第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 6〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 6〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働基準法及び労働安全衛生法

〔問 6〕
労働基準法に定める年次有給休暇に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 労働基準法第39条に定める年次有給休暇の趣旨は労働者の心身のリフレッシュを図ることにあるため、使用者は少なくとも年に5日は連続して労働者に年次有給休暇を付与しなければならない。

B 労働者の時季指定による年次有給休暇は、労働者が法律上認められた休暇日数の範囲内で具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をし、使用者がこれを承認して初めて成立するとするのが最高裁判所の判例である。

C 年次有給休暇の時間単位での取得は、労働者の多様な事情・希望に沿いながら年次有給休暇の消化率を高める効果を持ち得るものであるため、労働基準法第39条第4項所定の事項を記載した就業規則の定めを置くことを要件に、年10日の範囲内で認められている。

D 労働基準法第39条第6項に定める年次有給休暇の計画的付与は、当該事業場の労使協定に基づいて年次有給休暇を計画的に付与しようとするものであり、個々の労働者ごとに付与時期を異なるものとすることなく、事業場全体で一斉に付与しなければならない。

E 年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自由であるが、使用者の時季変更権を無視し、労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の阻害を目的として一斉に休暇届を提出して職場を放棄する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の行使ではない。

皆様、こんにちは。早速解説をはじめさせていただきます。

今回の問題は年次有給休暇の意味がきちんとわかっていれば解ける問題ではなかったかと思っています。労働基準法第39条にはつぎのように規定されています。

(年次有給休暇)
第39条 
1使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

2 使用者は、1年6箇月以上継続勤務した労働者に対しては、
雇入れの日から起算して6箇月を超えて継続勤務する日(以下「6箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数1年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる6箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出動した日数が全労働日の8割未満である者に対しては、当該初日以後の1年間においては有給休暇を与えることを要しない。

6箇月経過日から起算した継続勤務年数労働日
1年1労働日
2年2労働日
3年4労働日
4年6労働日
5年8労働日
6年以上10労働日

上の表を利用した具体例をご紹介すると、Aさんが2013年4月からB会社に常時勤務形態で働き続けたとしたら、勤務してから6箇月後の2013年10月からは年次有給休暇を10日取得する権利が発生します。この年次有給休暇を利用するかしないかはAさんの自由です。そしてAさんがそのまま常時勤務形態を続けたらとすれば、2014年10月には勤務し始めてから1年6箇月経過したので原則の10日に1日加算された11日の年次有給休暇を取得する権利が発生します。同様の勤務形態であれば2015年10月には勤務し始めてから2年6箇月経過で12日分、2016年10月には勤務し始めてから3年6箇月経過で14日分、2017年10月には勤務し始めてから4年6箇月経過で16日分、2018年10月には勤務し始めてから5年6箇月経過で18日分、2019年10月には勤務し始めてから6年6箇月で20日分、それ以降はずっと毎年20日分の年次有給休暇を取得する権利が発生することになります。これはあくまでも労働基準法上の原則ですので、実際にはもっと早い段階で年次有給休暇を20日分付与している会社も存在しています。しかし、社会保険労務士試験問題をとく上では上の考え方が原則となるというイメージをもっておいてください。

3 次に掲げる労働者(1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前2項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の1週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第1号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の1週間の所定労働日数又は1週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
1.1週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
2.週以外の期間によつて所定労働日数が、定められている労働者については、1年間の所定労働日数が前号の厚生労働省令で定める日数に1日を加えた日数を1週間の所定労働日数とする労働者の1年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者

4 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第1号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前3項の規定による有給休暇の日数のうち第2号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
1.時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
2.時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(5日以内に限る。)
3.その他厚生労働省令で定める事項

5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

6 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項から第3項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。

7 使用者は、第1項から第3項までの規定による有給休暇の期間又は第4項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法(大正11年法律第70号)第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。

8 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業した期間は、第1項及び第2項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。

というように労働基準法第39条にて「年次有給休暇」が規定されています。

では、年次有給休暇とは何か説明しなさい、と言われたらあなたはどのように説明しますか?私ならば、次のように説明します。

年次有給休暇は、労働者の疲労回復、健康の維持・増進、その他労働者の福祉向上を図る目的で利用される制度です。
 使用者は、雇用する労働者に対し、所定休日以外に年間一定日数以上の「休暇」を与えなければなりません。
 そして、その休暇となった日について一定の賃金を支払うことが義務付けられています。
 この規定に違反して休暇を与えない使用者は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

具体的な例を挙げてみましょう。
2013年4月1日から働き始めたばかりのAさんがいます。
Aさんの勤務状況は月曜日から金曜日までは毎日8時間労働で土曜日と日曜日は休みの週に40時間労働をしています。土日以外にも、祝祭日などは休みになりますので、一年間を平均すれば、週40時間未満の労働時間となっています。このAさんが2013年10月1日の時点で8割以上の出勤率だったとします。すると、2013年10日1日の時点で10日の「年次有給休暇」の権利が発生します。これは、年金のように請求しないともらえないものではありません。日付が過ぎると、自動的に発生するものです。ですから、極端な話、Aさんが2013年10月1日から10日間連続で一気に有給休暇を使って休んでも良いのです。その場合でも、使用者はAさんに普通に働いたときと同じ額の給料をはらわないといけません。これは労働者の権利です。しかし、しかし、現実問題としては、そんな使い方をする人は、普通いません。よくあるパターンとしては、労働者本人が「風邪をひいた」「労働者の子どもやその他の家族が病気になった」時などに、お医者さんに行くときなどに、会社に電話して「すみません、私の熱が39℃も出て、体調が悪いので、医者に行きます。今日は有給休暇にしてください。」「すみません。子どもが熱を出したので医者に連れて行きます。有給休暇扱いにしてください。」とするのが、よくあるパターンです。しかし、それで、年間に10日の有給休暇を使い切るかと言えば、特に男性の方々では現実的には使い切る人は少ないと思います。ましてや、若い独身男性ならば、ほとんど有給休暇は使わないという厚生労働省での統計も毎年のように発表されています。だから、労働基準法としては、第39条5項にて「計画的付与」として、5日分だけ(病気その他のために)残して、それ以外はその職場で一斉に有給休暇として消化できるよ、としています。具体的な例としては8月のお盆休みの例があります。仮に8月の第2週の月曜日から金曜日までの5日間を「有給休暇」扱いとします。すると、土日が休みの会社では9連休になりますね。しかも、その間の給料も有給休暇なので、8月は本来の土日の休みは、土日での8日間の休みにお盆休みの5日を加えて13日の休みがありますが、8月の給料は7月や9月と同じような額をもらうことになります。これが年次有給休暇の計画的付与の一例となります。また、今回の例では5日間連続での計画的付与ですが、何も連続でないといけないということは一切ありません。ただ、労働者側も使用者側も都合が良いからそうしている一例をご紹介したわけです。また、年次有給休暇は労働者が継続(6ヶ月以上)して真面目に働いた(出勤率8割以上)場合の、ご褒美としての当然の権利ですので、いつ年次有給休暇を取得してもよいのです。というよりも、小さい子どもがいつ熱を出して、医者につれていかなければならないかなんて、誰にも予想は出来ないですからね。また、年次有給休暇は「3時間だけ休みます。」というように、1日単位ではなく、1時間単位で取得することも出来ます。そうすれば、「3時間」「3時間」「2時間」という3日間休んだとして、あわせて「年次有給休暇は1日しかつかっていない」ということになりますからね。ただし、これは使用者側には「とても面倒くさい」ことですね。だから、労働基準法第39条4項で「5日以内に限りできる」とされています。「できる」という表現は「別に1日単位でもいいよ」という表現で、なぜ5日というしばりがあるかといえば、5日以上の分は職場全体での、「お盆休み」やむその他の一斉休暇で労働者全体が「年次有給休暇」を毎年気持ちよく、他の人に気兼ねなく取得できるように配慮した「計画的付与」を浸透させるためだとイメージしてください。実際に5日以上をみとめてしまうと、計画的付与に影響が出て、結果的には「年次有給休暇」の取得率が、全体としてはますます下がって、労働基準法が意図する目的の達成のじゃまになるからですね。本当に都合がわるいならば、また国会で審議されて法改正が行われるので、今はこの労働基準法第39条の内容で、年次有給休暇についてはOKとされています。むしろ、「計画的付与」をもっと増やす方がよい、という流れになっていますよ。では、以上の流れで〔問 6〕の問題文をみていきましょうか。

Aの問題文は、「少なくとも5日は連続して・・・付与しなければならない」とありますが、「連続」というしばり(強制)はないですよ。労働者側と使用者側がお互いに気持ちよく年次有給休暇を利用できればそれで良いのですから。よってAは×(誤答肢)となります。

Bの問題文は「労働者が・・・休暇の始期と終期を特定して・・・」とありますが、あなたは、「ノストラダムスの予言者」以上の存在デスかぁ?幼い子どもがいつ熱を出して、いつ治るのかが予言できるのですかぁ?よってBはありえないことを書いているので×(誤答肢)となります。

Cの問題文は「時間単位での取得は、・・・年10日の範囲内で・・・」とありますが、こんなことをしたら「計画的付与」の予定がたたなくなってしまうじゃないですかぁ。本当に必要ならば、その会社内で考えますってぇ。よってCは×(誤答肢)となります。

Dの問題文は、文末が「しなければならない。」という言い切り系ですから、ここで「ピンッ」とこなければいけませんね。これが「できる」という書き方ならば、GJ(グッジョブ)として○にしたのですかせね。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題文はその通りですね。これは昭和40年~昭和50年の間に労働組合運動が盛んなときに実際に起きた事件ですね。年次有給休暇の目的は、なんでしたっけ。労働者の疲労回復、健康の維持・増進、その他労働者の福祉向上を図る目的で利用される制度でしたね。福祉向上でしたね。この場合の福祉とは「労働者の心身健康の保持増進」ですね。本人が熱を出して医者に行くときに年次有給休暇をとるのは、労働者本人の身体の健康増進、労働者の幼い子どもが熱を出したときに医者につれていくから、年次有給休暇をとるのは、労働者本人にとっては、心(精神面)での健康増進につながり、年次有給休暇の目的に合致しますね。だから、Eの問題文のストライキをするために、年次有給休暇を取得するのは「労働者の福祉向上」にはつながりませんね。一斉に労働者みんなが体調を悪くするのは、現実的にはおかしいですからね。そういう具体的なイメージを頭に描くと、Eは×(今回の〔問 6〕の解答)となることが推定できるのではないかと思います。まぁ、A~Dまでの選択肢が安易に○となるので、消去法でも今回の〔問 6〕に関しては、比較的容易に解答できるのではないかと思っています。

結論として今回の〔問 6〕の解答は「E」となります。

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