第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労災法関連での労働保険の保険料の徴収等に関する法律〔問 9〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 労働保険の保険料の徴収等に関する法律〔問 9〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)

〔問 9〕
労災保険の特別加入に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問において、「特別加入者の給付基礎日額」とは労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則別表第4の特別加入保険料算定基礎額表の左欄に掲げる給付基礎日額のこと、「特別加入に係る保険料算定基礎額」とは同表の右欄に掲げる保険料算定基礎額のことをいう。

A 継続事業の場合で、保険年度の中途に中小事業主等の特別加入の承認があった場合の第1種特別加入保険料の額は、当該特別加入者の給付基礎日額に当該特別加入者が当該保険年度中に特別加入者とされた期間の日数を乗じて得た額の総額に、第1種特別加入保険料率を乗じて得た額とされている。

B 政府が、保険年度の中途に、第1種特別加入保険料率、第2種特別加入保険料率又は第3種特別加入保険料率の引上げを行った場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、事業主に対して、保険料率の引上げによる労働保険料の増加額等を通知して、追加徴収を行うこととなるが、当該事業主は当該通知を発せられた日から起算して50日以内に増加額を納付しなければならない。

C 中小事業主等の特別加入の承認を受けた事業主は、その使用するすべての労働者に係る賃金総額及び労働者を除く当該事業主の事業に従事する者に係る報酬額の見込額に一般保険料率を乗じて算定した一般保険料を納付したときは、当該特別加入に係る第1種特別加入保険料を納付する必要はない。

D 第1種特別加入保険料率は、特別加入の承認を受けた中小事業主が行う事業についての労災保険率から、社会復帰促進等事業の種類及び内容等を考慮して厚生労働大臣の定める率を減じたものとされている。

E 海外派遣者の特別加入の承認により、保険給付を受けることができる海外派遣者が複数いる場合(年度途中で承認内容に変更がある場合を除く。)の第3種特別加入保険料の額は、当該特別加入者各人の特別加入に係る保険料算定基礎額の合計額に、第3種特別加入保険料率を乗じて得た額とされている。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

今回は「特別加入保険料」についてわかっていますか?という問題です。「特別加入保険料」とは何のことでしょう。特別加入保険料とは「特別加入者がおさめる保険料」の省略語です。もう少し具体的にいえば、3種類あります。

第1種特別加入保険料=「中小事業主等の特別加入」者の保険料
第2種特別加入保険料=「1人親方等の特別加入」者の保険料
第3種特別加入保険料=「海外派遣者の特別加入」者の保険料

の3種類があります。保険料の計算式は

第1種特別加入保険料の額=特別加入保険料算定基礎額の総額×第1種特別加入保険料率
第2種特別加入保険料の額=特別加入保険料算定基礎額の総額×第2種特別加入保険料率
第3種特別加入保険料の額=特別加入保険料算定基礎額の総額×第3種特別加入保険料率

となってます。こうして並べてみると機械的に処理できそうですね。それでは、それぞれの言葉の意味をイメージしてみましょう。

「特別加入保険料算定基礎額」とは、その特別加入者の給付基礎日額を365倍した額となります。もと、給付基礎日額が1万円の人ならば、「特別加入保険料算定基礎額の総額は365万円となります。

次に「第1種特別加入保険料率」は、第1種、つまり「中小事業主等」が行う労災保険率と同一の額です。

「第2種特別加入保険料率は、次のとおりとする(則23条、則別表第5)。

第2種特別加入保険料率

事業又は作業の種類第2種保険料率
自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業1,000分の14
建設業の一人親方1,000分の19
漁船による水産動植物の採捕の事業1,000分の46
林業の一人親方1,000分の52
医薬品の配置販売業者1,000分の 7
再生資源取扱業者1,000分の13
指定農業機械従事者 1,000分の 5
職場適応訓練受講者 1,000分の 5
金属等の加工・洋食器加工作業1,000分の16
履物等の加工の作業1,000分の 7
陶磁器製造の作業 1,000分の17
動力機械による作業1,000分の 4
仏壇・食器の加工の作業1,000分の18
事業主団体等委託訓練従事者1,000分の 5
特定農作業従事者1,000分の 9
労働組合等常勤役員1,000分の 4
介護作業従事者1,000分の 6

とありますが、正直なところ、社会保険労務士試験対策で言えば、第2種特別加入保険料率をあえて覚える必要はありません。現に私自身、受験生の時にも覚えていませんでしたし、今現在時陸奥についていても覚えていません。ですから、第2種特別加入保険料率の個別の数字を覚えていなければ解けない問題が出た場合は「補正(救済)」措置になる可能性が高いというイメージで結構かと思います。「私は覚えておきたいんだ。」という方をとめるつもりはありませんので、念のため・・・。

「第3種特別加入保険料率」とは、海外派遣者が従事している事業と同種又は類似のこの法律の施行地内で行われている事業についての業務災害及び通勤災害に係る災害率、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣の定める率であり、「1,000分の4」とする(則23条の3)

繰り返します。第2種特別加入保険料率は覚える必要はありません。ただ、今回は「なるほど、実際にこうやってあらかじめ業種によって決められているのだな。保険料率が高いものほど労災事故の可能性が高いと厚生労働省が考えているのだな」というくらいで読んでみるだけでよいです。それだけでも、全くこの表をみたことがない人よりも社会保険労務士試験での「対応力」「国語力」が大きく違ってくると思います。

ただ、「第3種特別加入保険料率」の「1000分の4」は必ず覚えておいてください。たった1つだけですから、社会保険労務士試験の本試験でも過去に出題されていますし、今後の出題される可能性が高いと私は思っています。

そういうイメージで今回の問題文を見てみましょう。

Aの問題文は「年度途中」に関する問題です。年度途中に関しては「月割り」だと覚えておいてください。「日割り」というお役所側にとって「繁雑(はんざつ)なことはやりません」。わかりやすい例として科目は違うのですが、「老齢年金」については、たとえば、「8月1日に権利が発生」しようが、「8月25日に権利が発生」しようが、「8月は受給権があった」として、1箇月分の「老齢年金」をもらうことができます。8月25日に権利が発生した方が「日割り」で少なくなるというようなお役所側にとって「繁雑」なことはやりません。よってAは×(誤答肢)となります。

Bの問題文は「追加徴収」の納期限についての問題です。イメージとして「認定決定」は申告漏れまたは額の間違いなので、15日以内が納期限で、「追加徴収」は政府の勝手な都合でお金を追加で国民からもらうので「ごめんなさい」の意味で認定決定の2倍の猶予の30日以内」という覚え方をしてください。よってBは×(誤答肢)となります。

Cの問題文は「?なんのこっちゃ」と私は思いました。問題文をよく読んでわかりやすく言い直すと「特別加入を認めてもらった社長は、自分が雇ってる労働者の保険料をきちんと納めたら、社長自身の保険料は払わなくても良い」となります。落ち着いて問題文を読めば、「無茶苦茶ですがナ」となりますね。よってCは×(誤答肢)となります。

Dの問題文は「第1種特別加入保険料の額は、労災保険法第34条第1項(中小事業主等の特別加入)の規定により保険給付を受けることができることとされた者(「第1種特別加入者」という。)について同項第3項の給付基礎日額その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める額(「特別加入保険料算定基礎額」という。)の総額にこれらの者に係る事業についての第12条第2項の規定による労災保険率と同一の率から労災保険法の適用を受けるすべての事業の過去3年間の二時健康診断等給付に要した費用の額を考慮して厚生労働大臣の定める率(零)を減じた率(「第1種特別加入保険料率」という。)を乗じて得た額とする。」という労働者災害補償保険法第13条について問いかけてきている問題です。この法律(条文)をきちんと覚えていれば解ける問題ですね。しかし、私自身は、この条文をきちんとは覚えていません。
ただ、「社会復帰促進等事業」とは、
①社会復帰促進事業=労災病院や労災リハビリテーション作業所などの箱物を作ること。
②被災労働者等援護事業=特別支給金や労災就学援護費などのお金を出してあげること。③安全衛生確保等事業=講習会やパンフレット配布、事業主に対する補助金支給。
とイメージしています。そして、これらの社会復帰促進等事業は「保険給付」ではありません。

保険給付は「業務災害に関する保険給付」「通勤災害に関する保険給付」「二次健康診断等給付」の3種類でした。二次健康診断等給付は「過労死」を防ぐために「脳血管と心臓疾患」の2点について重点的に再検査をするものでしたね。

そして、もう一度労働者災害補償保険法第1条(労災保険の目的)を確認しましょう。「①労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするてめ、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びそま遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。②労働者災害補償保険は、上記①の目的を達成するため、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。」となっています。

わかりやすく言い換えると、労働者災害補償保険法として、①「労働者の保護」「労働者の福祉の増進」「遺族の援護」のために②「保険給付」と「社会復帰促進等事業」を行う、という趣旨が書かれています。労働者災害補償保険法で「保険給付」と「社会復帰促進等事業」は別物である。もっとわかりやすく言えば、「保険給付」では、カバーしきれない部分を労災保険独自で「社会復帰促進等事業」という形で実行しましょう、と言っているのです。〔問 2〕でくわしく解説した「特別支給金」などは、保険給付とは別に「上乗せ給付」としての社会復帰促進等事業の「典型例」の1つです。ですから、今回のDの問題文では、第1種特別加入保険料率は中小事業主等でも、中小事業であるからこそ、現場の労働者と同じ内容の仕事をするから、町の社長さんでも、「労災事故」にあう可能性は高いという事情を考慮して「特別に労災の被保険者としての保険給付をしてあげましょう」という趣旨での「特別加入」のはずです。特別加入をする目的は「保険給付」をしてもらうことにあります。「保険給付」と「社会復帰促進等事業」は別物です。そういう判断で私はDは×(誤答肢)と考えます。もちろん、最初にご紹介した労働者災害補償保険法第13条をきちんと覚えていればすぐに解けます。しかし、今回の私の解説は社会保険労務士試験の本番で「困ったぞぉ」となったときの「国語力」に結びつく考え方の1つであるとご理解下さい。

Eの問題文は「その通り」ですね。明日以降に、ここで「1000分の4」という数字が出されても、さきほどまでの解説を読んでいる「あなた」は対応できますね。よってEの問題文は○(今回の〔問 9〕の解答)となります。

結論として今回の〔問 9〕の解答は「E」となります。

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