第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 9〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 9〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働基準法及び労働安全衛生法

〔問 9〕
労働安全衛生法第66条の8に定める「医師による面接指導」等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者に対しては、本人の申出の有無にかかわらず、面接指導を実施しなければならない。

B 産業医の選任義務のない常時50人未満の労働者を使用する事業場の事業者であっても労働安全衛生法第66条の8の適用があり、同条に定める措置を講ずる必要があるので、国が労働安全衛生法第19条の3に規定する援助として行う労働者の健康管理等に係る業務についての相談その他の必要な援助の事業を利用して、面接指導を実施することができる。(一部改正)

C 労働安全衛生法が定める衛生委員会の調査審議事項には、長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関する事項が含まれている。

D 事業者は、面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければならない。

E 事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。また、当該記録は、労働安全衛生規則第52条の5に定める事項のほか、当該労働者の健康を保持するために必要な措置についての医師の意見を記載したものでなければならない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

問題文にある、労働安全衛生法第66条の8とは、
「①事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
②労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する事業者に提出したときは、この限りでない。
③事業者は、厚生労働省で定めるところにより、第①項及び第②項ただし書きの規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。
④事業者は、第①項又は第②項ただし書きの規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。
⑤事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない」
という第①項から第⑤項までからなる条文のことです。

そして、第①項の「厚生労働省で定める・・」とは、
「①休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。ただし、次項の期日前1月以内に面接指導を受けた労働者その他これに類する労働者であって面接指導を受ける必要がないと医師が認めたものを除く。
②前項の超えた時間の算定は、毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければならない。」という労働安全衛生規則第52条の2と、
「①面接指導は、前条第1項の要件に該当する労働者の申出により行うものとする。
②前項の申出は、前条第2項の期日後、遅滞なく行うものとする。
③事業者は、労働者から第①項の申出があったときは、遅滞なく、面接指導を行わなければならない。
⑤産業医は、前条第1項の要件に該当する労働者に対して、第①項の申出を行うよう勧奨することができる。」という労働安全衛生規則第52条の3と、
「医師は、面接指導を行うに当たっては、前条第①項の申出を行った労働者に対し、次に掲げる事項について確認を行うものとする。
(1)当該労働者の勤務の状況。
(2)当該労働者の疲労の蓄積の状況。
(3)前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況。」という労働安全衛生規則第52条の4と、
「労働安全衛生法第66条の8第2項ただし書きの書面は、当該労働者の受けた面接指導について、次に掲げる事項を記載したものでなければならない。
(1)実施年月日。
(2)当該労働者の氏名。
(3)面接指導を行った医師の氏名。
(4)当該労働者の疲労の蓄積の状況。
(5)前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況。」という労働安全衛生規則52条の5と、
「①事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。②前項の記録は、前条各号に掲げる事項及び労働安全衛生法第68条の8第4項の規定による医師の意見を記載したものでなければならない。」という労働安全衛生規則第52条の6と、
「面接指導の結果に基づく労働安全衛生法第66条の8第4項の規定による医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行わなければならない。」という労働安全衛生規則第52条の7によって規定されています。

そして労働安全衛生法第19条の3とは、
(国の援助)
「第十九条の三  国は、第十三条の二の事業場の労働者の健康の確保に資するため、労働者の健康管理等に関する相談、情報の提供その他の必要な援助を行うように努めるものとする。」と規定されています。

考え方として、「医師による面接指導」は労働者の「疲労や心身の状況」を専門家である「医師」が確認して、使用者にアドバイス(意見)して、使用者はそのアドバイス(意見)を参考にして労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進の措置を講じなければならない、ということですね。

もうすこしわかりやすくまとめると、「専門家の診察により労働者の健康を守れ」と国が言っている、とイメージしてください。国が言っているのですから、お金がない、50人以下の労働者数の事業場の場合は、「産業医」の代わりも国が面倒をみてくれますね。国が面倒をみるというのが労働安全衛生法第19条の3で規定されています。そういうイメージで一緒に問題をみていきましょうね。

Aの問題文は「申出」が必要ですね。もし、申出にかかわりなく面接指導を行う「義務」ならば、面接指導を行わなければ「罰則」が生じるはずですし、労働者側が「いやだから別の医師にみてもらう」と主張することもできなくなりますね。そういうことから考えても、「申出」により、行う。だから、医師の「勧奨」という言葉が出てくるのですね。
産業医の「勧奨」という言葉については、実は平成18年の第38回社会保険労務士試験で「産業医は、当該労働者に対して当該申出を行うよう(E)することができる旨規定されている。」と空欄Eにて、ずばり「勧奨」という問題が出題されたのは記憶に新しいところですね。よってAは×(今回の〔問 9〕の解答)となります。

Bの問題文は「その通り」ですね。具体的には国からの援助として各都道府県労働局にはhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/111208-3.pdfのURLをご覧頂くと、おわかりの通達がいっています。この中で指示されている地域産業保険センターの役割として「地域産業保険センターは、小規模事業場(労働者数50人未満の事業場)の事業者や労働者に対し、

・各種健康相談
・個別訪問による産業保健指導
・産業保険情報の提供
などを無料で行っています。」

これにつきましては、http://www.rofuku.go.jp/sangyouhoken/tabid/333/Default.aspxのURLもご覧ください。

繰り返しご説明すると、50人未満の労働者数の小規模事業場などでは、なかなかお金の面で面接指導なども実施しづらいと思うので、国が費用を全て面倒見てあげましょう、つまり地域産業保険センターを利用すれば無料だということですね。よってBは○(正答肢)となります。

Cの問題文は、「事業者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。」①労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
②労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
③労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
④前3号(上記①②③)に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項。」という労働安全衛生法第18条第1項について問いかけてきている問題です。「健康障害の防止」は衛生委員会の調査審議事項ですね。よってCは○(正答肢)となります。

Dの問題文は、「その通り」ですね。医師の意見(アドバイス)をきかないのであれば、「なんのための面接指導」かわかりませんね。労働者からの「ちょっと疲れがたまっているんだ巣が・・・。」という自己申告だけでは、使用者は「そんなものは、あなたがたるんでいるからだよ。」という強い立場を利用しての勝手な言い分でまるめこんでしまうのを、専門家である「医師」の力を借りて、「疲れているようだから休みなさい。あるいは、楽にさせてあげる。」となるように仕向けていくのですね。よってDは○(正答肢)となります。

Eの問題文は「5年間」という数字をしっかりと覚えてくださいね。医療関係の個人情報は「5年間」とイメージしてくださいね。よってEは○(正答肢)となります。

結論として、今回の〔問 9〕の解答は「A」となります。

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