第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労災法関連での労働保険の保険料の徴収等に関する法律〔問 8〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働保険の保険料の徴収等に関する法律〔問 8〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)

〔問 8〕
概算保険料の延納に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下において、保険料の納付等に関する期限は、日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日又は土曜日に当たらないものとし、また、本問において、「認定決定」とは労働保険徴収法第15条第3項又は同法第19条第4項の規定に基づき所轄都道府県労働局歳入徴収官が労働保険料額を決定し、これを事業主に通知することをいう。

A 納付すべき概算保険料の額が40万円以上であり、当該保険年度の9月30日までに保険関係が成立している継続事業の事業主は、認定決定を受けたときは、認定決定された当該概算保険料の額について、延納の申請をすることができない。

B 保険関係が7月1日に成立し、当該保険年度の納付すべき概算保険料の額が40万円以上である継続事業の事業主が、概算保険料の延納の申請をした場合は、当該保険関係成立の日から11月30日までの期間を最初の期とし、保険関係成立の日の翌日から起算して20日以内に最初の期分の概算保険料を納付しなければならない。

C 保険関係が7月1日に成立し、事業の全期間が6か月を超え、また当該保険年度の納付すべき概算保険料の額が75万円以上である有期事業の事業主が、概算保険料の延納の申請をした場合は、当該保険関係成立の日から11月30日までの期間が最初の期となり、当該最初の期分の概算保険料については、7月21日が納期限となる。

D 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している継続事業の事業主が、概算保険料の延納の申請をし、当該概算保険料を3期に分けて納付する場合には、各期分の概算保険料の納期限は、最初の期分は7月14日、第2の期分は11月14日、第3の期分は翌年2月14日となる。

E 継続事業の事業主は、増加概算保険料について延納を申請した場合には、増加前の概算保険料の延納をしていないときであっても、増加後の概算保険料の額が40万円を超えるときは、当該増加概算保険料を延納することができる。

皆様、こんにちは。本日の解説をはじめさせていただきます。

今回の問題は皆さんが社会保険労務士になったときに労働基準監督署に今現在の制度では締め切りとなる7月10日前後に「行政協力」として出向いたときには、実際に各事業主様の労働保険料納付につきまして、受付をさせていただく立場で「なるほど」と実感する部分があると思います。

ただ、今回の解説では社会保険労務士試験受験生の立場で、どのような考え方をすると問題が解きやすくなるかを考えていきたいと思います。

徴収法での保険料は、1年の最初に、ある程度の見込額を払う「概算保険料」と、年度の途中で大きく保険料が増加した場合だけ払う「増加概算保険料」と、1年が終わった後で、すべての保険料額が確定した後で、すでに払った概算保険料の過不足を補う意味での「確定保険料」の3種類がありましたね。

確定保険料は、1年が終わって額が確定しているから、はっきりとした額を納めることが出来ますし、はっきりと確定した保険料額をおさめなければいけません。ですから、確定保険料には「延納」はありえませんね。しかし、年度当初の「概算保険料」や年度途中の「増加概算保険料」は、まだ保険料が確定していないこともあり、「見込額」で払うので、中小事業主など規模が小さいところでは、一度にお金をはらうのが大変でしょうから、「分割して保険料を払う=延納」を認めましょう、という趣旨ですね。たとえば、一年間の概算保険料が100万円であれば、3回に分割して第1期は333,334円、第2期は333,333円、第3期は333,333円での合計100万円の支払い方法でもかまいませんよ。分割で払っても、あとで払う分に利子などを請求しませんよ、というものですね。

そして、延納=分割支払いが出来る条件は、
継続事業(一括有期事業を含む)の場合は、
①次のいずれかに該当していること。
(1)納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険に係る保険関係又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、20万円)以上の事業であること。
(2)事業に係る労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている事業であること。
②当該保険年度において10月1日以降に保険関係が成立した事業ではないこと。
という場合には、次のように覚えてください。

ノートに4567と書いて2列目に891011と
書いて3列目に12123と書いて真ん中に
縦の線をまっすぐ引いてください。
つまり左に4、5と8、9と12と1月が来て
右側に6、7と10、11と2、3月がくるようにしてください。
具体的には下の表をすぐに社会保険労務士試験問題用紙にどこかのスペースに書く癖をつけてください。

延納早見表

4、56、7左の早見表の使い方として
8、910、11各列の真ん中を越えて
12、12、3いるかどうかで判断します。

上の延納早見表の意味としては、右側に2月以上残っていれば、その列として延納できますが、残っていなければ、次の列とあわせます。真ん中よりも左側の時期での納付でしたら、その列の延納はできますが、真ん中よりも右ならば、その列の延納は出来ません。そして、払うお金は等分してください。端数は第1期に回してください。

これだけでは「なんのこっちゃ?」となるかもしれませんので、具体例をご紹介します。
継続事業で2013年の4月8日に100万円の概算保険料となる保険関係が成立した場合は、上の表では、「5|67」が右側に残っていますね。よって、一列目=第1期、2列目=第2期、3列目=第3期というように3回に分けての分割払い、つまり延納ができます。7月10日までに333,334円、10月31日までに333,333円、1月31日までに333,333円を払うという延納(分割払い)ができますね。延納の納期限については7月10日、10月31日、1月31日となります。覚え方は上の表で、7、10、1のラインにまっすぐの線をあとから書き足してください。そして、7月10日だけ、本来の概算保険料の納期限(保険年度の6月1日から40日以内=7月10日)で、あとの月は、月末だと覚えておいてください。
 ですから、4月8日に概算保険料を計算すると100万円となる労働者災害補償保険法による保険関係が成立した場合は、7月10日まで一括して100万円の概算保険料をおさめても良いですし、一度に100万円をおさめるのが「きついな」と思う場合は、10日まで333,334円、10月31日までに333,333円、1月31日までに333,333円の3回に分割納付=延納でも良いわけです。

次の例として6月15日に概算保険料が50万円となる労災保険での継続事業の保険関係が成立した場合は、延納しようと思えば、

延納早見表

4、56、7左の早見表の使い方として
8、910、11各列の真ん中を越えて
12、12、3いるかどうかで判断します。

の表で6の右には7のひとつしかありませんので、その期に二月以上の残すという条件がみたされていません。あるいは、真ん中よりも右なので、その期(第1期)の延納は無理です。つまり、「6月7月8月9月10月11月」の期間と「12月1月2月3月」の期間での二回払いになります。ただし、金額は二等分しますので、50万円の二等分で25万円ずつになります。最初の期の分の納付期限は6月15日から50日以内ですので、15+50=65になりますので、6月65日以内ということは、6月は30日までなので、65-30=35日となり、7月35日までで、7月は31日までしかないので、35-31=4となり、結局最初の期の分は8月4日までに25万円を修めればよいことになります。次の期の分は、「12月1月2月3月」の分は1月31日が納期限でしたので、1月31日までに25万円を払えばよいことになります。
6月15日に概算保険料50万円の保険関係が成立すれば、一括して50万円を8月4日におさめても良いですし、延納として8月4日に25万円1月31日までに残りの25万円をおさめるという方法も可能です。

次に9月10日に概算保険料が70万円の概算保険料となる保険関係が成立した場合は

延納早見表

4、56、7左の早見表の使い方として
8、910、11各列の真ん中を越えて
12、12、3いるかどうかで判断します。

の表によれば、第2列目の真ん中よりも左ですから、延納はできます。
「9月10月11月」の分と「12月1月2月3月」の分の2回にわけて延納できます。
納期限は9月10日の50日以内ですので、10日+50日=60日となり、9月60日までに半額の35万円を修めればよいわけです。しかし、9月は30日までしかありませんので、60日-30日=30日となり、翌月の10月30日までに35万円を納めて、最後の「12月1月2月3月」の分は31日までに35万円を納めるとよいことになります。
9月10日に概算保険料が70万円の保険関係が成立した場合は、10月30日まで七十万円を一括納付するか、延納として10月30日までに半額の35万円、残りの35万円を1月31日までに納付するという方法も可能です。

最後に10月5日に概算保険料が200万円の保険関係が継続事業として成立した場合は、

延納早見表

4、56、7左の早見表の使い方として
8、910、11各列の真ん中を越えて
12、12、3いるかどうかで判断します。

の表をみると、「10」は第2列目の真ん中の縦線よりも右のところですので、3列目とあわせます。つまり「10月11月12月1月2月3月」とあわせて、延納できます、というよりもこれは延納になりません。結論として延納できません。法律上は10月1日以降に保険関係が成立した場合は「延納できない」とされていますが、上の表で考えると一発でわかります。残りの保険期間が6箇月(半年)もないようならば、どうせすぐに年度末がきておさめなければならないので、延納の意味がない、として延納ができない、という考え方や、延納の最後の1月31日以降の納期限をつくったとしても、3月31日はすぐに来るから、延納の意味がない、でも、有期事業の延納は6箇月以上保険関係機関がないとできない、と統一している、でも、いずれの考え方も正しいし、いずれの考え方の、あなたにとって納得がいく方法でイメージしてもらってもかまいません。
私自身は、

延納早見表

4、56、7左の早見表の使い方として
8、910、11各列の真ん中を越えて
12、12、3いるかどうかで判断します。

の表を使って4月と5月の保険関係成立は一列目の真ん中よりも左だから、3期にわけた延納可能、6月7月は一列目の真ん中よりも右だから、「6月7月8月9月10月11月」と「12月1月2月3月」の二回の延納可能、8月9月は2列目の左側だから、2回の延納可能、10月11月は2列目の右側だから、「10月11月12月1月2月3月」で、結局1回払いで延納は無理、と機械的に覚えています。私が社会保険労務士試験で「延納の問題だな」と思ったときは、問題用紙の余白に

4567(よん、ご、ろく、なな)の数字を一列目に書き
891011(はち、きゅう、じゅう、じゅういち)の数字を2列目に書き
12123(じゅうに、いち、に、さん)の数字を3列目に書き
真ん中に縦線をさっとひきます。ここまで1分もかかりませんが、これだけで「延納」の問題はかなり簡単に機械的に解くことが、私にはできる表となります。

具体的な問題文を見てみましょう。

Aの問題文は「概算保険料40万円以上・・・9月30日まで・・・継続事業」というキーワード「延納できます」と私は機械的に判断します。よってAは×(誤答肢)となります。ただ、「認定決定」という単語に「ひびってしまう」受験生がおられるかもしれませんが、「認定決定」とは、「保険料の届出をしない、あるいは届けが大きく間違っている時に、まちがっているよ、とお役所から通知がくることです。」ひびることはありません。概算保険料の場合は、極端な話、認定決定の通知が来ても「シランプリ(知らんぷりぷりぃ~)」と無視を決め込んでいても、何もおとがめはありません。年度末の確定申告の時に「一円の間違いもおかさずに保険料をきちんとはらえばすむことです。」概算保険料の認定決定の趣旨は、「今払っておかないと、年度末に一度にはらうのは大変でしょうから、少しずつコツコツとはらっておいた方が、あなたの会社のためになると思って通知しているのですよ」という趣旨です。どうしても、早めに起きなければいけないときに、目覚まし時計をかけるのと似たような感覚でとらえておいて下さい。ただ、現実社会では、継続事業の場合は、確定保険料と概算保険料は両方同時に7月10日が納期限でおさめるので、前年の概算保険料の積み残しがあれば翌年の7月10日には「積み残し+次の1年分」という大きな金額の支払いが求められるので、普通はその年度の保険料はその年度内で払うようにしたほうが良いということですね。

Bの問題文は「保険関係が7月1日に成立・・・概算保険料が40万円以上」というキーワードにより

延納早見表

4、56、7左の早見表の使い方として
8、910、11各列の真ん中を越えて
12、12、3いるかどうかで判断します。

の表から「7」は一列目の真ん中より右だから「7月8月9月10月11月」が7月1日から50日以内で、「12月1月2月3月」が1月31日までの2回の延納が可能だと判断します。次に具体的な日付と金額を考えます。まず簡単な方として金額は2回で半額ずつになります。次に納期限は7月1日から50日以内は1日+50日=51日なので、7月51日までが最初の納期限となります。しかし、7月は31日までしかないので、51日-31日=20日となり、翌月の8月20日までが最初の納期限となります。しかし、Bの問題文は「20日以内」とありますので、×(誤答肢)となります。「20日以内」は「有期事業」の延納ですね。

Cの問題文は有期事業の延納ですね。有期事業の延納も基本的には継続事業の延納と同じ考え方です。違うところは、「概算保険料の額が75万円以上、期間が6箇月以上」が大きく違います。そして

延納早見表

4、56、7左の早見表の使い方として
8、910、11各列の真ん中を越えて
12、12、3いるかどうかで判断します。

の表では、継続事業では7月10日にあたる納期限は3月31日になっています。また、継続事業では「50日以内」の部分が「20日以内」になっています。
具体的な問題例をご紹介すると、ある有期事業が平成23年5月2日に事業を開始(保険関係が成立)し、平成24年の4月20日に事業を終了(保険関係が消滅)したとします。概算保険料としては100万円で、労働保険事務組合に労働保険事務を委託していたとします。この場合は、①事業の期間が6箇月以上②概算保険料75万円以上③労働保険事務組合に委託、というすべての要件(条件)がそろっていますので、「有期事業」の延納ができます。さっそく

延納早見表

4、56、7左の早見表の使い方として
8、910、11各列の真ん中を越えて
12、12、3いるかどうかで判断します。

の表で事業の期間を見てみると、5月2日に保険関係が成立したと言うことは、一列目の左側ですので、「5月6月7月」は5月2日から20日以内の納期限となります。「8月9月10月11月」の分の概算保険料は10月31日が納期限となります。「12月1月2月3月」の分の概算保険料は1月31日が納期限となります。そして平成24年の4月の分は「4月」の1月だけですが、独立した保険期間として平成24年の3月31日が納期限となります。全体で4回にわけての「延納=分割払い」ですので、1回につき、25万円ずつの支払いとなります。きちんとした日付は最初は5月2日から20日ですので、2日+20日=22日となり、5月22日はありえますね。
ですから、5月2日に有期事業で概算保険料が100万円の場合は、5月20日に一括して100万円を納付するか、延納として5月20日までに25万円、10月31日までに25万円、平成24年の1月31日までに、25万円、平成24年の3月31日までに25万円という「延納=分割払い」も可能です。

では、Cの問題文を見てみましょう。「保険関係が7月1日に成立・・・6か月を超え、75万円以上・・」というキーワードで延納可能です。さっそく

延納早見表

4、56、7左の早見表の使い方として
8、910、11各列の真ん中を越えて
12、12、3いるかどうかで判断します。

の表で考えると「7」は1列目の右側ですから、最初の期は「7月8月9月10月11月」がまとめて、7月1日から20日以内つまり7月21日までの納期限となります。そういう考えで、問題文の末尾を見ると、「11月30日までの期間が最初の期となり、当該最初の期分の概算保険料については、7月21日が納期限となる。」とありますね。「ばっちぐ~」「その通り」これでいいですね。よってCは○(今回の〔問 8〕の解答)となります。

Dの問題文は「継続事業で労働保険事務組合に委託している場合は2週間(14日遅れ)」を知っていますか?という問題です。これはお役所側の心理として「いかに手続きを簡素化するか?」ということを考えます。毎年同じ時期「7月10日、10月31日、1月31日」に「ほぼ同じような額」の保険料をおさめてくれる「継続事業」は、いつ始まっていつ終わるか、また保険料もいくらになるかが、読めない有期事業よりも、お役所側としてはありがたいわけです。また、「労働保険事務組合」に委託するということは、「認定決定」の確率も「ぐ~ん」と低くなって、ますますお役所側は「ありがとう」という気持ちです。だから、納付期限を2週間おくらせてあげましょう、というイメージで覚えると良いでしょう(実際には、14日遅れは労働保険事務組合の納付期限が14日遅れだから、という説明が法律ではなされていますが、今の「ありがとう」の方が試験対策としては覚えやすいのではないかと思います。)。そして、14日遅れは、第2期の11月14日と第3期の2月14日というように、「14日」のみとなっています。有期事業にはこのような特別措置はありません。ですから、継続事業で労働保険事務組合に委託している事業の納期限は「7月10日、11月14日、2月14日」となります。

Dの問題文をもう一度見てみると、「7月14日、11月14日、2月14日」となっています。7月の分が違いますね(残念!)。よってDは×(誤答肢)となります。

Eの問題文は、増加概算保険料についての問題です。増加概算保険料も概算保険料に付随するものとして概算保険料と同じ考え方をします。だから、概算保険料の延納をしている場合は、増加概算保険料の延納もできますし、概算保険料を延納していない場合は、増加概算保険料の延納もできません。Eの問題文をもう一度見てみると、「増加前の概算保険料の延納をしていないときであっても・・・当該概算保険料を延納することができる。」とありますね。本体がないので、付録だけはいけません。よってEは×(誤答肢)となります。

結論として今回の〔問 8〕の解答は「C」となります。

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