第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 4〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 4〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働者災害補償保険法

〔問 4〕
休業補償給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「給付基礎日額」とは労災保険法第8条の2第2項第2号に基づき年齢階層ごとに休業給付基礎日額の最高限度額として厚生労働大臣が定める額(以下「最高限度額」という。)が給付基礎日額となる場合にあっては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額をいう。

A 休業補償給付は、業務上の傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給されるが、それまでの3日間については、労働基準法第76条により使用者が直接に休業補償を行わなければならない。

B 休業補償給付は、業務上の傷病による休業(療養のため労働することができないために賃金を受けない場合をいう。)の第4日目から支給されるが、この第4日目とは、休業が継続していると断続しているとを問わず、実際に休業した日の第4日目のことである。

C 業務上の負傷が治ゆしても重い障害が残ったため、義肢の装着に必要な手術、術後のリハビリテーション等を受けて労働することができないために賃金を受けない場合は、療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に該当しないので、休業補償給付は支給されない。

D 業務上の傷病の療養のため所定労働時間の一部しか労働できなかった日の休業補償給付の額は、給付基礎日額から当該労働に対して支払われた賃金の額を差し引いた額(その額が最高限度額を超える場合には最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額となる。

E 業務上の傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない労働者として休業補償給付を受けていた者の労働関係が労働契約の期間満了によって解消した場合には、療養のため労働することができないために賃金を受けない状態にあるとはいえず、引き続いて休業補償給付を受けることはできない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていだたきます。

今回の問題は極めて基本的な問題ですので、間違えた人は、二度と間違えないようにしてほしいと思う問題ですね。

Aの問題文は「休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする。」という労働者災害補償保険法第14条第1項について問いかけてきている問題です。要点をまとめると、休業(補償)給付は、次の4つの条件を満たせば支給されます。

①療養のために休業する日であること。
②労働することができない日であること。
③賃金を受けない日であること。
④第4日目以後の休業日であること。

また、労働基準法では
「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な給付を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。」という労働基準法第75条や、続く
「労働者が労働基準法第75条の療養補償の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。」という労働基準法第76条の規定があります。

わかりやすく言い換えると、業務災害が起こると、使用者側に無過失責任(災害が起こった責任が誰にあるかは関係なしに使用者が責任を負うこと)となるために、使用者は労働者が療養の費用(病気や怪我を治すためのお金)を負担することは当然として、働けないない間の生活費も出しなさい。ただし、最初の三日間の生活費(休業補償)をきちんと出すならば、第4日目からは、国がお金を出してあげます。だから、最初の三日間だけは頑張って生活費(休業補償)を出してあげなさいよ。ちなみに、休業補償の額は普段の6割、つまり平均賃金の100分の60のお金となりますよ。」ということになります。

よってAの問題文は「その通り」となり、○(正答肢)となります。

Bの問題文も、休業補償給付の問題ですね。待機期間は3日間です。それ以外の規定がないので、その3日間に使用者から賃金(給料)をいくらたくさんもらっても、待機期間となります。使用者からもらった給料は労働基準法第76条の休業補償とみなされます。そして、継続する必要はありません。
具体的な例を挙げると、
・Aさんは、普段は朝9時から午後5時までの勤務です。また、1日当たりの平均賃金(給付基礎日額)は10,000円です。4月4日月曜日の午後2時に労災事故が起こり、病院に担ぎ込まれました。業務災害扱いとなりました。すると、4月4日はいきなり待機1日目扱いになります。そして、4月4日、4月5日の分として使用者から10,000円まるまるもらいました。また、Aさんは4月6日には会社に行って、普通に午前9時から午後5時まで仕事をしました。そして、4月7日から4月16日まで療養のために会社を休みました。こういう場合でも、4月7日が事故発生から第4日目として、休業補償給付として1日につき、国から6,000円ずつ支給されます。4月7日から4月16日までの分として計60,000円が国から支給されます。

これが健康保険法の場合は、「継続3日」が条件ですので、4月6日に会社で仕事を普通にしたならば、待機期間はリセットされて4月7日、4月8日、4月9日という3日間連続で「療養のために働いていない」という状態ではじめて4月10日から傷病手当金という名目での生活費が支給されます。以上の健康保険法の内容は、
「被保険者(任意継続被保険者を除く。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として1日につき、標準報酬日額(標準報酬減額の30分の1に相当する額)の3分の2に相当する金額を支給する。」という健康保険法第99条第1項に規定されています。

まとめると、健康保険法での生活費(傷病手当金)は、

①療養中であること。
②労務に服することができないこと。
③継続した3日間の待機を満たしたこと。

という3つの条件を満たせばもらえます。

労働者災害補償保険法の休業補償給付との違いを比べてみると、

休業補償給付
①療養のために休業する日であること。
②労働することができない日であること。
③賃金を受けない日であること。
④第4日目以後の休業日であること。

傷病手当金
①療養中であること。
②労務に服することができないこと。
③継続した3日間の待機を満たしたこと。

となり、「3日間」でも、休業補償給付は「とにかく休み始めた日から3日経てばOK」なのに対して、傷病手当金は「継続して3日間」休んだ次の日から支給となります。この違いに関しては「労働者災害補償保険法が1番手厚い保護である。」とイメージすれば社会保険労務士試験に対応できるでしょう。

よってBは○(正答肢)となります。

Cの問題文は「その通り」ですね。問題文をみてみると「業務上の負傷が治ゆしても」とありますね。「治ゆ=症状が安定・固定」の状態ですね。いわゆる「なおった」という状態です。この状態で「障害等級」にあれば、「障害補償給付」がもらえますね。ですから、生活費としては、「障害補償給付」はもらえることがありますが、「治ゆ」したのですから、「休業補償給付」をもらうことはありませんね。よってCは○(正答肢)となります。

Dの問題文は、「その通り」ですね。法律では
「労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうち、その一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(最高限度額を給付基礎日額とすることとされている場合にあっては、最高限度額の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額とする。」という労働者災害補償保険法第14条但書に規定してありますね。
具体的な計算例を示すと、Aさんの給付基礎日額は2万円で、療養のために一部労働の日に1万円の賃金をもらったとします。この日のAさんの休業補償給付は(2万円-1万円)×6割=6,000円となりますね。この日のAさんに入る生活費としては1万円+6,000円=16,000円となります。もし、Aさんが全く働かなければ、2万円×6割=12,000円ですので、やはり少しでも働いて賃金(給料)をもらった方が全体としては、生活費が多くもらえることがわかりますね。よってDは○(正答肢)となります。

Eの問題文は「ひっかけ問題」ですね。契約期間が満了しても、「療養中」であれば、生活費(休業補償給付)をもらう権利はあります。契約期間が満了しても「療養のために労働することができない」状態は続いています。「実際に働くことができない」という状態には変わりはありません。また、次の法律があります。
「保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。」という労働者災害補償保険法第12の5第1項です。「保険給付を受ける権利は労働者の退職によって変更されることはない」という内容は、あなたが受験する社会保険労務士試験では全て有効です。どの科目にも有効です。ただし、かんちがいする人がいるので、念を押しますよ。「今現在受けている保険給付が退職などの理由によって減額されたり、消滅したりすることはありません。」という意味ですよ。たとえば、障害等級が変化するなどの他の条件により、変更することはあります。でも、退職したら保険給付が何か変わると言うことはありません、という意味ですよ。これは社会保険労務士試験範囲の全てで共通の内容ですから、今しっかりとイメージできるようにしてくださいね。よってEは×(今回の〔問 4〕の解答)となります。

結論として今回の〔問 4〕の解答は「E」となります。

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