第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 1〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 1〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働者災害補償保険法

〔問 1〕
保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下において、「労災保険法」とは「労働者災害補償保険法」のこと、「労災保険法施行規則」とは「労働者災害補償保険法施行規則」のこと、「労災保険」とは「労働者災害補償保険」のことである。

A 労災保険法による保険給付は、労働者を使用するすべての事業について、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して行われる。

B 労働者以外の者であっても、特別加入を認められた者は、労災保険法上は労働者とみなされ、通勤災害に係る保険給付を除くすべての保険給付を受けることができる。

C 業務に関連がある疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2の各号に掲げられている疾病のいずれにも該当しないものは、業務上の疾病とは認められない。

D 通勤による疾病は、通勤による負傷に起因する疾病その他厚生労働省令で定める疾病に限られ、その具体的範囲は、労災保険法施行規則に基づき厚生労働大臣が告示で定めている。

E 業務災害又は通勤災害により受けるべき最初の保険給付について被災者の請求が認められた場合には、その後に当該業務災害又は通勤災害に関し引き続いて生ずる事由に係る保険給付について政府が必要と認めるときは、当該被災者からの請求を待つまでもなく職権で保険給付が行われる。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aの問題文では「すべての」という言葉を見た瞬間、私は「ダメダだこりゃあ!」とつぶやいて×(誤答肢)とします。当ブログの

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働基準法及び労働安全衛生法 〔問 5〕

をご覧頂くと、次の内容がありますね。

↓↓↓ここからが抜粋内容です。

社会保険労務士試験で「絶対」とか「必ず」「どのような場合でも」というフレーズが出てきたら、ほとんどの場合は、×(それは間違っているよ)という考え方で正解を導き出せることができます。なぜならば、社会保険労務士という資格は、「人と人のつながり」をサポートする資格です。人と人との関係では、「例外」はよくあることです。「原則」通りにものごとがすすむとは限りません。ですから、その場その場でお互いに知恵を出し合って、協力し合って、物事を解決してすすめていくのです。ですから、その基準のもとになる法律の条文で「絶対」「必ず」「どのような場合でも」などというフレーズが出てくるわけはありません。そういう考え方だけでも、今回のBの問題文は正解を導き出すことができます。よってBは×(誤答肢)となります。

↑↑↑ここまでが抜粋内容でした。

実際には、「①労働者災害補償保険法においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。②前項(上記①)の規定にかかわらず、国の直営事業、官公署の事業(労働基準法別表第1に掲げる事業を除く。)〔非現業の官公署〕及び船員保険法第17条の規定による船員保険の被保険者については、労働者災害補償保険法は、これを適用しない。」という労働者災害補償保険法第3条の規定をしっかりと理解していれば、即座に解ける問題ですね。労働者災害補償保険法第3条の趣旨は、「労災保険は原則として公務員と船員保険の被保険者には適用しない。」とあっさりとイメージしてもらえば大丈夫です。ここで、「原則」というからには「例外」があるわけですが、唯一労災保険が適用される公務員は「地方公共団体の現業部門の非常勤職員」となります。わかりやすく言えば、「現場で働く非常勤の人」ということになります。公務員や船員保険で労災保険が適用されない理由は、公務員や船員保険では「労災保険より充実した手厚い保険給付」が受けられるので、わざわざ「労災保険」のレベルまで落とさなくても良いだろう、という趣旨ですね。ただ、現場ではたらく非常勤の人には、公務員の国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法の適用はありません。だから、本当一般の労働者レベルまで降りてくるので、労災法つまり労働者災害補償保険法を適用すると考えるのです。これは、社会保険の方で健康保険法の適用がない人には、国民健康保険法の適用があります、というのと同じようなものだとイメージするとよいでしょう。

Cの問題文は、「労働基準法施行規則別表第1の2の各号」とは、
「第1号は業務上の負傷に起因する疾病(代表例→腰痛)。
第2号は物理的因子による疾病(代表例→騒音性難聴、前眼部疾患)。
第3号は身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する疾病(代表例→振動障害、腱鞘炎)。
第4号は化学物質等による疾病(代表例→酸素欠乏症)。
第5号は粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症とじん肺合併症(代表例→じん肺症)。
第6号は細菌、ウイルス等の病原体による疾病(代表例→ウイルス性肝炎)。
第7号はガン原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による疾病、いわゆる職業がん(代表例→中皮腫)。
第8号は前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病(代表例→間質性肺疾患)。
第9号はその他業務に起因することの明らかな疾病(代表例→脳・心臓疾患・精神障害)。」
というように規定されています。ですから、普通に考えて「ひどいなぁ」と思う状態であれば、「該当する」とイメージしてください。今回のCの問題文では「業務に関連のある疾病であっても」と書いてありますね。「ひどいなぁ」というようには読み取れませんね。例によって、厚生労働省兵庫労働局のホームページを見てみると、http://hyogo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/rosai_hoken/hourei_seido/about_rosai_hoken.htmlというURLには

「2. 業務上の負傷について
業務上と認められるためには業務起因性が認められなければならず、その前提条件として業務遂行性が認められなければなりません。
この業務遂行性は次のような3つの類型に分けることができます。

(1)事業主の支配・管理下で業務に従事している場合
1.担当業務、事業主からの特命業務や突発事故に対する緊急業務に従事している場合
2.担当業務を行ううえで必要な行為、作業中の用便、飲水等の生理的行為や作業中の反射的行為
3.その他労働関係の本旨に照らし合理的と認められる行為を行っている場合など

(2)事業主の支配・管理下にあるが、業務に従事していない場合

1.休憩時間に事業場構内で休んでいる場合、事業附属寄宿舎を利用している場合や事業主が通勤専用に提供した交通機関を利用した場合など
2.休日に構内で遊んでいるよう場合は、事業主の支配・管理下にあると言えません

(3)事業主の支配下にはあるが、管理下を離れて業務に従事している場合

1.出張や社用での外出、運送、配達、営業などのため事業場の外で仕事をする場合
2.事業場外の就業場所への往復、食事、用便など事業場外での業務に付随する行為を行う場合など
3.出張の場合は、私用で寄り道したような場合を除き、用務先へ向かって住居又は事業場を出たときから帰り着くまでの全行程に亘って業務遂行性が認められます。

上述の(1)~(3)の場合に業務起因性が認められるか否かについては、次のようになります。

(a)事業主の支配・管理下にあって業務に従事している場合

この場合、災害は被災労働者の業務としての行為や事業場の施設・設備の管理状況などが原因となって発生するものと考えられますので、他に業務上と認め難い事情がない限り、業務上と認められます。
業務上と認め難い特別な事情としては次のような場合などが考えられます。
1.被災労働者が就業中に私用(私的行為)又はいたずら(恣意的行為)をしていて、その行為が原因となって災害が発生した場合
2.労働者が故意に災害を発生させた場合
3.労働者が個人的なうらみなどにより、第三者から暴行を受けて被災した場合

(b)事業主の支配・管理下にあるが業務に従事していない場合

出社して事業場施設内にいる限り、労働契約に基づき事業主の施設管理下にあると認められますが、休憩時間や就業前後は実際に仕事をしているわけではないので行為そのものは私的行為です。
この場合、私的な行為によって発生した災害は業務災害とは認められません。
1.休憩時間に同僚と相撲をとっていて腰を痛めた場合やキャッチボ-ルの球を受け損なって負傷した場合など。なお、事業場の施設・設備や管理状況などがもとで発生した災害は業務災害となります。
2.寄宿舎が雪崩で倒壊して被災した場合や休憩時間に構内で休憩中トラックと接触して被災した場合など

(c)事業主の支配下にあるが、管理下を離れて業務に従事している場合

出張などの事業場施設外で業務に従事している場合は事業主の管理下を離れているが、労働契約に基づき事業主の命令を受けて仕事をしているわけですから、途中で積極的な私的行為を行うなど特段の事情がない限り、一般的に業務遂行性が認められます。さらに業務起因性についても特にこれを否定すべき事情がない限り、業務災害と認められます。」という例が紹介されています。

簡単にまとめると、業務に関連性があっても「1、故意の事故。2、私的行為。」など、必ずしも「使用者の指揮命令下という状態が原因での疾病ではない」と考えられる場合ですね。私の表現では「仕事中に個人勝手なことしたのが原因の疾病」となります。確かに、仕事中なので、業務との関連はあります。でも、その業務でなくても疾病が起きたかも知れない、と考えられるケースですね。「故意・私的」などは、その業務でなくても、起こり得ることですからね。本当に「業務災害か否か?」については、今後も「わざとややこしいケース」を作って出題されるかもしれませんので、「あなた」なりに、「故意・私的」要素があるかないかで判断できるようにしておいて下さいね。

よって、Cは○(今回の〔問 1〕の解答)となります。

Dの問題文は、「簡単」ですね。通勤が原因で疾病になるということですから、かなり限定されますよ。わかりやすくいえば、「Aさんが会社までの通勤途中の電車内で、苦しい、と旨をおさえて心筋梗塞(しんきんこうそく)になった。」としても、「通勤災害」には、なりません。電車に乗ることと、「心筋梗塞」については、医学的に何のつながりもありませんからね。通勤が原因で心筋梗塞になることは、普通はないパターンですからね。ただし、普段の業務が大変でその影響でたまたま電車内で心筋梗塞が発症したのであれば「業務災害認定」となります。ただし、「通勤」が原因で「心筋梗塞」は認められません。法律では、「①通勤による負傷に起因する疾病②通勤に起因することの明らかな疾病」という2つだけに限定されていますので、通勤事故はよくありますが、通勤疾病は「なかなかありません。」まよったときには「疾病は業務災害」というイメージでほぼ大丈夫です。Dの問題文では「その他厚生労働省令で定める疾病に限られ・・」という部分が大間違いで、そもそも事前に予想される通勤疾病は今のところありません。事前に予想される疾病は業務災害関係です。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題分は「請求無しは傷病(補償)年金のみ」というイメージで対応してくださいね。ちなみに、休業(補償)給付と傷病(補償)年金は、どちらの方が金額的には、得なのでしょうか。答えは傷病(補償)年金ですね。考えてみると、休業(補償)給付は1日につき給付基礎日額の100分の60、つまり6割のお金を生活費としてもらうことができますね。傷病(補償)年金は、1年間につき、第1級は給付基礎日額の313日分、第2級は277日分、第3級は245日分もらえましたね。もし、休業(補償)給付を1年間365日ずっともらったとしたら金額は給付基礎日額×6割×365日=給付基礎日額の219日分ですね。傷病(補償)年金であれば、第3級でも245日分ですから、金額として考えると、休業(補償)年金よりも、傷病(補償)年金の方が金額は大きいですね。実際に、障害等級が第1級~第3級という状態はかなり障害が重い状態ですので、そこに配慮されているのですね。そういう配慮のためにも、傷病(補償)年金は、お役所(所轄労働基準監督署長)が「支給の決定をしなければならない」のでしたね。

よってEは×(誤答肢)となります。

結論として、今回の〔問 1〕の解答は「C」となります。

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