第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 6〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働者災害補償保険法 〔問 6〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)

〔問 6〕
「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(平成13年12月12日付け基発第1063号)は、脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。以下「脳・心臓疾患」という。)について、その発症の基礎となる動脈硬化等による血管病変又は動脈瘤、心筋変性等の基礎的病態(以下「血管病変等」という。)が長い年月の生活の営みの中で形成され、それが徐々に進行し、増悪するといった自然経過をたどり発症に至るものであるが、業務による明らかな過重負荷が加わることによって、血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪し、脳・心臓疾患が発症する場合があり、そのような経過をたどり発症した脳・心臓疾患は、その発症に当たって、業務が相対的に有力な原因であると判断し、業務に起因することの明らかな疾病として取り扱うとしている。同認定基準は、業務による明らかな過重負荷を「異常な出来事」、「短期間の過重業務」及び「長期間の過重業務」に区分し、認定要件としているが、これらの三種類の過重負荷の評価期間についての次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 「異常な出来事」については発症直前から前日までの間を、「短期間の過重業務」については発症前おおむね1週間を、「長期間の過重業務」については発症前おおむね6か月間を評価期間とする。

B 「異常な出来事」については発症直前から前日までの間を、「短期間の過重業務」については発症前おおむね1か月間を、「長期間の過重業務」については発症前おおむね3か月間を評価期間とする。

C 「異常な出来事」については発症直前から1週間を、「短期間の過重業務」については発症前おおむね1か月間を、「長期間の過重業務」については発症前おおむね6か月間を評価期間とする。

D 「異常な出来事」については発症直前から1週間を、「短期間の過重業務」については発症前おおむね1か月間を、「長期間の過重業務」については発症前おおむね1年間を評価期間とする。

E 「異常な出来事」については発症直前から1週間を、「短期間の過重業務」については発症前おおむね3か月間を、「長期間の過重業務」については発症前おおむね1年間を評価期間とする。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

今回の問題は「過労死」の認定基準について知っていますか?という問題です。知っていますか、というくらいですから、一度は目を通しているか否かで、社会保険労務士試験当日の解答力に大きな違いが出てきます。今後も出題が予想されますので、以下の文章をじっくりとご覧下さい。

平成13年12月12日の厚生労働省労働基準局長名通達第1063号の「脳・心臓疾患の認定基準」として
「脳・心臓疾患の業務上外の判断は、次の3つの認定要件を基準として行われる。
①異常な出来事・・・発症直前から前日までの間に、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したかどうか。
②短期間の過重業務・・・発症に近接した時期(発症前おおむね1週間)において、特に過重な業務に就労したかどうか。
③長期間の過重業務・・・発症前の長期間(発症前おおむね6箇月間)にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したかどうか。」とされています。

この通達を表にまとめると、

過重負荷の評価期間

    区分     評価期間
異常な出来事発症直前から前日までの間
短期間の過重業務発症前おおむね1週間
長期間の過重業務発症前おおむね6か月間

という上にご紹介した表となります。これだけでも、今回の問題は確実に解けるのですが、以上の通達の内容についてもう少しくわしくご紹介します。

解説↓

まず、「脳・心臓疾患」とは、脳血管疾患(脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症)及び虚血性心疾患等(心筋梗塞、虚心症、心停止。解離性大動脈瘤)をいいます。

①異常な出来事とは、極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす突発的又は予測困難な異常な事態、緊急に強度の身体的負荷を強いられる突発的又は予測困難な異常な事態、急激で著しい作業環境の変化をいいます。

②短期間の過重業務の判断は、次の労働時間に係る負荷要因とそれ以外の負荷要因(不規則な勤務、拘束時間の長い勤務、出張の多い業務、交替制勤務、深夜勤務、作業環境、精神的緊張を伴う業務)を検討して行われる。
(1)発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められるか。
(2)発症前おおむね1週間以内に継続した長時間労働が認められるか。
(3)休日が確保されていたか等。

③長期間の過重業務の判断は、次の労働時間に係る負荷要因と、上の③の解説に掲げたそれ以外の負荷要因を検討して行われる。
(1)発症前1箇月間ないし6箇月間にわたって、1箇月当たりおおむね45時間を超える時間外労働(週40時間を超える労働)が認められない場合は、業務と発症との関連性が低いが、おおむね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できる。
(2)発症前1箇月間におおむね100時間又は発症前2箇月間ないし6箇月間にわたって、1箇月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる。

以上の解説の部分は、覚えておかなければいけないのではありませんが、しっかり何回か読んでおくと、いざ社会保険労務士試験の本試験でここの内容が出てきたときにも、他の受験生よりも対応がしやすいのではないかと思います。

では、今回の問題文を見てみましょう。

Aの問題文は「その通り」でOKですね。

Bの問題文は「短期間・・1箇月」「長期間・・3か月」が「1週間」「6箇月」の間違いですね。

Cの問題文は「異常・・1週間」「短期間・・1箇月」が「前日まで」「1週間」の間違いですね。

Dの問題文は「異常・・1週間」「短期間・・1箇月」「長期間・・1年間」が「前日まで」「1週間」「6箇月」の間違いですね。

Eの問題文は「異常・・1週間」「短期間・・3か月」「長期間・・1年間」が「前日まで」「1週間」「6箇月」の間違いですね。

今回も「前日まで」「1週間」「6箇月」がわかっていれば機械的に解くことができる問題でしたね。

結論として今回の〔問 6〕の解答は「A」となります。

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