第42回社会保険労務士試験の選択試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 7〕

第42回社会保険労務士試験の選択試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 7〕

第42回社会保険労務士試験の選択試験問題解説

厚生年金保険法

〔問 7〕 次の文中の(A)~(E)の部分を選択肢の中の適当な語句で埋め、完全な文章とせよ。

1 報酬比例部分のみの60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者である被保険者が、年金額として120万円、総報酬月額相当額として32万円(標準報酬月額24万円とその月以前年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額万円の合算額)であるとき、その者に支給すべき年金月額は、(A)円となる。 また、この者が、雇用保険法の規定による高年齢雇用継続基本給付金を受給しているときは、年金月額(A)円から月額(B)円が支給停止される。(この者の60歳到達時のみなし賃金日額に30を乗じて得た額は40万円とする。) なおこの場合、老齢厚生年金の受給権者は、(C)提出しなければならない。

2 男子であって(D)に生まれた者(女子及び坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間を合算した期間が15年以上である者は年遅れ)は、65歳に達する前に厚生労働大臣に老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。 当該繰上げ支給の老齢厚生年金の請求をした受給権者であって、繰上げ支給の老齢厚生年金の請求があった日以後被保険者期間を有するものが(E)ときは、(E)日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、(E)日の属する月の翌月から、年金額を改定する。

選択肢は次の①~⑳から選ぶこと。 ①70,000  ②昭和41年月日以後 ③10日以内に、併給調整届を日本年金機構に ④30,000  ⑤38,126 ⑥昭和24年4月2日以後昭和28年4月1日以前  ⑦65歳に達した ⑧翌月10日までに高年齢雇用継続給付支給開始届を日本年金機構に ⑨速やかに、支給停止事由該当届を日本年金機構に ⑩100,000  ⑪5日以内に、在職老齢年金受給届を所轄公共職業安定所長に ⑫定額部分支給開始年齢に達した   ⑬15,000 ⑭昭和28年4月2日以後昭和36年4月1日以前  ⑮19,200 ⑯被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過した ⑰14,400   ⑱36,000 ⑲報酬比例部分支給開始年齢に達した ⑳昭和36年月日以後

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

この問題は「数字」が出てきますね。では、一緒に確認していきましょうね。

まずは支給停止基準額に関しましては http://www.nenkin.go.jp/n/www/info/detail.jsp?id=496 のURLをご覧下さい。

それでは今回の解説をはじめていきますよ。

在職老齢年金を説明する前に、老齢年金の趣旨は、高齢になって働けなくなる。働けなくなるから、収入が無くなる。収入が無くなった分の高齢期の生活費が必要。高齢期の生活費として老齢年金を受給する。というようなながれで老齢年金をもらうのでしたね。老齢年金には1階部分としては老齢基礎年金がありました。2階部分はいくつかあるのですが、今回は老齢厚生年金について考えていきましょう。今の新法では老齢年金は65歳以上になったらもらうという前提条件があります。ただし、移行措置期間中として、今は60歳から65歳のあいだの年齢の人達も、特別な老齢年金をもらうことができる期間となっています。でも、65歳以上になって本来の老齢年金をもらうようになってからも、働き続けて給料などの収入がある人もいます。そういう人達に対しては、在職老齢年金の考え方としては、働けなくなったから収入がない」という老齢年金を受給する前提条件と矛盾するので、その給料などの収入額によっては、年金額を調整(減らすことです)していきましょう、というのが「在職老齢年金」の考え方ですね。正直なところ、国も財政的には苦しいので、調整(減らすことです)ができるところは、どんどん調整(へらすことです)していって、少しでも国の支出を少なくしようという趣旨が在職老齢年金のイメージだととらえると社会保険労務士試験の本試験問題が解きやすくなります。そして、在職老齢年金も、本来の65歳以上で年金をもらっている人には、規制は少しゆるやかです(これを高在老といいます)。それにたいして、65歳未満の人に対しては規制は厳しめです(これを低在老といいます)。では、具体的な数字をみていきましょうね。

高齢期になっても、働いているので、収入がある。でも、その収入がとても少ない場合は、老齢年金の支給額を調整(減らすことです)しなくても良いと国は考えています。その基準の金額が http://www.nenkin.go.jp/n/www/info/detail.jsp?id=496 のURLにもあるように今現在(2013年6月25日現在)は「28万円」と「46万円」となります。

基準が厳しい「低在老」が「28万円」と「46万円」の両方を使います。 ゆるやかな「高在老」は「46万円」の1つだけを使います。

では、具体的な計算方法を確認しましょうね。

65歳未満の低在老では、

A給料と老齢厚生年金の合計収入が1月当たり28万円を超えると、年金の支給停止が始まります。この28万円のことを「支給停止調整開始額」といいます。

この1月当たりの給料のことを「総報酬月額相当額」といいます。総報酬月額相当額は毎月の収入(標準報酬月額)とボーナス1月分(その月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額)の合算額のことです。

老齢厚生年金の1月当たりの額のことを「基本月額」といいます。基本月額とは、老齢厚生年金の基本年金額を12で除して得た額のことです。

低在老の計算は全部で4パターン有ります。

・基本月額(老齢厚生年金基本年金額の1月分)が28万円を超えるか否か?の2種類

・総報酬月額相当額(標準報酬月額とボーナス1月分の合計)が47万円を超えるか否か?の2種類

つまり、2種類×2種類=4種類のパターンがあります。

ここで、28万円は「支給停止調整開始額」といいます。46万円は「支給停止調整変更額」といいます。60歳以降に収入がある人のすべての収入計が28万円を超えていたら、老齢厚生年金の支給停止がはじまり、総報酬月額相当額が46万円を超えていたら、支給停止調整額の変更をします。

基本的な考え方は、基準となる数字を超えた分の半額が支給停止となるというイメージを持ってください。

ここからが、当ブログの本領発揮です。あなたが使用しているどのテキストも低在老については、4種類の式が書いてあると思いますが、当ブログをご覧になったあなたは、

〔(総≦46万円)+(基≦28万円)-(開始=28万円)〕×二分の一+(総-46万円≧0円)

という式を何回か練習して覚えてください。

この式での「総」とは「総報酬月額相当額」のことです。「基」とは、「基本月額(老齢厚生年金基本年額の1月分)」のことです。「開始」とは、「支給停止調整開始額28万円」のことです。そして、( )内に「≦」「≧」という記号がありますが、これらの記号が付いている部分は、「46万円を超えた場合は46万円で計算してください。」「28万円を超えた場合は28万円で計算してください。」「-(マイナス)になった場合は0(ゼロ)円で計算してください。」という意味を表します。

さきほどの式をもう少しまとめると、

(総+基-28万円)×二分の一+(総-46万円)=支給停止額となります。

仮に65歳以上の人の場合は、

(総+基-46万円)×二分の一=支給停止額となります。

以上の2つの式で、社会保険労務士試験の支給停止額はバッチリです。

特に65歳未満の人の場合は

(総+基-28万円)×二分の一+(総-46万円)=支給停止額となります。

という式1つで、4種類の式をすべてカバーしていますので、是非ともこの式を活用できるようにしてくださいね。

念のために、4パターンをすべて計算してみますね。

パターン1、基本月額25万円、総報酬月額相当額45万円の場合

(総+基-28万円)×二分の一+(総-46万円)=(45+25-28)×二分の一+(45-46)=42×二分の一+(マイナスは0円扱い)=21万円の支給停止、つまり今回のパターンでは基本月額の内21万円が支給停止だから、原則としての老齢厚生年金は毎月25万円扱いなのですが25万円のうち21万円が支給停止扱いとなるので4万円しかもらえないことになります。もし、この例でもまったく働いていない場合は原則通りの25万円の老齢厚生年金をもらうことになります。しかし、実際には老齢厚生年金は4万円だけであとは給料が45万円と現実的には49万円の収入となりますね。

パターン2、基本月額25万円、総報酬月額相当額50万円の場合

(総+基-28万円)×二分の一+(総-46万円)=(46+25-28)×二分の一+(50-46)=43×二分の一+4=25.5万円の支給停止。今回は1番左のカッコ内では総報酬月額相当額が46万円を超えた場合は46という数字を使います。今回のパターンでは原則としては老齢厚生年金は25万円なのですが25.5万円が支給停止ということは逆に5000円がマイナスとなり、もらうのではなくて毎月5000円払うのか?というおかしなことになります。もちろん、はらうことはありませんから、全額支給停止となるパターンでこの人のパターンであれば、老齢厚生年金は全額支給停止状態となっています。まあ、総報酬月額が50万円もあるのですからね。

パターン3、基本月額40万円、総報酬月額相当額20万円の場合

(総+基-28万円)×二分の一+(総-46万円)=(20+28-28)×二分の一+(20-46)=20×二分の一+(-は0円扱い)=10万円の支給停止。今回は、基本月額が28万円を超えた場合は、28という数字を使います。そして、マイナスは0円というルールも適用します。計算すると10万円の支給停止ですので、基本月額40万円の内10万円が支給停止ですので、老齢厚生年金は毎月30万円もらうことになります。

パターン4、基本月額40万円、総報酬月額相当額60万円の場合、

(総+基-28万円)×二分の一+(総-46万円)=(46+28-28)×二分の一+(60-46)=46×二分の一+14=37万円の支給停止。今回は、総報酬月額相当額が46万円、基本月額が28万円を超えているので、1番左のカッコ内では、それぞれ46と28という数字を使います。計算すると、37万円の支給停止ですので、基本月額40万円の内37万円が支給停止と言うことで、老齢厚生年金は毎月3万円もらうことになります。

以上の4パターンが、あなたがもっているテキストに出ているすべてのパターンになると思います。これから、色々な問題に対して、今の

〔(総≦46万円)+(基≦28万円)-(開始=28万円)〕×二分の一+(総-46万円≧0円)

という式の1つだけで対応する練習を何回か繰り返してください。

1つだけの式で良いんだ。という気持ちをもってもらうとかなり「安心感が増大」すると思っています。

次に雇用保険法の規定による「高年齢雇用継続基本給付金」との併給調整についても確認しておきましょう。

高齢化社会が進行する中で、働く意欲と能力のある高齢者の方に対して、60歳から65歳までの雇用の継続を援助、促進するための制度で、支給される給付金は「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」があります。簡単にまとめると、60歳から65歳の人で、働いている人が60歳時点の給料に比べて大きく金額が減った場合には、いくらかのお金を補助してあげましょう、というものです。 具体的な金額については http://www.remus.dti.ne.jp/~laputa/koyou/koyou_keizoku_hayamihyou_24_8/koyou_keizoku_hayamihyou_h24_8.html のURLをご覧下さい。 補助額は今現在つまり今年(2013年)の社会保険労務士試験に出てくる可能性のある数字としては1,856円から343,396円の範囲内です(2013年6月25日現在)。計算式は、かなりややこくして、覚えても社会保険労務士試験には使わないと思うので、一律15%と覚えてください。実際に数字を問う場合は、 60歳時点での給料の61%以下の給料になった場合は、「支給対象月に払われた給料の15%」が高年齢雇用継続基本給付金というもらうことができる、というイメージで社会保険労務士試験は大丈夫です。

そして、実際に高年齢雇用継続給付がもらえるとき、今回の場合は、高年齢雇用継続基本給付金となりますが、60歳時点での給料の61%以下の場合は、「標準報酬月額の6%」が支給停止になると覚えておいてください。これは細かく考えるとしてもややこしくなるので、「一律標準報酬月額の6%支給停止」とイメージしてもらえば結構です。

では、今回の問題を具体的にみていきましょうね。

Aの空欄は低在老で

年金額120万円→12か月で120万円なのですから、1ヶ月つまり基本月額は10万円となりますね。そして総報酬月額相当額が32万円と指定されていますね。あわせて42万円で支給停止開始額の28万円を超えていますので、さきほどご紹介した

〔(総≦46万円)+(基≦28万円)-(開始=28万円)〕×二分の一+(総-46万円≧0円)=支給停止額

の式に数字を代入すると

(総+基-28万円)×二分の一+(総-46万円)=(32+10-28)×二分の一+(32-46)=14万円×二分の一+(マイナスは0円扱い)=7万円が支給停止となります。基本月額は10万円の内7万円が支給停止ですので、もらう年金月額は3万円となりますね。

Bの空欄は60歳時点での賃金月額は40万円と問題にありますので、今の賃金月額(標準報酬月額)は24万円ですから、24万円÷40万円=60%となり、61%未満となっていますね。これは、問題作成者の大学教授の先生が、わざと61%未満になるように作成した意図がみえみえですね。ですから、支給停止額は、さきほど解説したように、「一律標準報酬月額の6%支給停止」で計算すると、24万円×6%=14,400円が支給停止額となりますね。

Cの空欄は、年金をもらっている先、つまり「日本年金機構」に以上の事実を連絡する必要がありますね。つまり、「支給停止事由該当届」というものを日本年金機構に提出するのです。なかには、こう考える人がいるかもしれませんね。「出したら支給が一部停止、つまり年金額が減らされる。だから、出さないでおこう。」と考えて出さない人がいるかもしれなとあなたは心配するかも知れません。大丈夫です。出さなければ、年金自体がすべて止められます。一円ももらえなくなります。国側が「年金が無くても大丈夫な位に収入がある。つまり、すべてが支給停止となる位の収入がある。」と勝手に(自動的に)判断して年金が全くもらえなくなるので、「本当はこれだけの年金をもらう権利があるのですよ」という申請の意味で「支給停止事由該当届」を少しでも早く出して年金をもらいたくなりますよ。あなたが、60歳以降でそういう立場になればわかることですが・・・。よってCの空欄は「速やかに、支給停止事由該当届を日本年金機構に」提出しなければならない、となりますね。そうしないと、年金自体がもらえなくなりますからね。

Dの空欄は支給繰り上げについての問題ですね。特別支給の老齢厚生年金は昭和36年4月1日以前にうまれた人が請求できましたね。今回の支給繰り上げは特別支給ができない人つまり「昭和36年4月2日以後」に生まれた人が対象でしたね。

横断学習になりますが、生年月日による問題については当ブログの

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 国民年金法 〔問 4〕

も再確認してくださいね。

Eの空欄は年金を65歳になるまでにすでにもらうながら、働いて保険料をおさめていた人用の措置ですね。繰り上げ支給で年金をもらいながら、働いていて保険料を納めていた人の年金額は据え置かれます。それはいちいち改定するのが面倒くさいというのが国の本音です。そして、改定は一発勝負で65歳になったときにおさめた保険料の額を考慮して「65歳に達した」日の属する月の翌日から改定されます。

以上のABCDEの問題では、CDEは確実に得点できるようにしてください。そして、ABの数字が分からなかった人は、今回の解説をじっくりと見て、何回も練習してできるようになってください。

最低ラインとして社会保険労務士試験本試験ではCDEの3点は獲得して欲しかった問題となります。

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