第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 8〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 8〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

厚生年金保険法

〔問 8〕
日本年金機構への厚生労働大臣の権限に係る事務の委任に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 被保険者の資格の取得及び喪失に係る厚生労働大臣の確認。ただし、適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者で厚生労働大臣の認可を受けて被保険者の資格を取得または喪失するとき、及び厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所でなくすることになった被保険者の資格の喪失を除く。

B 厚生労働大臣自らが行うことを妨げないとされている、年金たる保険給付の受給権を有し、またはその者について加算が行われている子に対して、その指定する医師の診断を受けるべきことを命じ、または当該職員をしてこれらの者の障害の状態を診断させる権限。

C 厚生年金保険法第9章「厚生年金基金及び企業年金連合会」に規定する厚生労働大臣の権限のうち、厚生年金基金に係る権限の一部。

D 離婚分割における第1号改定者及び第2号改定者の標準報酬月額及び標準賞与額の改定または決定を行う権限。

E 適用事業所の取消しの認可、2以上の適用事業所(船舶を除く。)を一の適用事業所とすることの承認。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aは「①厚生年金保険は、政府が管掌する。
②厚生労働大臣の権限に係る事務の一部は、日本年金機構に行わせるものとする。
③厚生労働大臣の権限は、地方厚生局長に委任することができる。地方厚生局長に委任された権限は地方厚生支局長に委任することができる。」という管掌の規定をしっていますか?という問題です。
ここで覚えておいて欲しいのは、厚生年金保険自体は国が管掌して代表者としては厚生労働大臣となります。ただし、実務(実際に民間人のために厚生年金保険関係の仕事をする公務員は2つの団体となります。)は、年金関係は日本年金機構でそれ以外は地方厚生局となります。年金部門で、たとえば、いつ被保険者になったかという届出をうけて、いつ被保険者でなくなった、つまり被保険者期間を把握しますね。こういう事務的な手続きの一部を委任されると言うことです。ここで、注意して欲しいのは、日本年金機構には「事務の一部」を行わせるのです。つまり、被保険者等が届けてきたり、請求したりしてくれば、提出した書類などをみて、不備がなければ「はい、どうぞ」と受け付けるだけです。日本年金機構独自で、判断する権限は委任されていません。これをおさえておくと、社会保険労務士試験の本試験でかなり有利になります。そして、地方厚生局には「権限を委任することができる」とありますね。つまり、地方厚生局には、届けや請求内容を「審査」して、書類不備がなくても、受け付けたり、却下したりができるのです。実際に「審査請求」を受け付ける「社会保険審査官」も地方厚生局の中にいるのです。もう一度まとめます。年金関係を受け付ける日本年金機構は、事務の一部を代行するだけ、つまり書類さえきちんとしていれば、受け付けるだけです。マニュアル通りに動けばよいわけです。それに対して、地方厚生局は、地方厚生局独自で、判断する権限があります。マニュアルにないことも、判断する必要があるのです。では、今回のAの日本年金機構の役割について聞いてきている問題文はどうなっているでしょうか。「資格の取得又は喪失の確認」、つまり、書類を受け付けて、不備がないか見るだけですから、マニュアル通りですむことです。○(正答肢)となります。

Bは加算が行われている子に対して、証明書(医師の診断書、または職員の確認)を出すようにと指示するだけですから、マニュアル通りの指示で済みます。○(正答肢)となります。

Cは厚生年金基金についてわかっていますか?という問題です。「厚生年金保険法第9章(厚生年金基金及び企業年金連合会)に規定する厚生労働大臣の権限のうち厚生ねんきんききんに係るものは、厚生労働省令の定めるところにより、その一部を地方厚生局長に委任することができる。前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令の定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。」という厚生年金保険法第180条について問いかけてきている問題です。厚生年金基金というものは、昭和40年代の給料倍増計画の時代にできた今で言えば、1階基礎年金、2階厚生年金、3階厚生年金基金という年金のようなものの三階部分も作ろうじゃないか、という趣旨でつくられたものです。今となっては、信じられないのですが、バブルで日本が好景気に沸いていたときに創設されたので、サラリーマンで厚生年金だけに加入している人の平均してもらう額の3.23倍の額をもらえるのを目標に設定(代行部分の設定)していたのです。具体的に言えば、ある人が老齢基礎年金50万円、老齢厚生年金100万円を65歳以降にもらうとしたら、この人が厚生年金基金に勤め始めたときから退職するまでずっと厚生年金基金に加入していた人ならば最高倍率の3.23倍つまり、老齢基礎年金50万円で、老齢厚生年金323万円というように、100万円が3.23倍の323万円になるという夢のような目標をたてていたのです。今の時代、そんなお金があるわけもなく、厚生年金基金は結局大企業が作ったものなので、どんどんつぶれていっています。何年か前まで新聞などをにぎわせていましたね。「代行返上」という言葉が、厚生年金基金がつぶれていくことなのです。報酬比例部分、つまり老齢厚生年金部分の代行はお金がないのでできなくなりました、と厚生年金基金という団体(法人)が降参して退散(解散)、結局はつぶれていっているのが今現在の現状です。よって、Cは日本年金機構には関係のない話ですので×(今回の〔問 8〕の解答)となります。

Dは「離婚分割の受付」をマニュアルに沿って、行うだけですから○(正答肢)となります。

Eも、マニュアルに沿って行うただの受付ですので、○(正答肢)となります。

結論として今回の〔問 8〕の解答は「C」となります。

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