第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 3〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 3〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働者災害補償保険法

〔問 3〕
療養補償給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「指定病院等」とは「社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者」のことである。

A 療養補償給付のうち、療養の給付は、指定病院等において行われるほか、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院等においても行われる。

B 療養補償給付は、療養の給付として行われるのが原則であるが、療養の給付を行うことが困難である場合のほか、労働者が指定病院等でない病院等であっても当該病院等による療養を望む場合には、療養の給付に代えて療養の費用が支給される。

C 療養の給付の範囲は、①診察、②薬剤又は治療材料の支給、③処置、手術その他の治療、④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、⑥移送のほか、政府が療養上相当と認めるものに限られる。

D 療養の給付を受ける労働者が当該療養の給付を受ける指定病院等を変更しようとするときは、改めて所定の事項を記載した届書を、当該療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、その承認を受けなければならない。

E 傷病の症状が残った場合でも、その症状が安定し、疾病が固定した状態になって治療の必要がなくなった場合には、傷病発生以前の状態に回復していなくても、傷病は治ゆしたものとして療養補償給付又は療養給付は行われない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

療養補償給付に関する問題ですね。「補償」という言葉が入っているので「業務災害」ですね。法律では、
「①療養補償給付は、療養の給付とする。
②政府は、療養の給付をすることが困難な場合又は療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる。」と労働者災害補償保険法第13条には、規定されていますね。

わかりやすく言えば、「業務災害」の場合、病院などにいって、診察治療手術その他で直してもらう場合には、「現物給付」つまり、診察治療手術その他を、病院などで直接本人の身体に受けます。そして、お金は政府が直接病院などに支払うので、労働者は1円もお金を払う必要はありません。つまり、無料(タダ)で診察治療手術その他を直接労働者の身体に受けることができます、というのが療養補償給付というものでしたね。そして、療養補償給付を受けるためには「労災病院」などの「指定病院」に行く必要がありましたね。ここで注意して欲しいことは、

「労働者災害補償保険法の規定による療養の給付は、労働者災害補償保険法第29条第1項の社会復帰促進当事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者において行う。」という労働者災害補償保険法施行規則第11条第1項に規定されているのが、指定病院なのですが、指定病院は厚生労働大臣が指定しているのではないですよ、現場レベルで考えた方がよいということで、「都道府県労働局長」が指定するのですよ、社会保険労務士試験の「ひっかけ問題」として出題されても「バッチリ」というようにイメージしておいてくださいね。労災保険の指定は、現場のことをよくしっている各都道府県が行うのだとイメージしてくださいね。また、都道府県単位で指定病院などが決まると言うことは、私が住んでいる兵庫県でも、北は日本海に接しているところから、南は太平洋に接しているところまでと、かなり広いです。ですから、いざ、労災事故が起こったときに、事故が起こった近くに「指定病院」がない場合がありますね。そういう場合は、「仕方がない=命を優先する」という趣旨で、近くの病院に診てもらうことも出来ます。それが上にご紹介した労働者災害補償保険法13条では、「②政府は、療養の給付をすることが困難な場合又は療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる。」という規定で、療養の費用を支給される場合は次の2つです。昭和41年1月31日厚生労働省労働基準局長名通達第73号によると、

一つ目は、療養の給付をすることが困難な場合として、
「その地区に指定病院等がない場合や、特殊な医療技術又は診療施設を必要とする傷病の場合に最寄りの指定病院等にこれらの技術又は施設の設備がなされていない場合等、政府側の事情において療養の給付を行うことが困難な場合をいう。」が指定されています。

二つ目としては、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合として、
「労働者側に療養の費用によることを便宜とする事情がある場合、すなわち、傷病が指定病院以外の病院、診療所等で緊急な療養を必要とする場合や、最寄りの病院、診療所等が指定病院等でない等の事情がある場合をいう。」と指定されています。

以上の2つの場合は、「療養の給付=現物給付」ではなく「療養の費用の支給=現金支給」となっています。要するに、近くにお金を出さないで診てもらえる病院があるかどうかだけの問題だとイメージすれば簡単ですね。

以上のイメージをもとにして、具体的な問題文を一緒に見ていきましょうね。

Aの問題文は、「健康保険法に基づき指定する病院」に対しては、「療養の費用の支給」という「現金支給」になります。つまり、はじめは自分でお金を負担して、あとから「償還払い=あとから現金でもらう」ということになりますね。具体的に言えば、10万円の負担金があっても、労災病院ならば、一切の負担金無しで診てもらうのに対して、指定病院外ならば、いったん10万円をはらって、あとから、国から10万円を返してもらうということになりますね。よって×(誤答肢)となります。

Bの問題文は、「療養の費用支給」についての問題ですね。さきほど解説したように、療養の費用支給は「困難・相当理由」の2つの場合だけでしたね。今回のBの問題文は「困難・望む」ですから、×(誤答肢)となります。

Cの問題文は、「ひっかけ問題」ですね。

療養の給付の範囲は「療養の給付の範囲は、政府が必要と認める次の6つである。
①診察。
②薬剤又は治療材料の支給。
③処置、手術その他の治療。
④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護。
⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護。
④移送。」という労働者災害補償保険法第13条について問いかけてきている問題ですから、「必要」なので、×(誤答肢)となりますね。

しかし、労働基準法での「療養の範囲は、療養上相当と認める次の6つである。
①診察。
②薬剤又は治療材料の支給。
③処置、手術その他の治療。
④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護。
⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護。
⑥移送。」という労働基準法施行規則第36条がすごく似ている文章ですね。

違いは「相当」と「必要」のいう二文字だけですね。わかりやすいイメージとして、労働記事基準法では、「使用者」が負担するので「相当」程度でよい、労働者災害補償保険法だは、「国(政府)」が負担するので、必要ならばあれもこれも全てというようにより手厚い給付がうけられるというイメージで結構ですね。まあ、労働基準法よりも、労働者災害補しよう保険法の方が「労働者により手厚い」という基本的な考え方をおさえておれば解ける問題でしたね。よってCは×(誤答肢)となります。

Dの問題文は、「療養の給付」を受けるときには、指定病院で診てもらっているはずですね。指定病院からは最寄りの労働基準監督署長、つまり所轄労働基準監督署長に届けがいきます。そして、それは「自動的」な手続きとなりますので、「承認」や「認可」、「許可」というものは一切必要有りませんので「ひっかけ問題」にはひっかからないようにしてくださいね。そもそも「労働者の当然の権利」なのですから、「被災労働者の手を煩わせるようなことは無い」というイメージでバッチリですね。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題文は「その通り」です。「治癒(ちゆ)」とは、「症状が安定して固定した状態」のことです。もうすこし日常的な言葉で言い換えると、「それ以上治療しても無駄」という状態ですね。ただし、この場合に「障害等級」以上の障害の状態にあれば「障害(補償)給付」をうけることができたのでしたね。よってEは○(今回の〔問 3〕の解答)となります。

結論として今回の〔問 3〕の解答は「E」となります。

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