第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 6〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 6〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働者災害補償保険法

〔問 6〕
障害補償給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 障害補償給付を支給すべき障害は、厚生労働省令で定める障害等級表に掲げる障害等級第1級から第14級までの障害であるが、同表に掲げるもの以外の障害は、その障害の程度に応じ、同表に掲げる障害に準じて障害等級が認定される。

B 既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償年金を受ける者が新たな業務災害により障害の程度を加重された場合には、その加重された障害の該当する障害等級に応ずる新たな障害補償年金が支給され、その後は、既存の障害に係る従前の障害補償年金は支給されない。

C 障害等級表に該当する障害が2以上あって厚生労働省令の定める要件を満たす場合には、その障害等級は、厚生労働省令の定めるところに従い繰り上げた障害等級による。繰り上げた障害等級の具体例を挙げれば、次のとおりである。
①第8級、第11級及び第13級の3障害がある場合     第7級
②第4級、第5級、第9級及び第12級の4障害がある場合  第1級
③第6級及び第8級の2障害がある場合          第4級

D 既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償一時金を支給されていた者が新たな業務災害により同一の部位について障害の程度が加重され、それに応ずる障害補償年金を支給される場合には、その額は、原則として、既存の障害に係る障害補償一時金の額の25分の1を差し引いた額による。

E 障害補償年金を受ける者の障害の程度について自然的経過により変更があった場合には、新たに該当することとなった障害等級に応ずる障害補償給付が支給され、その後は、従前の障害補償年金は支給されない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

Aの問題文での「障害等級表」は、http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken03/index.html

のURLをご覧下さい。細かい内容まで覚える必要はありませんが、一度でも見たことがあるのとないのとでは、「障害等級表ってあれのことだな」と思うことができるかどうかで、これから「あなた」が社会保険労務士試験の過去問をやるときに「別表第1」や「障害等級表」という言葉をみたときの「理解度」に違いがあると思いますので、http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken03/index.html

のURLを一度ご覧下さい。

そして今回のAの問題文では、「障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級は、別表第1に定めるところによる。別表第1に掲げるもの以外の身体障害につては、その障害の程度に応じ、同表に掲げる身体障害に応じてその障害等級を定める。」という労働者災害補償保険法施行規則第14条について問いかけてきている問題です。このなかにある「別表第1」や「障害等級」というものがhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken03/index.html

のURLをご覧になると、よくお分かりだと思います。よってAは○(正答肢)となります。

Bの問題文は、「併合繰上なのか過重なのか」がごっちゃまぜになっている受験生には悩む問題かも知れませんね。「併合繰上」でも「過重」でも、二つ以上の障害をあわせてより上の等級での保険給付が支給されますね。二つ以上の障害のあわせかたとして、わかりやすいイメージとしては「時間軸」で考えてくださいね。「併合繰上」は、「同じ時の事故」により、二つ以上の障害が発生したときに使います。ある労災事故により「右腕がなくなった」「右目を失明した」というような場合は、「併合繰上」の対象となります。それに対して、「過重」はすでに障害があった同じ部分の障害等級が労災事故でさらに重くなったという場合に使います。すでにあった障害は、労災事故であるかどうかは一切問われません。ですから、生まれつき「右腕の機能障害」があった者が、労災事故により、「右腕の能力を完全に失った」とい場合は、「過重」になります。この場合の障害補償給付の考え方は、「今回の労災事故で重くなった障害分を支給します」という考え方です。わかりやすくお金り例でたとえると、「もともと100万円分の障害年金をもらう」障害がある部位に、今回の労災事故の後で、「150万円分の障害年金をもらう」障害状態になった場合は、「150万円-100万円=50万円」となり、50万円分の障害年金をもらうことになります。そして、以前からもらっていた100万円分の障害年金はそのままの状態です。つまり、全体では今の障害状態の150万円分の障害年金をもらうことになりますので、数字の上ではあっています。「あなた」は「同じ部位なのだから、併合繰上のように、ひとつにまちめないのだろう?」と思うかも知れませんね。理由は簡単です。「障害の発生原因が違うからです。障害の原因となる事故の時間軸にずれがあるからです。」この考え方は。社会保険での障害年金の旧法と新法での併給調整と似ていますね。良い機会ですから、

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 厚生年金保険法 〔問 7〕

の解説をご覧下さいね。

「過重」に話をもどすと、発生原因が違うので、「従前の補償」と「今回の補償」との差が「新たに支給される補償」とい考え方をするのですね。「従前の補償」の権利はそのまま残っていますね。よってBは×(誤答肢)となります。

Cの問題文は「併合繰上」の具体的な計算方法ですね。13級以上の障害等級が二つ以上であれば、重い方の等級を1等級繰り上げます。8級以上の障害等級が二つ以上であれば、重い方の等級を2等級繰り上げます。5級以上の障害等級が二つ以上であれば、重い方の等級を3等級繰り上げます。さきほどの解説にもあるように、「併合繰上」は同じ時間軸、つまり同一の労災事故で発生した障害が二つ以上という場合に適用されますね。また、3つ以上の障害の場合は、①5級以上が2つあるか②8級以上が2つあるか③13級以上が2つあるかの順に比べて判断します。以上のルールで問題文を見てみましょうね。

①第8級、第11級、第13級の3つでは5級以上や8級以上は2つありませんね。13級以上は2つありますね。「最も重いものを1等級繰上」というルールを適用して8級から1等級繰り上げて7級になります。

②第4級、第5級、第9級、第12級のなかで5級以上が2つありますね。「最も重いものを3等級繰上」というルールを適用して4級から3等級繰り上げて1級になります。

③第6級、第8級ですから、6と8では「最も重いものを2等級繰上」というルールを適用して6級から2等級繰り上げて4級になります。

よってCは○(正答肢)となります。

Dの問題文は、その通りですね。「25分の1」という数字は重要ですので、覚えておいてくださいね。よってDは○(正答肢)となります。

Eの問題文は「その通り」ですね。ただし、従前が「年金=7級以上」でないと、今回の内容は適用されませんね。法律では「障害補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の障害等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するものとし、その後は、従前の障害補償年金は、支給しない。」という労働者災害補償保険法第15条の2に規定されています。ここであらたな障害等級が年金であれば継続して支給されますが、「一時金」であれば、一度支給されてそれで終わりです。名前の通り「一時金」ですから。ですから、一時金の状態が今回の問題のように「自然的経過により変化したとしても」そのあとで何かもらえることはありません。よってEは○(正答肢)となります。

結論として今回の〔問 6〕の解答は「B」となります。

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