第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 2〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 2〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働者災害補償保険法

〔問 2〕
給付基礎日額に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とされ、この場合において、同条第1項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、業務災害及び通勤災害による負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は業務災害及び通勤災害による疾病の発生が診断によって確定した日である。

B 労働基準法第12条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところによって所轄労働基準監督署長が算定する額を給付基礎日額とする。

C 給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、それが1円に切り上げられる。

D 給付基礎日額のうち、①年金給付の額の算定の基礎として用いるもの、②療養開始後1年6か月を経過した日以後に支給事由が生じた休業補償給付又は休業給付の額の算定の基礎として用いるもの、③障害補償一時金若しくは障害一時金又は遺族補償一時金若しくは遺族一時金の額の算定の基礎として用いるものについては、所定の年齢階層ごとの最高限度額及び最低限度額が設定されている。

E 特別加入者の給付基礎日額は、中小事業主等については当該事業に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮し、一人親方等については当該事業と同種若しくは類似の事業又は当該作業と同種若しくは類似の作業を行う事業に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮し、海外派遣者については中小事業主等の場合に準じて、厚生労働大臣が定める額による。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aの問題文は給付基礎日額の算定事由発生日についてわかっていますか?という問題ですね。

算定事由発生日とは、労災保険(労働者災害補償保険)を適用する負傷や疾病により生活費となる休業(補償)給付その他の給付を支給するときに、いくら払ってあげたら良いかと言うことを決める日のことですね。あなたが会社で働いているときに給料(賃金)の支払う額を決める「締め切り日」と同じようなものだとイメージしてもらえばよいです。算定事由発生日は、労災事故によって働くことができなくなった時点までの給料(賃金)の額をベース(基)に考えます。ですから、「事故発生日又は診断確定日」となります。事故が発生して「亡くなった」、医師による診断で「障害が確定した」日というイメージをもってもらうと良いことになります。

給付基礎日額については、労働者災害補償保険法第8条第1項は
「給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とする。この場合において同条第1項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、労働者災害補償保険法第7条第1項第1号及び第2号に規定する負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって同項第1号及び第2号に規定する疾病の発生が確定した日(以下「算定事由発生日」という。)とする。」と規定しています。

よって、Aは法律の文章のまま「その通り」となりますので、○(正答肢)となります。

Bの問題文は、労働者災害補償保険法の給付基礎日額は、労働基準法の平均賃金よりも、「労働者に有利」となっていることを知っていますか?という問題です。

具体的には
「平均賃金の算定期間中に、業務外の事由による負傷又は疾病の療養のために休業した期間、がある労働者の場合、次の①の額が②の額より低いときには、②の額をその者の給付基礎日額とする。
①労働基準法第12条の規定に基づいて算定した平均賃金相当額。
②業務外の事由による負傷又は疾病のために休業した期間の日数及びその期間中の賃金を平均賃金の算定期間及び賃金の総額から控除した場合における平均賃金相当額」という労働者災害施行規則第9条第1項第1号や
「じん肺にかかったことにより保険給付を受けることになった労働者の場合、次の①の額が②の額より低いときには、②の額をその者の給付基礎日額とする。
①労働基準法第12条の規定に基づいて算定した平均賃金相当額(診断によって疾病の発生した日を算定事由発生日として算定した平均賃金相当額)。
③粉じん作業以外の作業に常時従事することとなった日を算定事由発生日と見なして、算定した平均賃金相当額。」という労働者災害補償保険法施行規則第9条第1項第2号や
「平均賃金に相当する額又は労働者災害補償保険法施行規則第9条第1項の私傷病休業者、じん肺患者の特例等に定めるところによって算定された額(以下「平均賃金相当額」という。)が自動変更対象額(3,950円)に満たない場合は、自動変更対象額(3,950円)とする。」という労働者災害補償保険法施行規則第9条第1項第4号に規定されています。

これらは、
「労働基準法第12条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところによって政府が算定する額を給付基礎日額とする。上記①の規定による給付基礎日額の算定は、所轄労働基準監督署長が、労働者災害補償保険法施行規則第9条第1項各号に定めるところによって行う。」という労働者災害補償保険法第8条第2項のなかでの「厚生労働省令に定めるところによって政府が算定する額を」の部分の具体的な例となります。

Bの問題文は「その通り」ですね。よってBは○(正答肢)となります。

Cの問題文は「端数処理」の問題ですね。「給付基礎日額日額に1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする。」という労働者災害補償保険法第8条の5を覚えている人には簡単な問題ですね。よってCは○(正答肢)となります。

ここで、社会保険労務士試験の受験生の中には、「端数処理はむずかしい。1円未満を例にとっても、切り捨て、四捨五入、切り上げの3種類が労災法・徴収法・国年法・厚年法などで社会保険労務士試験に出てくる。わけがわからないよぅ。」と思っている人も多いと思います。次のイメージをもって下さいね。

「どうすれば弱者=労働者の得になるのか?」という考え方をしてください。

今回の給付基礎日額は、労働者がもらうお金の算定基準です。この給付基礎日額が増えたら、労働者が得します。そして、労働者災害補償保険法は「使用者」だけが、保険料を支払います。労働者は、1円も払いません。ということは、無条件で「切り上げ」にしたほうが「労働者はお得だね。」となりますね。ですから、労働者が1円も保険料を払わない「労働者災害補償保険法」での端数処理は「1円未満は切り上げ」とイメージできますね。

徴収法の労働保険料額の端数処理はどうでしょうか。徴収法に関しては、「払うだけ」ですね。もらうものはありません。そして、雇用保険関係は労働者も払いますね。ですから、徴収法の労働保険料額の1円未満の端数処理に関しては「問答無用(もんどうむよう)で切り捨て」とイメージしてください。

国民年金法と厚生年金保険法では、保険料は払うし、年金や保険給付はもらいますね。つまり、バランス感覚が必要ですね。だから、国民年金法と厚生年金保険法での端数処理の「1円未満は四捨五入」となります。繰り返します。どうすれば、労働者や本人が得するかをイメージしながら、端数処理のことを考えると、「国語力」つまり、社会保険労務士試験問題を本試験当日に、初めて見たパターンの問題でも「端数処理」の正解が導き出しやすくなりますね。

よって、今回のCの問題文は「労働者災害補償保険法」つまり、労働者は1円も保険料を納めないから、もらうだけなので、「端数処理の1円未満は切り上げ」と考えることが出来ますね。よってCは○(正答肢)となります。

Dの問題文は「所定の年齢階層ごとの最高限度額・最低限度額の設定」についての問題ですね。たしかに、年齢に応じて最高限度額・最低限度額が決められていますね。その理由は、普段の生活費としての「給付基礎日額」という趣旨をもう一度よく考えてみましょうね。

まずは、資料として厚生労働省のホームページのhttp://www.mhlw.go.jp/topics/2010/07/dl/tp0723-1c.pdf

のURLをご覧頂くと、今現在つまり平成24年8月1日からの

・労災年金給付等に係る給付基礎日額の年齢階層別最低・最高限度額

1、趣旨
療養開始後1年6箇月を経過した方に支給する休業(補償)給付及び年金たる保険給付(以下「労災年金給付等」という。)については、被災時の年齢による不均衡の是正を図ることなどのため、その算定に係る給付基礎日額について年齢階層別の最低・最高限度額を儲けています。

2、内容
平成24年8月1日から平成25年7月31日までの期間に支給される労災年金給付等に係る給付基礎日額の年齢階層別最低・最高限度額は、以下のとおりです。

19歳未満→4,506円~12,944円
20~24歳→5,011~12,944円
25~29歳→5,622~13,644円
30~34歳→6,116~16,141円
35~39歳→6,532~18,548円
40~44歳→6,746~21,926円
45~49歳→6,866~24,472円
50~54歳→6,484~25,013円
55~59歳→5,815~23,187円
60~64歳→4,686~19,830円
65~69歳→3,950~14,386円
70歳以上→3,950円~12,944円

と紹介されています。

上の数字の意味としては、

たとえば、45歳以上49歳未満の人であれば、最低限度額は6,866円であり、最高限度額は、24,472円である、という意味でとらえてください。他の年列階層についても同様の考え方です。この6,866円や24,472円という数字が「ずばり」選択問題などで聞かれることは「可能性としては少ない」と私は考えています。ただ、どの年齢層が多い額でどの年齢層が少ないかという「比較」に関しては、今後の社会保険労務士試験に「出題されてもおかしくない」と思っています。皆さんは、上の表を何回か眺めながら、それぞれの年齢層の家族構成やその他を頭の中に想像してみてください。そうすれば、少しでも、どの年齢層が多くてどの年齢層が少ない、というイメージ作りに役立つのではないか、と思っています。

話を元に戻します。生活費としての年金には最低限度額・最高限度額の適用はありますが、一時金としての給付には「限度額適用」はありません。よってDは×(今回の〔問 2〕の解答)となります。

Eの問題文は、

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 4〕

をご覧頂くとバッチリですね。

特別加入とは、
①中小事業主等(第1種特別加入者)
②一人親方等(第2種特別加入者)
③海外派遣者(第3種特別加入者)
という人々が特別に労災保険に加入することができるというものでしたね。
また、これらの人々は、毎月決まった額の賃金(給料)をもらうという形式ではなかったですね。だから、それぞれの人が申請する額を考慮して「給付基礎日額」を決定します。

「中小事業主等の給付基礎日額は3,500円、4,000円、5,000円、6,000円、7,000円、8,000円9,000円、10,000円、12,000円、14,000円、16,000円、18,000円及び20,000円のうちから定める。」
「1人親方等の給付基礎日額は、中小事業主と同様であるが、家内労働者及びその補助者の場合は、暫定的に2,000円、2,500円又は3,000円の日額も認められている。」
「海外派遣者の給付基礎日額は、中小事業主等と同様である。」というように労働者災害補償保険法第46条などに規定されています。

まとめると、「特別加入者の給付基礎日額は、厚生労働大臣の定めた額(基本的に3,500円~20,000円)の中から、特別加入者の希望する額に基づいて、都道府県労働局長が決定した額である。」となりますね。この都道府県労働局長というものは、厚生労働大臣の権限が委任されていることになれます。条直なところ、現場(実務)では、厚生労働大臣名で色々な仕事を現場の職員がやっていますからね。

Eの問題文は「模範解答」ともいうべき法律の条文をきれいにまとめた「その通り」k
文章ですね。よってEは○(正答肢)となります。

結論として、今回の〔問 2〕の問題文の解答は「D」となります。

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