第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 7〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 7〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働基準法及び労働安全衛生法

〔問 7〕
労働基準法に定める寄宿舎に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の外泊について使用者の承認を受けさせることができる。

B 事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、事業の附属寄宿舎の寮長を選任しなければならない。

C 事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、起床、就寝、外出及び外泊に関する事項、行事に関する事項、食事に関する事項、安全及び衛生に関する事項並びに建設物及び設備の管理に関する事項について寄宿舎規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

D 使用者が、事業の附属寄宿舎の寄宿舎規則を作成する場合には、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。

E 使用者は、常時10人以上の労働者を就業させる事業の附属寄宿舎を設置しようとする場合においては、厚生労働省令で定める危害防止等に関する基準に従い定めた計画を、工事着手30日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

「寄宿舎」とは、「①使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない。②使用者は、寮長、室長その他寄宿舎生活の自治に必要な役員の選任に干渉してはならない。」という労働基準法第94条に規定されています。私生活の自由を犯すとは、「①外出又は外泊について使用者の承認を受けさせること。②教育、娯楽その他の行事に参加を強制すること。③共同の利益を害する場所及び時間を除き、面会の自由を制限すること。」というように事業附属寄宿舎規定第4号に規定されています。
寄宿舎のイメージがわかない人のために「寄宿舎」の実例をご紹介すると、寄宿舎とは常態として相当人数の労働者が宿泊し、大部屋にみんなで寝るという宿舎をいいます。

厚生労働省のホームページにはhttp://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/dormitory.pdf

というURLをご覧いただくと、

「・各室の最大居住人員は6人以下とする必要があります。」
「・各室の1人当たりの床面積は3.2m2(約2畳)以上としなければなりません。」
とありますね。
これでも、一昔前に比べてかなり改善されました。以前は、本当に雑魚寝(ざこね)という感じで顔に隣の人の足や手が当たるのが「当たり前だのクラッカー」常態でしたから、かなり改善されています。ただし、以上の1人当たり約2畳の広さという原則が必ず守られているかどうかは、???だと私は思っています。また、トイレや風呂は共同で利用しますね。個室というものは存在しないのが「寄宿舎」です。そういうプライベートの部分が、なかなか守られないからこそ、使用者が仕事場だけでなく、寄宿舎内というプライベートな部分に干渉することを法律で禁じているわけですね。

過去に社会保険労務士試験で出題された内容は

「①外泊について使用者の許可又は承諾を受けさせること。②入寮後半年間は帰郷を認めないこと。③女性の寄宿舎において男性との面会を一切認めないこと。④女性の寄宿舎において生け花の講習会への出席を義務づけること。」などは、私生活の自由を侵す場合として、禁止するという趣旨での出題が過去問としてありますね。要するに、仕事中はまだしも、仕事が終わって寄宿舎に戻ってきている労働者は、一般の感覚で言うところの「自宅にいる」状態だとみなして、プライベートな部分には使用者は干渉しないように法律で規制しているというイメージで社会保険労務士試験はバッチリですね。

Aの問題文は「今言ったばかり」ですね。よって×(誤答肢)となります。

Bの問題文は「これもさきほどご紹介したばかり」ですね。干渉したらダメなのです。よってBは×(誤答肢)となります。

Cの問題文はこれは「その通り」ですね。労働者に対する干渉ではなく、お役所に対して「寄宿舎」の実態を届け出ることですね。よってCは○(今回の〔問 7〕の解答)となります。

Dの問題文は「労働組合は労働条件について使用者と話し合うための組織」でしたね。寄宿舎は労働条件ではありません。また、寄宿舎には使用者や食事の用意をする人や、その他の寄宿舎の生活を支える人も寝泊まりする可能性がありますね。よって寄宿舎のことは、寄宿舎の人で話し合うのが筋(すじ)ですね。よって、寄宿舎規則は寄宿舎の人の同意が必要です。寄宿舎規則としては労働基準法第95条が「①事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、次の事項について寄宿舎規則を作成し、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。これを変更した場合においても同様である。
(1)起床、就寝、外出及び外泊に関する事項。
(2)行事に関する事項。
(3)食事に関する事項。
(4)安全及び衛生に関する事項。
(5)建設物及び設備の管理に関する事項。
④使用者は、前項(1)から(4)の事項に関する規定の作成又は変更については、寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。③使用者は、寄宿舎規則の届出をなすについて、前項(上記②)の寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を照明する書面を添付しなければならない。④使用者及び寄宿舎に寄宿する労働者は、寄宿舎規則を遵守しなければならない。」と規定されていますね。

ここで、頭に入れておいて欲しい内容は、「就業規則」は労働者側の意見を聞くだけで良かったのに対して、「寄宿舎規則」に関しては、労働者側の「同意を証明する書面の添付」
まで必要ですね。これは、生活の場として「命」までかかわってくる内容だからですね。実際にさきほどの厚生労働省のhttp://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/dormitory.pdf

のURLをご覧頂くとわかるのですが、「寄宿舎」では火事などの管理責任上の問題で労働者が死んでしまうことがたびたびあったので、「同意を証明する書面添付」という厳しい条件なのですね。実際に「死んだ」ことが度々(たびたび)過去にあったからの改善なのですね。

よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題文は「14日前」ですね。これは、厚生労働省のhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/

というURLの労働基準法関係の届出様式をご覧頂くと、

労働基準法第96条の2
(事業場附属寄宿舎規程第3条の2) 常時10人以上の労働者を就業させる事業、危険な事業又は衛生上有害な事業の附属寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しようとする場合においては、これらに係る計画を工事着手14日前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

という内容がきっちりと紹介されていますね。

よってEは×(誤答肢)となります。

ここで、社会保険労務士試験の受験生が間違えやすい届け出関係の覚え方について、まとめてご紹介します。主に安全衛生法関係なのですが、

1、製電ガ自機(電気300kw以上)→署長30日前
2、危険有害キカイ等設置→署長30日前
3、大規模建設業→大臣30日前
4、建・土(建設・土石採取)→署長14日前
5、JV(ジョイントベンチャー)→署長経由→局長14日前

の5つを何回も紙に書いて手で覚えてください。理論で覚えても無駄です。私は、「せいでんがじき、きけんゆうがいは署長30日」「大規模大臣30日」「ケンド署長14日」「ジョイントしょちょうけいゆできょくちょう14」というように何回もくちずさみながら、紙に書いて丸暗記しました。それぞれの言葉の意味は、

「せいでんがじき」とは、「製造業・電気業・ガス業・自動車整備業」の届出は労働基準監督署長に30日前まで届け出なければならない。
「きけんゆうがい」とは、危険有害機械等設置も労働基準監督署長に30日前までに届け出なければならない。
「だいきぼ」とは、複数の都道府県にまたがるような大規模な建設工事は厚生労働大臣に30日前までに届け出なければならない。
「ケンド」とは、建設・土石採取というあまり大規模でない工事は危険性が少ないので労働基準監督署長に14日前までに届け出なければならない。
「ジョイント」とは、下請け孫請けという関係ではなく、ジョイントベンチャーができるレベルの事業所ならば、中堅以上の大きさなので、労働基準監督署長を経由して都道府県管轄である労働基準局長に14日前までに届け出なければならない。
と私は書いて書いて覚えました。
また、イメージとして「危険性が高い物は30日前」「そうでないものは14日前」「範囲が都道府県を越えるものは大臣」「圏レベルの範囲は局長」「小さな範囲は署長」というイメージもあわせて持つと完璧だと思います。

以上の考え方の応用で、Eの問題文では「危険性が大きくない」ので14日前という推定も本試験では可能ですね。よってEは×(誤答肢)となります。

結論として、今回の〔問 7〕の解答は「C」となります。

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