第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 国民年金法 〔問 2〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 国民年金法 〔問 2〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

国民年金法

〔問 2〕 国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 脱退一時金の支給について、請求の日の属する月の前日までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間を3か月及び保険料4分の3免除期間を4か月有する者であって、法所定の要件を満たすものは、その請求をすることができる。

B 厚生労働大臣は、国民年金制度に対する国民の理解を増進させ、その信頼を向上させるため、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者及び受給権者に対し、被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報を分かりやすい形で通知するものとする。

C 厚生労働大臣に対し、保険料の納付事務を行う旨の申出をした市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、保険料を滞納している者であって市町村から国民健康保険法第9条第10項の規定により特別の有効期間が定められた国民健康保険の被保険者証の交付を受け、または受けようとしている被保険者の委託を受けて、保険料の納付事務を行うことができる。

D 老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をしたときは、当該年金の受給権を取得した日の属する月から当該申出を行った日の属する月までの月を単位とする期間に応じて一定率の加算をした額が支給される。

E 被保険者の死亡の当時、障害の状態にない遺族基礎年金の受給権者である子が、18歳に達した日以後最初の3月31日が終了するまでに障害等級に該当する障害の状態になった場合、当該障害状態にある間については年齢に関係なく当該遺族基礎年金の受給権は消滅しない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aは脱退一時金についてわかっていますか?という問題です。「脱退一時金」とはなんのことでしょう。一時金と言うからには、一時的なお金のことだと推測できます。また、「脱退」という言葉からは、「その組織を抜け出すこと」だということも推測できます。言葉だけをつなげると、国民年金から抜け出して一時的なお金をもらうという推測は可能ですね。でも、それだけでは社会保険労務士試験の本試験の問題を解くことはむずかしいでしょうね。では、わかりやすく解説します。脱退一時金とは、具体的な例を挙げると、20歳以上60歳未満の外国人(外国籍の人のことです)が平成5年4月1日に日本に来て、平成16年3月31日に本国に帰国しました。その間に、生活費を稼ぐために、本国でもやっていた、喫茶店を日本にきてからも初めて、国民年金の第1号被保険者としての保険料も日本にいるあいだはずっとおさめていました。しかし、本国の両親の具合が悪くなったので、平成16年3月31日をもって本国に帰り、それ以降は両親の面倒をみるために、2度と日本に来ることはないでしょう。こういう外国籍の人がいたとします。この人が支払った平成5年4月1日から平成8年3月1日までの3年間(36月)分の保険料はどうなるのでしょうか。もう2度と日本にはこない、この外国籍の人が3年間(36月)の間に払い込んだ保険料は、「日本政府」が「よっしゃラッキー」ともらったままなのでしょうか?、という疑問に答えるために「脱退一時金」という制度があります。結論として、払ったお金の半額を「脱退一時金」として、返還しましょう、という趣旨のお金です。具体的な「脱退一時金」の金額は平成22年度での金額を例に挙げると平成22年度の国民年金の保険料は基本額として14,980円です。この基本額に保険料改定率という物価変動を考慮した額をかけると、実際に納める保険料となります。平成22年度の保険料改定率は1.008ですので、14,980円×1.008=15,099.84円→15,100円(四捨五入ならぬ49捨50入で計算する)となり、実際の平成22年度の国民年金の保険料は一箇月当たり15,100円です。

納付した保険料月数 6月以上12月未満は3月分返還だから15,100円×3か月分=45,300円返還 12月以上18月未満は6月分返還だから15,100円×6か月分=90,600円返還 18月以上24月未満は9月分返還だから15,100円×9か月分=135,900円返還 24月以上30月未満は12月分返還だから15,100円×12か月分=181,200円返還 30月以上36月未満は15月分返還だから15,100円×15か月分=226,500円返還 36月以上は18月分返還だから15,100円×18か月分=271,800円返還 となりますね。

ちなみに、第43回社会保険労務士試験が実施される平成23年度の国民年金の保険料は基本額は15,260円です。基本額は毎年280円ずつあがると決定しています(最終的には平成29年度の16,900円が上限とされています)。そして、平成23年度の保険料改定率は平成23年3月31日が過ぎれば、計算結果が発表されます。いまは、まだ平成22年度の途中ですので、平成23年度の保険料改定率は発表されていません。また、5月や6月の新聞などに保険料改定率が発表されるのではないかと思っています。 ここで、上の表を見て次のように考える人がいますね。「そうかぁ~、払った保険料の半額が戻ってくるのかぁ~。えっ、ちょっと待てよ。でも、36月以上は18か月分返還で頭打ちだなぁ。もし、15年間(180月間)ものあいだ、国民年金の保険料を納めても、18か月分しか返還されないのかぁ、それは10分の1となって、大きく損をしてしまうよぅ~。」と考えた人はよく考えた人ですね。大丈夫です。心配しないで下さい。実は、外国との間に、「年金加入期間の通算」というものがあります。

外国との社会保障協定における「年金加入期間の通算」とは、日本と相手国との年金加入期間を相互に通算し年金受給権を獲得できるようにするものです。  一方で、国民年金の保険料を納めた期間又は厚生年金保険に加入した期間が6か月以上ある外国籍の人は、出国後2年以内に請求を行うことで加入期間等に応じて計算された一時金が支給される「外国人脱退一時金制度」があります。  この外国人脱退一時金の支給を受けた場合、その期間は、協定において年金加入期間として通算できなくなります。  したがって、社会保障協定によって「年金加入期間の通算」が可能となっている相手国の人については、将来通算により年金として受給するか、外国人脱退一時金を受けるかを、十分見極めることが必要です。 わかりやすくいえば、アメリカで20年(240月)もの年金原資の保険料をおさめた日本人が日本に帰国した場合は、日本で5年間(60月間)の保険料をおさめたら、合算して25年の保険料納付済期間とカウントされ、日本での老齢年金がもらえます。 ちなみに、社会保障協定によって「年金加入期間の通算」が可能となっている国については、 http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=5068 のURLをご覧頂くとお分かりになると思いますが、表にまとめてご紹介すると、

社会保障協定

協定相手国二重加入防止の対象となる制度年金加入期間の通算措置
ドイツ日:年金制度
独:年金制度
あり左の表の内容を
イギリス日:年金制度
英:年金制度
なしひとつひとつ覚える
韓国日:年金制度
韓:年金制度
なし必要性は社会保険労務士
アメリカ日:年金・医療保険制度
米:年金・医療保険制度
あり試験合格を目的とする
ベルギー日:年金・医療保険制度
白:年金・医療保険・労災保険・雇用保険制度
ありならば覚えなくて結構です。
フランス日:年金・医療保険制度
仏:年金・医療保険・労災保険制度
ありただ、こういう協定もあるのだ
カナダ日:年金制度
加:年金制度
ありという事実だけを知って
オーストラリア日:年金制度
豪:年金制度
ありいれば充分です。

となっています。この表の読み取り方は、例えば、アメリカとの社会保障協定では、日本とアメリカとの間では、「年金・医療保険制度」での互換性があります。具体的にいえば、 日本人は日本国籍を持ったままで、アメリカでもアメリカの年金保険料をおさめることができますし、アメリカでの保健医療機関で診療してもらうことも出来ます。また、アメリカ国籍を持っている人も、日本での国民年金の保険料を払うことも出来ますし、日本での保健医療機関で診療してもらうことが出来ます。また、日本で18年アメリカで7年の保険料をおさめていても、通算して日本で25年の保険料納付済み期間とカウントしてもらうことが出来ます、という読み取り方をしてください。ただし、この表に関しては、日本の社会保険労務士試験に関しては、今のところは、出題されないだろうと私個人は思っています。 ながながと色々なことを解説しましたが、問題文にもどりましょう。 Aの問題文は「保険料納付済み期間3か月及び保険料4分の3免除期間を4か月有する者であって」とありますね。保険料納付済み期間が6か月分あれば良いのです。しかし、保険料4分の3免除と言うことは、実際に払ったのは保険料4分の1ですね。保険料を4分の1払った期間が4か月でも、1か月分の保険料額しかはらっていませんね。だからAの問題文では3か月+4分の1×4か月=4か月分の保険料となり、6か月に足りないので、脱退一時金をもらうことができませんね。ひっかかって○とした人は、ひょっとしたら3か月+4分の3免除×4か月=6か月という早とちりをしたのかもしれませんね。よってAは×(誤答肢)となります。

Bは「厚生労働大臣は、国民年金制度に対する国民の理解を増進させ、及びその信頼を向上させるため、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者に対し、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報をわかりやすい形で通知するものとする。」という国民年金法第14条の2について問いかけてきている問題です。被保険者に対し、将来の年金額を知らせて、納付状況が芳しくない人には、もっとちゃんと払わないと、年金額が少ないままですよ、と知らせる意味合いも隠されています。よって、年金額が確定した受給権者に送っても意味がないわけですね。つまりBの問題文の「被保険者及び受給権者に対し、」のフレーズは「被保険者に対し、」のように受給権者は不要です。よってBは×(誤答肢)となります。

Cは「次に掲げる者は、被保険者(国民年金基金又は国民年金基金連合会にあっては国民年金基金の加入員に、厚生労働大臣に対し、納付事務を行う旨の申出をした市町村にあっては保険料を滞納している者であって市町村から国民健康保険法第9条第10項の規定により特別の有効期間が定められた国民健康保険の被保険者証の交付を受け、又は受けようとしている者に限る。)の委託を受けて、保険料の納付に関する事務(以下「納付事務)という。を行うことができる。 ①国民年金基金又は国民年金基金連合会 ②納付事務を適正かつ確実に実施することができると認められ、かつ、政令で定める要件に該当する者として厚生労働大臣が指定するもの。 ③厚生労働大臣に対し、納付事務を行う旨の申出をした市町村」という国民年金法第92条の3,1項について問いかけてきている問題です。この条文中の「国民健康保険法第9条第10項」とは、「市町村は、被保険者証及び被保険者資格証明書の有効期間を定めることができる。この場合において、国民健康保険法の規定による保険料を滞納している世帯主、国民年金法の規定による保険料を滞納している世帯主その他厚生労働省令で定める者の被保険者証については、特別の有効期間を定めることができる。」という内容になっています。この「特別の有効期間」の意味は、保険料を滞納している状況がひどい者に関しては、被保険者証の有効期間を3ヶ月や6ヶ月にしてもかまわない、というものです。つまり、病気や怪我をしたときに、病院(保健医療機関)で診察してもらう場合は、一般的には自己負担額は3割負担で済む場合が多いのですが、国民健康保険や国民年金の保険料の滞納状況がひどい場合には病気や怪我をした場合でも、全額自己負担しなさいよ、という趣旨です。これは、保険料を払うことができるのに、とぼけて払わない人は、「ダメですよ」という趣旨の条文です。本当に払うことが出来ない人は、「生活保護」の申請をするなど、市町村の窓口で相談をすれば良いことになっています。そして、高校生以下の子どもに関しては、親が保険料を払わなくて、保健医療機関で診てもらうときには、全額自己負担(保険がきかない、といいます)であったとしても、「子どもに罪はない」という趣旨で、あいかわらず、3割負担で保健医療機関で診察をうけることができるとされています。よって今回のCの問題文はまさに、国民年金法第92条の3のそのままの文章ですので○(今回の〔問 2〕の解答)となります。

Dは老齢基礎年金の支給の繰り下げについてわかっていますか?という問題です。もう1度老齢基礎年金の支給繰り下げについて考えてみましょう。本当は65歳になった時から老齢基礎年金をもらうことができるはずなのに、1年以上我慢をした人に対しては、5年(60月)を限度として、一月の我慢に対して0.7%分ずつ年金額を増加するものでしたね。具体的に言えば、老齢基礎年金の額が50万円の人が、まるまる5年間受給を我慢して70歳から老齢基礎年金をもらい始めたとすると、0.7%×5年(60か月)=42%分の増額となります。つまり、50万円×142%=71万円の老齢基礎年金を70歳からもらうことができるのです。では、日付について考えてみましょう。ある人が平成23年の6月18日に65歳の誕生日を迎えて、60万円の老齢基礎年金をもらうことになったと仮定しましょう。 この人がはじめて老齢基礎年金というお金を銀行口座に振り込んでもらうのは、平成23年の6月に年金をもらう資格ができたので、実際に振り込んでもらうのは翌月の平成23年7月となります。そして、支給開始月と死亡月以外の分は原則として偶数月に2か月分まとめて振り込まれます。よって平成23年6月分は平成23年7月に50,000円(年額600,000円÷12か月=一箇月分は50,000円です)が銀行口座に振り込まれます。つづく、平成23年8月には平成23年7月の分の老齢基礎年金分の50,000円が銀行口座に振り込まれます。そして、平成23年10月以降は原則通りに平成23年8月と9月に生きていた分の2か月分100,000円が平成23年10月15日に銀行口座に振り込まれます。平成23年10月と11月に生きていた分は平成23年12月15日に100,000円が振り込まれます。死ぬまで老齢基礎年金は永久に振り込まれます。年金の支給付きは原則として偶数月で、振込日は原則として15日です。15日が土日祝祭日の場合は前にスライドされます。たとえば、ある月の15日が日曜だった場合は、13日の金曜日が祝日でない限り、13日の金曜日に、今回の場合は、100,000円が原則として銀行口座に振り込まれることになります。たとえば、今回の65歳の誕生日が平成23年6月18日で老齢基礎年金が60万円の予定の人が68歳の誕生日を迎える平成26年6月18日から老齢基礎年金をもらいたいと裁定請求したとしましょう。まだ増額率は0.7%×3年(36月)=25.2%となります。600,000円×125,2%=751,200円の年金額となります。一箇月当たりの額は751,200円÷12か月=62,600円となります。つまり、この人は、平成26年6月18日に権利を獲得したので翌月の平成26年7月15日に62,600円が銀行口座に振り込まれます。まだ、続く平成26年8月15日にも62,600円が銀行口座に振り込まれます。そして、平成26年10月15日からは原則通りに2か月分ずつの125,200円が銀行口座に死ぬまで振り込まれ続けることになります。もちろん、増額対象になるのは、平成26年6月18日に支給繰り下げでもらう権利を取得するのですから、その直前の月である平成26年5月分までが我慢した月としてカウントされます。そして、年金は日割り計算はしませんので、この人が6月18日に誕生日を迎えると言うことは、6月1日から6月17日までは権利を取得していないはずなのですが、気持ちよく6月1日から6月30日までの一箇月分として62,600円分の年金額が銀行口座に振り込まれることになります。よってDの問題文の「当該申出を行った日の属する月までの月を単位とする」というフレーズは「当該申出を行った日の属する月の前月までを単位とする」になれば良かったのです。上の具体例でも、権利ができた6月18日の6月ではなくて、5月までの分です。6月は1日であっても、年金が月割りとして日割りよりも大目にもらえますので、もらう立場に立てば、「よしよし」という状態で文句はないはずです。よってDは×(誤答肢)となります。

Eは障害状態にある子の年齢要件がわかっていますか?という問題です。今回の問題文の最後は「当該障害状態にある間については年齢に関係なく当該遺族基礎年金の受給権は消滅しない」というフレーズは大間違いだとわかります。なぜならば、障害等級1級や2級という思い障害の状態の人は、20歳になったときには障害基礎年金を本人がもらうことができます。つまりあたらしく、障害基礎年金をもらうことができることになれば、同じ至急事由(今回は同じ障害が至急事由になっていますね)では、一人1年金ですから、遺族基礎年金の受給権は20歳で消滅しますね。ですから、「年齢に関係なく」という部分は大間違いだということがわかりますね。よってEは×(誤答肢)となります。

結論として今回の〔問 2〕の解答は「C」となります。

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