第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 1〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 1〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働基準法及び労働安全衛生法

〔問 1〕
労働基準法の総則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実にその義務を履行しなければならないが、使用者よりも経済的に弱い立場にある労働者についてはこのような義務を定めた規定はない。

B 労働基準法第3条が禁止する労働条件についての差別的取扱いには、雇入れにおける差別も含まれるとするのが最高裁判所の判例である。

C 労働基準法第4条が禁止する女性であることを理由とする賃金についての差別的取扱いには、女性を男性より有利に取扱う場合は含まれない。

D 労働基準法第5条が禁止する労働者の意思に反する強制労働については、労働基準法上最も重い罰則が定められている。

E 労働者が労働審判手続の労働審判員としての職務を行うことは、労働基準法第7条の「公の職務」には該当しないため、使用者は、労働審判員に任命された労働者が労働時間中にその職務を行うために必要な時間を請求した場合、これを拒むことができる。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

今回の問題は労働基準法の総則についての問題ですね。労働基準法の趣旨としては、労働関係においての「弱者を徹底的に守る法律である」ということを頭の中に入れておけば、「国語力」で解ける問題が多いのではないかと思っています。

Aの問題文は、労働基準法は労働関係の当事者に効果をおよぼすものですから、労働基準法での当事者とは「使用者」と「労働者」のことですので、もちろん「労働者」にも義務は課されていますね。よって×(誤答肢)となります。

Bの問題文は、これは有名な三菱樹脂事件という判例なのですが、労働基準法での差別的取扱いは絶対的に禁止です。ただ、今回の問題の元になった三菱樹脂事件の判例としては、労働者とは「その会社またはグループに入ったあとの者である」という逃げの判決を下しました。つまり、「こんにちは。」と挨拶をされても、「まだ家の中に入れていないのだから、無視しても結構。」もっと、具体的に言えば、「まだ会社の中に入っていないのだから、労働基準法の適用範囲外である」としたわけなのです。ですから、「労働者」にもなっていないから、労働基準法の適用はおよばない、つまり労働者ではないものにたいしては、労働基準法の差別的取扱いをしたとしても、そもそも労働基準法の適用範囲外なのだから、労働基準法違反かどうかという「あらそいとなる事案」は、もともとなかったふものとする、というのが三菱樹脂事件で裁判所がとった「逃げの判決」だというわけです。ですから、Bは×(誤答肢)となります。

Cの問題文は、「含まれます。」差別的取扱いという内容には「不利にも有利にもしてはいけない」という内容が含まれます。「同等の扱い」をしなさい、というのが労働基準法第4条の趣旨なのです。ですから、今回のCは×(誤答肢)となります。

Dの問題文は「その通り」です。強制労働は、労働基準法上最も思い罰則である「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」が定められています。今の日本で「強制労働」が認められているのは、唯一「刑法」を根拠として、犯罪などをおかした人が「懲役刑」を受けたときの刑事施設(刑務所などという言い方をすることがありましたね)の中で、強制労働に服する、という規定だけとなります。それ以外で今の日本国内で強制労働をさせられることはありません。しかし、第二次世界大戦前の日本ではありました。だから、労働基準法第5条で最も重い罰則を定めて法律で規制するという手段をとっているのです。社会保険労務士試験受験生が悩む罰則については次のようにイメージしてください。

1、強制労働(労働基準法第5条)だけが、「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」

2、中間搾取と坑内労働違反が「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」

3、それ以外は「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」となります。

まとめましょう。労働基準法での罰則は3種類です。

1、強制労働が「1年~10年懲役又は20万円~300万円罰金」

2、中間搾取、坑内労働違反が「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」

3、それ以外は「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」

以上で、社会保険労務士試験は大丈夫です。

Eの問題文は、厚生労働省労働基準局長名通達、つまり「基発」と呼ばれるものではっきりと定義されています。

公民としての権利に該当するもの
・選挙権及び被選挙権
・最高裁判所裁判官の国民審査
・特別法の住民投票
・憲法改正の国民投票
・地方自治法による住民の直接請求
・選挙人名簿の登録の申出
・行政事件訴訟法に規定する民衆訴訟
・公職選挙法に規定する選挙人名簿に関する訴訟
・公職選挙法に規定する選挙又は当選に関する訴訟

公民としての権利に該当しないもの
・応援のための選挙活動
・一般の訴権の行使(一例、隣の家の犬がうちたの庭を荒らして困る。だから、裁判だ!というように、個人的な訴訟関係)

公の職務に該当するもの
・衆議院議員等の議員の職務
・労働委員会の委員、陪審員、検察審査員、労働審判員、裁判員の職務
・法令に基づいて設置される審議会の委員等の職務
・民事訴訟法の規定による承認の職務
・労働委員会の証人等の職務
・公職選挙法の規定による投票立会人の職務

公の職務に該当しないもの
・単に労務の提供を主たる目的とする職務(予備自衛官の防衛招集、非常勤の消防団員の職務など)

という内容をイメージできれば十分です。

これらのイメージが難しいという人は、

1、公民としての権利に関係するもの→裁判関係(個人的なものは除く)

2、公の職務に該当するもの→公務員関係(非常勤を除く)

というイメージを頭に持ちながら、過去問を何回かやってください。ある程度過去問をやれば、正解を出す感覚が身に付いてくると思っています。

Eの問題文の労働審判員は、「公の職務」に該当しますね。よってEは×(誤答肢)となります。

結論として、今回の〔問 1〕の解答は「D」となります。

スポンサードリンク