第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 4〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 4〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働者災害補償保険法

〔問 4〕
労災保険法第4章の2は、中小事業主及び一人親方等労働者に当たらない者であっても一定の者については、申請に対し政府の承認があったときは、労災保険に特別に加入できるとしている。次の者のうち、特別加入を認められる者として正しいものはどれか。なお、以下において、「労働保険徴収法」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」のことである。

A 常時100人の労働者を使用する小売業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者

B 常時100人の労働者を使用するサービス業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者

C 常時100人の労働者を使用する不動産業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者

D 常時300人の労働者を使用する金融業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者

E 常時300人の労働者を使用する保険業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

今回は、特別加入についてわかっていますか?という問題です。特別加入について説明してください!とお願いされたらあなたはどうしますか?私は次のように説明します。

特別加入とはその名称の通り「特別に加入すること」です。労働者災害補償保険法での特別加入ですから、本来は労働者災害補償保険法の被保険者ではない人が特別に加入して被保険者となる制度のことを「特別加入」といいます。では、どのような人が特別加入の対象になるのでしょうか。労働者災害補償保険に特別加入できる人は、
①中小事業主等(第1種特別加入者)
②一人親方等(第2種特別加入者)
③海外派遣者(第3種特別加入者)
の3種類の人がよくあるパターンですね。

まず、基本的な考え方として、労働者災害補償保険法は労働基準法上での「労働者」であれば、労働者災害補償保険法での「被保険者」として、業務上や通勤中などでの怪我や疾病に関しては保険給付されましたね。労働基準法上、労働者ではない人は、例えば、個人事業主、法人の代表取締役はもちろん、同居の親族なども労働基準法上での労働者ではないので、労働者災害補償保険法の適用は受けませんね。

今回の問題は①中小事業主等について問いかけてきている問題です。
労働者災害補償保険法第33条1号、2号では「次の各号に掲げる者の業務災害及び通勤災害に関しては、この章(特別加入)に定めるところによる。①常時300人(金融業若しくは保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下の労働者を使用する事業(第7号海外は検車において「特定事業」という。)の事業主で労働保険徴収法第33条第3項の労働保険事務組合に同条第1項の労働保険事務の処理を委託するものである者(事業主が法人その他の団体であるときは、代表者)②前号(上記①)の事業主が行う事業に従事する者(労働者である者を除く。)」と規定されています。もう少しわかりやすくまとめてみましょう。
労働者災害補償保険法第33条1号、2号は

事業の種類常時使用労働者数
金融業、保険業、不動産業、小売業50人以下
卸売業、サービス業100人以下
上記以外の事業300人以下

とまとめることができます。
まず、労働法による中小事業主という定義は常時使用する労働者数が300人以下の事業の事業主のことです。ですから、ある会社で毎日働いている従業員が250人の場合は、その事業の事業主は中小事業主として労働者災害補償保険法への特別加入が認められます。事業主という限りは、「社長」であり、現場の労働者とは違う内容の仕事をしているはずです。しかし、人数が少ない事業所では、社長といえども、現場の労働者と同じ業務をすることが多くあります。だから、現場の労働者と同じような労災事故にあう可能性も高くなります。ですから、「社長=事業主」といえども、「労働者」としての部分は、労働者災害補償保険法で労災事故の面倒を見てあげましょう、というのが「中小事業主等の特別加入」の趣旨です。たとえば、町の電気店さんの社長が若い従業員とお客さんの家で屋根の上でのアンテナ工事をしている途中で落ちて骨折したとしても、この社長が「特別加入」していれば、アンテナ工事という現場作業は労働者の仕事内容ですので、労災事故として「療養補償給付や休業補償給付をはじめとする保険給付」をもらうことができます。このように、労働者と同じような業務をして、同じような労災事故にあう可能性がある中小事業主を救済してあげましょう、というのが「中小事業主の特別加入」の制度なのです。ですから、大企業の社長は現場の労働者と同じような作業をして、労災事故にあう可能性は低いと見なして、「特別加入」の制度はありません。
そして、「金融業、保険業、不動産業、小売業」の4事業に関しては、常時50人以下の労働者を使用する事業の事業主が中小事業主という分類にされています。具体例として、「」三越」「高島屋」などの百貨店は小売業です。銀行は金融業です。こういう業種で常時50人以上の労働者をしようする事業所は「中小」とはいわない、とされています。もっと、身近な町のお店などをイメージしてくださいね。そして「卸売業、サービス業」は常時100人以下となっています。以上の区分は「日本標準産業分類」による区分となります。うまい覚え方は私には、できません。ただ、私自身は、「お金をおろしてパンを買う。家を買って火災保険に入る」というように、住宅地の近くにある業種が「金融業、保険業、不動産業、小売業」で常時50人以下という数字と、「卸売業、サービス業」で常時100人以下という数字の基準とされています。ちなみにサービス業の分類は難しいのですが、「日本標準産業分類」などを参考にすると

下記に順不同で列挙するが、まさに多様といえる。

宿泊サービス
レジャーサービス
金融サービス
教育サービス
情報サービス
医療サービス
レンタルサービス
専門技術サービス
アウトソーシングサービス
郵便
運輸(物流)
交通
通信
外食
エネルギー
エンターテイメント
コンサルティング

となっています。

では、今回の問題文を見ていきましょう。

Aの問題文は「常時100人・・・小売業・・・」とあるので50人の間違いです。

Bの問題文は「常時100人・・・サービス業・・・」とあるのでOKです。

Cの問題文は「常時100人・・・不動産業・・・」とあるので50人の間違いです。

Dの問題文は「常時300人・・・金融業・・・」とあるので50人の間違いです。

Eの問題文は「常時300人・・・保険業・・・」とあるので50人の間違いです。

というように機械的に判断できるので、本試験でも短時間で処理できる問題ですね。それだけに、さきほどの「金融保険不動産小売」の50人、「卸サービス」の100人という数字は覚えておいてください。300人という数字は中小事業の定義としてあちこちで手出来ますので、過去問をくり返し解いていけば、自然に頭に入ってくる数字です。

結論として今回の〔問 4〕の解答は「B」となります。

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