第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 国民年金法 〔問 3〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 国民年金法 〔問 3〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

国民年金法

〔問 3〕 国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者が、任意加入被保険者となる申出を行おうとする場合には、口座振替納付を希望する旨の申出または口座振替納付によらない正当な事由がある場合として厚生労働省令で定める場合に該当する旨の申出を、厚生労働大臣に対して行わなければならない。

B 脱退一時金の額は、改定率の改定による自動改定(賃金・物価スライド)の対象とされないが、保険料の額の引上げに応じて、毎年度改定される。

C 老齢厚生年金または障害厚生年金の加給年金額の計算の基礎となっていた配偶者が、老齢基礎年金の受給権を取得したときは、その者の老齢基礎年金の額に加算額を加算する特例が設けられている。

D 年金たる給付(付加年金を除く。)については、経過措置により、平成16年改正後の規定により計算された額が、平成12年改正後の規定により計算された額に0.978を乗じて得た額(平成24年度価額)に満たない場合には、後者の額がこれらの給付額とされる。(一部改正)

E 国民年金基金が支給する年金は、少なくとも、当該基金の加入員であった者が老齢基礎年金の受給権を取得したときから3年を限度に、その者に支給されるものでなければならない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aは「①次の各号のいずれかに該当する者(第2号被保険者及び第3号被保険者を除く。)は, 第7条第1項の規定にかかわらず,厚生労働大臣に申し出て,被保険者となることができる 1日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって,被用者年金各法に基づく老齢給付等を受けることができるもの又は附則第4条第1項に規定する政令で定める者であるもの 2日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者 3日本国籍を有する者その他政令で定める者であって,日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満のもの ④前項第1号又は第2号(上記1又は2)に該当する者が同項の規定による申出を行おうとする場合には、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うこと(以下「口座振替納付」という。)を希望する旨の申出又は口座振替納付によらない正当な事由がある場合として厚生労働省令で定める場合に該当する旨の申出を厚生労働大臣に対してしなければならない。」という国民年金法附則第5条1項、2項、国民年金法第92条の2読替について問いかけてきている問題です。Aの問題文は条文通りですので、○(正答肢)となります。ここで、この条文の意味をご紹介します。国民年金の被保険者は原則として20歳以上60歳未満ですね。このあいだに保険料を納付(お金を払うことです)して、その期間(保険料納付済期間と言います)が25年以上あれば、原則として65歳から老齢基礎年金をもらうことができます。ここで、原則という言葉が繰り返し使われているのは、例外があるということをあらかじめ示しているのだと思ってください。国民年金では、60歳までが被保険者となります。60歳の誕生日を迎えると被保険者ではなくなります。でも、60歳以降も被保険者でいたいという人がいます。つまり、国民年金の保険料を払いたいという人がいます。どうしてわざわざそのようなことをするのでしょうか。結論として老齢基礎年金の額を増やしたいからです。あるいは、25年という保険料納付要件を満たしていないために老齢基礎年金がもらうないから、25年になるまで保険料を払いたいという人達です。具体例としては、 ・ 海外に在住している20歳以上65歳未満の日本人 ・ 60歳以上65歳未満の人(納付月数480月(満額)を満たすまで)       ※老齢基礎年金の繰上げ支給を受ける人を除く     ・ 昭和40年4月1日以前に生まれた人で、65歳以上70歳未満の人      (ただし、受給資格期間300月を満たすまで) という人達は、任意加入被保険者となることができます。 そういう人達は、本当は被保険者ではない年齢の筈なのに、「任意」で保険料をはらいたい、つまり任意で被保険者となって保険料を払って、自分自身の老齢基礎年金の金額を増やしたいと思っているのです。そして、任意加入被保険者のなる人達は、銀行口座からの自動引き落としが原則です(これを口座振替納付といいます。)。ただし、例外としては、

【口座振替の例外】 ただし、次に該当するときは、口座振替ではなく、納付書で保険料を納めます。 ・任意加入の申込みをするときに、預貯金口座を持っていないとき ・資格喪失するまでの保険料を前もって納めるとき ・口座振替納付によらない正当な理由があると認められるとき  という扱いになっています。 Aの問題文中での「口座振替によらない正当な事由がある場合として」とは、この【口座振替の例外】などを具体的に示すことになります。

Bは脱退一時金の額についてわかっていますか?という問題です。老齢基礎年金が毎年自動改定(賃金スライドや物価スライド)されるのは、老後の「生活費」だからです。物価が上がれば老齢基礎年金の額も上がり、物価が下がれば老齢基礎年金の額もさがるという考え方は、「生活費だから当然」という考え方ができますね。これは日本国憲法第25条の「日本国憲法第25条  1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という法律を根拠にして国が保証しています。 それに対して、脱退一時金は、外国人(外国籍を持っている人のことです)が、おさめた国民年金の保険料の半額を返してあげましょう、という趣旨ですので、「生活費」という意味はありません。ですから、スライドはありません。ただし、払った保険料の半額という趣旨ですから、計算の基準となる保険料は、その年の保険料となります。具体的な考え方や計算方法は、この国民年金法の〔問 2〕のAの解説で、すごく細かく解説していますので、そちらをご覧下さい。よつて、Bは○(正答肢)となります。

Cは振替加算についてよくわかっていますか?という問題です。同じ内容を今回の国民年金法の〔問 1〕のDの解説できちんと説明してありますので、そちらをもう一度ご覧下さい。Cの問題文は、〔問1〕のDでも解説したままの「その通り」ですので、○(正答肢)となります。

Dは実際に支給される年金額の増減についてわかっていますか?という問題です。 前提として http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002tg08-att/2r9852000002tg1p.pdf のURLをご覧下さい。このURLをご覧頂いたと仮定した上での解説をはじめさせていただきます。

今回の年金の額とは、すでに65歳以上などで、年金をもらっている人達の年金の額を意味します。考え方としては、今年老齢基礎年金を50万円もらっている人が、来年に物価が10%上がれば、年金も10%高くなった50万円×110%=55万円となるはずです。また、来年の物価が10%下がれば、年金も10%下がった50万円×90%=45万円となるはずです。つまり、基本的にもらう額は変わらないのですが、物価が上がったり下がったりした分だけ年金も上下するというものです。この考え方を「物価スライド」といいます。 2005年平成17年4月以前は、物価の動きによって見直される物価スライド制が採られていました。しかし、平成12年から3年間ほどで、まずいことが起こったのです。平成11年の物価下落は-0.3%、平成12年は-0.7%、平成13年は-0.7%も物価が下落しました。すると、平成12年の年金も-0.3%、平成13年は-0.7%、平成14年は-0.7%と、下落させていくはずですし、そうしなければいけなかったのです。しかし、その当時の厚生労働大臣の「菅直人」氏は、「どうせ、物価はすぐ上がるだろう、年金はさげなくて良い」と考えて、年金額を下げなかったのです。たしかに、平成14年以降の物価が上昇していけば、年金額をさげなくても、「帳尻」があったと思うのですが、実際には平成14年以降も物価はどんどん下がっていったのです。しかたなく平成14年以降は物価の下落にあわせて、年金額も下げていったのですが(物価スライドを平成14年以降は原則通り実施した)、平成12年の-0.3%、平成13年の-0.7%、平成14年の-0.7%での3年間の合計で-1.7%分の減額分が原則と実際でずれてしまいました。実際に平成11年以降の物価変動率をご紹介すると 平成11年-0.3% 平成12年-0.7% 平成13年-0.7% 平成14年-0.9% 平成15年-0.3% 平成16年 0.0% 平成17年-0.3% 平成18年 0.3% 平成19年 0.0% 平成20年 1.4% 平成21年-1.4% 平成22年-0.7% 平成23年-0.4% 平成24年-0.3%、 平成25年ははじまったばかりですので、もちろんどうなるかわかりません。

という物価変動率で、年金の支給額も本来は物価スライドとして、物価変動率にあわせて、平成16年の時点でそれまでの、平成11年-0.3%と平成12年-0.7%と平成13年-0.7%と平成14年-0.9%と平成15年-0.3%の合計の-2.9%の減額としなければいけないのに、実際には平成11年-0.3%と平成12年-0.7%と平成13年-0.7%という3年分の合計-1.7%の下落分を年金反映させませんでした。本当(理論上=原則)は-2.9%の減額をしなければいけないのに、消えた3年分の下落率を反映させずに-1.2%分の下落しかしなかったのです。それは、その当時の自民党が「選挙で勝つために原則をねじまげたのです。」今現在でも、消費税は上げる必要があると、「心の中」では感じていても、「選挙でまけたくないから→消費税はあげない」というパフォーマンスをみせているのと同じような減少が10年近く前には起こっていたのです。ですから、平成16年の改正では、本来は-2.9%の減額とするべき所を-1.2%しか減額しませんでした。なおかつ、平成17年も上の表にあるように-0.3%の物価下落となりましたので、本来は-2.9%-0.3%=-3.2%としなければいけないのが実際には-1.2%-0.3%=-1.5%の下落率となったのです。そして、政府は、物価スライド特例という勝手な特例を作って、原則と実際の差の-1.7%に関しては、今後1人当たりの手取り賃金や物価が上昇する際に、本来は増額すべき年金額を据え置くことで解消することとしています。その平成17年が実際の支給額は平成12年に比べて-1.5%(本来であれば-3.2%にしなければいけないが1.7%分下げなかった経緯がある)の下落ですから1-1.5%=1-0.015=0.985でした。 そま平成17年度を基準とすると、そこからの変化は http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002tg08-att/2r9852000002tg1p.pdf のURLをご覧頂くとおわかりのように、平成23年度に-0.4%、平成24年度に-0.3%で今年の2013年つまり平成25年度は0.0%で増減無しですから、 平成17年度を基準としての支給額として平成18年度には-1.5%だったのが、平成23年度に-1.9%、平成24年度に-2.2%で平成25年度も-2.2%となり、 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002tg08-att/2r9852000002tg1p.pdf のURLの1番右の内容と一致しますね。 そこで今年の平成25年の社会保険労務士試験に使う数字は1-2.2%=1-0.022=0.978となりますので今回のDの問題文の数字と一致しますね。 というイメージで問題文をみていくと、Dの問題文は「まさにその通り」となります。よってDは○(正答肢)となります。ここまでの説明がわかりにくければ、ここまでの内容を印刷して繰り返しご覧下さい。それでもわからなければ、上の「はじめに」にてご紹介している当サイト管理者の電話番号までご連絡下さい。私が繰り返し説明させて頂きます。

Eの問題文は「国民年金基金が支給する年金は、次の基準を満たすものでなければならない。①少なくとも、加入員であった者が老齢基礎年金の受給権を取得したときには支給されること。②老齢基礎年金の受給権者については、老齢基礎年金の受給権の消滅事由(死亡)以外の事由によって、受給権を消滅させないこと。③老齢基礎年金の受給権者に支給する年金額は、200円に基金の加入員期間の月数を乗じて得た額(付加年金相当額)を超えるものであること。なお、老齢基礎年金の繰上げ又は繰下げ支給を受けるときは、基金の支給する年金額も老齢基礎年金と同率で減額又は増額される。④老齢基礎年金が全額支給停止されている場合以外は支給停止されないこと(ただし、③の額を超えている部分は除かれる)。」という国民年金基金の年金の給付基準について問いかけてきている問題です。Eの問題文中の「・・・3年を限度に、・・・」などという言葉はありません。老齢基礎年金をもらい続けている限り、つまり生きている限り基金からの年金ももらいつづけることが出来ます。国民年金基金の趣旨としては、自営業の人達は老齢基礎年金しかもらえないので、雇用者の人達の老齢厚生年金に少しでも近づくような保障をしてあげようという趣旨で始まったものですから、老齢厚生年金と同じように死ぬまで永久にもらうことができます。よってEは×(今回の〔問 3〕の解答)となります。

結論として、今回の〔問 3〕の解答は「E」となります。

スポンサードリンク