になったら42%の増額になった老齢厚生年金に切り替えよう。42%増しならば、税金を払っても、老齢年金の方が得だからな。」以前は、こういう方法もありでした。しかし、今は国はお金がないのです。こういうことをやってもらったら困るのです。ですから、遺族年金という名称でも、年金をあげるならば、他の年金もそこまでの額で計算(カウント)するよ、としたのです。これを役所の方ですべての手続きを勝手に進めることができれば良いのですが、老齢年金は、受給権者が裁定請求をするというルールがあります。もらいたいという本人が、「保険料納付要件&年齢要件」を満たしているから年金ちょうだいという請求「裁定請求」をしなければ、年金はあげない、というルールがあるのです。しかし、「ずるがしこい人」は「そんなんしらなかったよぅ~」と「シランプリ」をします。だから、大臣名で「老齢年金の裁定請求しないとあんたがほしいという遺族年金あげないよぅ~」というわけです。すぐに遺族年金がほしい人は「仕方がないなぁ」と老齢年金の裁定請求をします。生活資金に余裕がある人は、「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」という昔の江戸幕府をひらいたどこかのお侍さんみたいに、損得の天秤にかけて待つのです。というイメージにすると、Eの問題文がわかりやすいと思います。このEの問題文もむずかしい問題文です。この問題を知っている人もかなりのハイレベルの受験生だと思います。よってEは○(今回の〔問 7〕の正解)となります。

結論として、今回の〔問 7〕の解答は「E」となります。

本当にこの問7はむずかしい問題でしたね。

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