第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 〔問 7〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 〔問 7〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識

〔問 7〕 わが国の医療保険の沿革に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 船員保険法は、大正14年に制定され、翌年から施行された。同法に基づく船員保険制度は船員のみを対象とし、年金等給付を含む総合保険であるが、健康保険に相当する疾病給付は対象としていなかった。

B 健康保険の被保険者が定年等で退職するとその多くが国民健康保険の被保険者となるが、そのうちの厚生年金保険等の被用者年金の老齢(退職)給付を受けられる人とその家族を対象とした退職者医療制度が昭和49年の健康保険法等改正により国民健康保険制度のなかに設けられた。

C 健康保険制度は、長年にわたり健康保険組合が管理運営する組合管掌健康保険と政府が管理運営する政府管掌健康保険(政管健保)に分かれていた。しかし、平成8年可決成立した健康保険法等の一部を改正する法律により、平成10年10月からは、後者は国とは切り離された全国健康保険協会が保険者となり、都道府県単位の財政運営を基本とすることとなった。

D 職員健康保険法は、昭和9年に制定された。同法に基づく職員健康保険制度は工場労働者を対象とする既存の健康保険制度とは別個の制度として、俸給生活者を対象につくられたが、5年後の昭和14年には健康保険に統合された。

E 従来の老人保健法が全面改正され、平成18年6月から「高齢者の医療の確保に関する法律」と改称されたが、この新法に基づき後期高齢者医療制度が独立した医療制度として平成20年4月から発足した。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

医療保険の沿革についての問題ですね。正直なところ、年号を覚えておかないと正解は難しい問題ですね。「国語力」でどこまでできるか一緒に考えていきましょうね。

Aの問題文では「・・、健康保険に相当する疾病給付は対象としていなかった。」の部分で×(誤答肢)としてください。船員保険法は昭和14年という戦時体制下でつくられた法律です。趣旨は、少しでも船員の待遇を良くし、船員志望者を集め、海軍を強くして、戦争に勝ちたいという目的での法律制定です。だから、我が国ではじめての総合保険制度として、今の労働者災害補償保険法や健康保険法の保険給付以上の給付を盛り込んだ内容でした。ですから、健康保険法にある給付で船員保険法にないものがあるわけないんだよぉ~ん、というイメージでいいのです。

Bの問題文は厚生労働省のホームページの

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken01/dl/01a.pdf

の「サラリーマンや公務員のOBとその家族らの医療費を賄う制度。1984年の医療制度改正で創設された。それまでは退職したサラリーマンは、自営業者や農家を対象にした国民健康保険へ移っていた。しかし、国保財政を圧迫するため、国保には加入するが、市町村が管理する退職者医療制度の退職被保険者となることになった。医療費は健保組合や政管健保などの保険者の拠出金で賄う。厚生年金や共済年金などに原則として20年以上加入していることが必要。サラリーマンOBは、老人保健制度の対象になるまで同制度で医療を受ける。」という退職者医療制度の概要をイメージするとわかりやすくなると思います。ようするに1984年(昭和59年)に退職して被用者保険から国民健康保険にうつる人は、病気などにならないうちの保険料だけとって、いざ病気になりやすい年齢、つまりら退職以降になれば、国民健康保険に集まって、国民健康保険の財政がとても苦しくなるという問題を解消するために、20年以上被用者保険に加入していた人の分のお金は、被用者保険側が負担しましょう、つまり、その人の分のお金を被用者保険(厚生年金や共済組合など)側が国民健康保険側に出してあげましょう、という趣旨です。しかし、これも被用者保険側の財政も苦しくなったので、平成26年度までの制度となりました。平成27年度以降は65歳までの人だけよ、というのがさきほどご紹介した厚生労働省のホームページに図解で紹介されていますね。よって「昭和49年」の部分が「昭和59年」であれば良かったのですね。よってBは×(誤答肢)となります。

Cの問題文は

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken02/01.html

という平成18年に成立した「健康保険法等の一部を改正する法律について」という厚生労働省のホームページをご覧下さい。

社会保険労務士試験に出てくるような内容が一杯出ています。是非とも、ご覧下さい。

この中で、 「1.政管健保の公法人化 ○ 健康保険組合に加入していない被用者の健康保険事業を行う保険者として全国健康保険協会(以下「協会」 という。)を設立する(平成20年10月)。適用・徴収業務は、ねんきん事業機構において行う。 ○ 組織 ・ 運営委員会(事業主3名、被保険者3名、学識経験者3名の計9名を大臣が任命)を設ける。予算、事業計画、 保険料率の変更等は運営委員会の議を経なければならないものとする ・ 理事長は、運営委員会の意見を聴いて、大臣が任命する。 ・ 都道府県ごとに支部を設けるとともに、評議会(事業主、被保険者、学識経験者から支部長が委嘱)を置き、 支部の業務について意見を聴く。

2.都道府県単位の財政運営 ○ 都道府県ごとに、年齢構成や所得水準の違いを調整した上で、地域の医療費を反映した保険料率を設定する。 (なお、都道府県単位の保険料率への移行に伴い、保険料率が大幅に上昇する場合には、5年間に限り、激変緩和 措置を講ずる) ○ 都道府県単位保険料率は、各支部の評議会の意見を聴いた上で、運営委員会の議を経て決定する。 ○ 協会成立後1年以内に都道府県単位保険料率を決定するものとし、それまでの間は政管健保の保険料率を適用

3.財政運営の安定化等 ○ 予算や事業計画、財務諸表等は大臣認可とする。 ○ 保険料率の変更は大臣認可とするとともに、保険料率の変更命令や職権変更の権限を大臣に付する。 ○ 保険料率の上下限(現行660/00~910/00)は、健保組合と同様とし、300/00~1000/00に改める。(次ページ参照) ○ 2年ごとに5年間の収支の見通しの作成を義務づける。 ○ 準備金の積立てを義務づける。 ○ 借入金は大臣認可にする等の規制を行うとともに、借入金には政府保証を付すことができるものとする。

4.設立に係る措置等 ○ 厚生労働大臣は、設立委員を命じて、定款の作成等の設立に関する事務を処理させる。 ○ 設立委員は、協会の職員の労働条件及び採用基準を作成する。社会保険庁からの職員の採用については、社会保険庁長官を通じて、募集を行う。 ○ 協会の成立の際、健康保険事業に関して国が有する資産及び負債は、政令で定めるものを除き、協会が承継する。 ○ 上記のほか、所要の経過措置を講ずる。 」

という部分が今回のCの問題文に関連します。つまり、

「健康保険組合に加入していない被用者の健康保険事業を行う保険者として全国健康保険協会(以下「協会」という。)を設立する(平成20年10月)」

という部分が「平成18年の健康保険法等の一部を改正する法律について」で決められました。要点は、平成18年に平成20年10月から全国健康保険協会が保険者となり、都道府県単位の財政運営を基本とすることとなった、ということですね。

Cの問題文はそれぞれの数字に10年を足すとバッチリ正解でしたね。よってCは×(誤答肢)となります。

Dの問題文は厚生労働省のホームページの

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/07-3/PDF/040300.pdf

を見て頂くと、職員健康保険法は昭和14年制定と出ていますね。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題文は厚生労働省の

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/dl/s1130-20a.pdf

の12ページをみていただくと、

「平成18年6月高齢者の医療の確保に関する法律の成立。 平成20年4月後期高齢者医療制度の施行。」と出ています。

まさにEの問題文は「その通り」ですので、Eは○(今回の〔問 7〕の解答)となります。

結論として、今回の〔問 7〕の解答は「E」となります。

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