第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 5〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 5〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働者災害補償保険法

〔問 5〕
傷病補償年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 傷病補償年金は、業務上の傷病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日の属する月の翌月の初日以後の日において次のいずれにも該当し、かつ、その状態が継続するものと認められる場合に支給される。
①当該傷病が治っていないこと
②当該傷病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること

B 業務上の傷病が療養の開始後1年6か月を経過しても治らず、かつ、その傷病により例えば次のいずれかの障害がある者は、厚生労働省令で定める傷病等級に該当する障害があり、傷病補償年金の受給者になり得る。
①両手の手指の全部の用を廃したもの
②両耳の聴力を全く失ったもの
③両足をリスフラン関節以上で失ったもの
④胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

C 傷病補償年金は、労働者の請求に基づき、政府がその職権によって支給を決定するのであって、支給の当否、支給開始の時機等についての判断は、所轄労働基準監督署長の裁量に委ねられる。

D 傷病補償年金の支給事由となる障害の程度は、厚生労働省令の傷病等級表に定められており、厚生労働省令で定める障害等級の第1級から第3級までの障害と均衡したものであって、年金給付の支給日数も同様である。

E 傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、傷病等級表に定める障害に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の支給は打ち切られるが、なお療養のため労働することができないため賃金を受けない状態にある場合には、政府が労働者の請求を待たず職権で休業補償給付の支給を決定する。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

傷病補償年金の問題ですね。

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 1〕

を一度ご覧下さい。業務災害のあとの「保険給付」の流れをわかりやすくご説明しています。

Aの問題文は「傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6箇月を経過した日において次の各号のいずれにも該当するとき、又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。①当該負傷又は疾病が治っていないこと。②当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。」という労働者災害補償保険法第12条の8第3項について問いかけてきている問題です。Aの問題文の「1年6箇月を経過した日の属する月の翌月以後の日において」というフレーズが「1年6箇月を経過した日において」となっていれば良かったのですね。よってAは×(誤答肢)となります。

Bの問題文は「むずかしい」の一言ですね。Bの問題文中の「厚生労働省令で定める傷病等級=労働者災害補償保険法施行規則別表第2」のことなのですが、具体的には

「第1級
①神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの。
②胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要するもの。
③両眼が失明しているもの。
④そしゃく及び言語の機能を廃しているもの。
⑤両上肢をひじ間接以上で失ったもの。
⑥両上肢の用を全廃しているもの。
⑦両下肢をひざ関節以上で失ったもの。
⑧両下肢の用を全廃しているもの。
⑨前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの。

第2級
①神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの。
②胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの。
③両眼の視力が0.02以下になっているもの。
④両上肢を腕間接以上で失ったもの。
⑤両下肢を足関節以上で失ったもの。
⑥前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの。

第3級
①神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの。
②胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの。
③両眼の視力が0.02以下になっているもの。
④両上肢を腕間接以上で失ったもの。
⑤両下肢を足関節以上で失ったもの。
⑤前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの。」というように具体的に規定されています。

今回のBの問題文の内容の①②③は障害補償年金4級、④は5級の状態とされています。もし、「治癒(ちゆ)」したときに、今回のBの問題文の状態であれば、障害補償年金4級(給付基礎日額213日分)や障害補償年金5級(給付基礎日額184日分)の支給対象となります。よってBは×(誤答肢)となります。

Cの問題文は、「業務上の事由により負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6箇月を経過した日において労働者災害補償保険法第12条の8第3項各号の傷病補償年金の支給要件のいずれにも該当するとき、又は同日後同項各号のいずれにも該当することとなったときは、所轄労働基準監督署長は、当該労働者について傷病補償年金の支給の決定をしなければならない。・所轄労働基準監督署長は、療養開始後1年6箇月を経過した日において治っていない長期療養者から、その1年6箇月を経過した日以後1箇月以内に、傷病の状態等に関する届、を提出させ、傷病補償年金を支給するか、引き続き休業補償給付を支給するかを決定する。」という労働者災害補償保険法施行規則第18条の2について問いかけてきている問題です。また、労働者災害補償保険法施行規則第18条の13には、「労働者災害補償保険法施行規則第18条の2の傷病補償年金の支給の決定の規定は、傷病年金の支給の決定等について準用する。」とありますので、「業務災害」での傷病補償年金であろうが、「通勤災害」での傷病年金であろうが、所轄労働基準監督署長が1年6箇月以上治っていない長期療養者に「傷病の状態等に関する届」の提出を催促して、その結果、休業補償給付のままか、傷病補償年金を支給するのかを決定します。社会保険労務士試験対策としてのイメージは、「長期療養者」でも、傷病等級に該当するような「重い症状」の人は、「届を出さない・届を出せない・届が遅れる」という可能性がありますが、所轄労働基準監督署長が機械的に「届」を出させるようにすれば、「傷病補償年金」をもらいそこねることなく、支給できる、という配慮ですね。ちなみに、傷病補償年金は1級から3級までですが、障害補償年金の1級から3級までと支給内容は同じです。ですから、傷病補償年金をもらっている人が障害補償年金に切り替えるのが遅れても、「実害」はないわけですね。「請求しなくても支給される」というのは、労働者災害補償保険法が、それだけ労働者に対して手厚い法律だということになりますね。よってCは×(誤答肢)となります。

Dの問題文は、「その通り」ですね。ただし、障害補償給付としては、「4級~14級」も存在することは忘れないようにしてくださいね。よってDの問題文は○(今回の(問 5)の解答)となります。

Eの問題文は、「傷病補償年金」関係が「職権」ですので、休業補償給付は「原則通り請求」が必要ですね。よって×(誤答肢)となります。とにかく、傷病(補償)年金だけが「職権」という例外で、あとは全て「請求」というイメージで社会保険労務士試験はバッチリです。

結論として、今回の〔問 5〕の問題文は「D」が解答となります。

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