第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法 〔問 7〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法 〔問 7〕

第41回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

雇用保険法

〔問 7〕
雇用保険制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 一般被保険者の求職者給付は、基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当の4つである。

B 公共職業安定所長が行った失業等給付に関する処分に不服のある者は、当該処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、労働保険審査会に対して審査請求をすることができる。

C 労働者が雇用保険法第8条に基づき公共職業安定所長に被保険者となったことの確認の請求をした場合、事業主がそれを理由に労働者を解雇することは禁止されており、当該解雇は無効となるが、事業主に対する罰則はない。

D 雇用保険法における「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うものをいうが、通貨で支払われるものに限られる。

E 事業主が、雇用安定事業により支給される助成金について、偽りその他不正の行為により支給を受けた場合、政府は、支給した助成金の全部又は一部の返還を命ずるとともに、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた助成金の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

厚生労働省のhttp://www.mhlw.go.jp/toukei/dl/yougo.pdf

のURLをご覧頂くとよくわかると思うのですが、雇用保険法の目的をもう一度確認してみましょう。

「雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。」という雇用保険法第1条の文を分解してみましょう。

雇用保険は、雇用保険法第1条の前半の文章で雇用保険の目的を的確にあらわしています。前半の文章というのは、「雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、」という部分のことですね。では、きちんと分解してみましょう。

まずは、

「労働者が失業した場合
及び
労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合
に必要な給付を行うほか、」

までの文章は

A失業した場合に必要な給付→求職者給付

B雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付→雇用継続給付

となります。

このA求職者給付とB雇用継続給付の2つが雇用保険法の元々の大きな目的なのです。雇用保険は、もともと失業保険という名前で制定された法律です。最初から大きな柱として設定されていたのが、失業したときの生活費を補償する求職者給付と失業しそうなときに、失業しないようにお金を補助する雇用継続給付は雇用保険では本当に大切な保険給付なのです。

次に

「労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、
労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、
求職活動を容易にする等その就職を促進し、」

までの文章では、

C自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行う→教育訓練給付

D求職活動を容易にする等その就職を促進し→就職促進給付

となります。

結論として雇用保険では

A求職者給付

B雇用継続給付

C教育訓練給付

D就職促進給付

の4つの保険給付があります。この4つをまとめて雇用保険法では、

「失業等給付」と呼びます。

雇用保険法第3条では、「雇用保険は、第1条の目的を達成するため、失業等給付を行うほか、雇用安定事業及び能力開発事業を行うことができる。」と規定しています。

つまり、雇用保険では「失業等給付=A求職者給付B雇用継続給付C教育訓練給付D就職促進給付」は、必ず行います。そして、プラスアルファとして雇用安定事業と能力開発事業は「できる」と規定されています。失業等給付は必ず行うことが法律で規定されているのですが、雇用二事業と呼ばれる、雇用安定事業と能力開発事業は「できる」というニュアンスですね。このイメージを最初にしっかりと頭に入れておくと、失業等給付のもとになる保険料は、事業主と労働者が半分ずつ出すのに、雇用二事業は事業主だけが負担するということが覚えやすくなるはずです。「保険」という考え方は、将来予想される困ったこと(保険事故)に対して、普段から少しずつの掛金をかけていくという考え方のものですね。自動車を運転する人が「賠償保険」、家を所有している人が「火災保険」、生きている人が「傷害保険や生命保険」という保険をかけている人が多いのも、「万が一」のときのために「少ない掛金」を多くの人達で出し合って、本当に困ったことがおきた人が「保険金=保険給付」をもらうという考え方で運営されているのですね。雇用保険も同じ考え方ですね。失業した時の生活費(求職者給付)、失業しそうになった(雇用継続給付)、失業しないために教育訓練を受けた(教育訓練給付)、失業後仕事につきやすくする(就職促進給付)という保険事故が起こったときのために普段から安い保険料をみんなで出し合って運営しているのですね。だから失業等給付のための保険料は事業主と労働者が折半(半分ずつ負担)するのです。それにたいして、雇用二事業の「雇用安定事業と能力開発事業」は、絶対に給付されるものとは限りませんので、労働者は負担金無しとされています。もっとわかりやすく言えば、「第62条及び第63条の規定による雇用安定事業と能力開発事業又は当該事業に係る施設は、被保険者、被保険者であった者及び被保険者になろうとする者(以下「被保険者等」という。)の利用に支障がなく、かつ、その利益を害しない限り、被保険者等以外の者に利用させることができる。」と雇用保険法第65条に規定されています。つまり、何の関係もない人でも雇用二事業の恩恵を受ける可能性もあるのです。だからこそ、労働者の負担は0円となりますね。

ここまでの説明は、今回の問題を解く分には、直接関係のない内容もありますが、雇用保険法の大きな体系をイメージするためには大切なことです。「あなた」もあたまの中に以上の説明をイメージできるようにしてくださいね。

Aの問題文は、「その通り」ですね。よってAは○(今回の〔問 7〕の解答)となります。

Bの問題文は、審査請求は「労働者災害補償保険法」では「労働保険審査官」に、「雇用保険法」では「雇用保険審査官」に対して行うのでしたね。よってBは×(誤答肢)となります。

Cの問題文は、「罰則」についての問題ですね。事業主に関しては、
「事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。①雇用保険法第7条の被保険者に関する届出の規定に違反して届出をせず、又は偽りの届出をした場合。②雇用保険法第73条の確認の請求に対する不利益取扱いの禁止の規定に違反した場合。③雇用保険法第76条第1項の報告・提出・出頭の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出した場合。④雇用保険法第76条第3項又は第4項の証明書の交付の規定に違反して証明書の交付を拒んだ場合。⑤雇用保険法第79条第1項の立入検査の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合。」と規定されています。わかりやすいイメージでは、「労働者が雇用保険の保険給付を受ける邪魔をした」「行政に対して協力をしなかった」の2つのイメージで大丈夫です。

ちなみにCの問題文では「確認の請求をした場合・・不利益」に該当しますから6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金ですね。よってCは×(誤答肢)となります。

Dの問題文は、「ひっかけ問題」ですね。「通貨に限られる」と社会保険労務士試験に出題すれば×と即答してくださいね。必ず例外があります。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題文は厚生労働省のhttp://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000012yen.html

のURLをご覧頂くとお分かりだと思うのですが、労働者が保険料を支払う分だけ、つまり「失業等給付」だけが「三倍返し」の対象となりますね。よってEは×(誤答肢)となります。

結論として今回の〔問 7〕の解答は「A」となります。

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