第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 2〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 2〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)

〔問 2〕
雇用保険法第13条第2項に規定する特定理由離職者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、以下において、「基準日」とは当該受給資格に係る離職の日をいう。

A 特定理由離職者については、基準日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば、基準日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上なくても、他の要件をみたす限り、基本手当を受給することができる。

B 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者は、特定理由離職者に当たらない。

C 契約期間を1年とし、期間満了に当たり契約を更新する場合がある旨を定めた労働契約を、1回更新して2年間引き続き雇用された者が、再度の更新を希望したにもかかわらず、使用者が更新に合意しなかったため、契約期間の満了により離職した場合は、特定理由離職者に当たる。

D 基準日が平成21年3月31日から平成26年3月31日までの間である場合、特定理由離職者である受給資格者についてはすべて、基本手当の支給に当たり、特定受給資格者と同じ所定給付日数が適用される。(一部改正)

E 結婚に伴う住所の変更のため通勤が不可能になったことにより離職した者は、特定理由離職者に当たる。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

「特定理由離職者」とは、何のことでしょう。単純に言葉だけを見てみたら「特別の理由があって失業した人」ということぐらいは、社会保険労務士試験の勉強をしていなくても、予想はできるかもしれません。それでいいのです。特別の理由によって失業したという人のことですね。原則として、
(1)期間の定めのある契約で働いていたが、契約満了につき、本人はまだ働きたいと希望しているのに、契約打ち切り(雇い止め)として、契約更新されなかった人
が特定理由離職者となります。ただし、平成21年3月31日から平成26年3月31日までの間は、特例措置として「正当な理由による自己都合の退職」により失業状態となった人も「特定理由離職者」とするということになっています。あなたは次のように思うかも知れません。「えっ、スタートが3月31なのはなぜなの?普通きりよいところで、4月1日スタートで3月31日で終了、となっていないのはなぜ?」良いところに気が付きましたね。そのときの雇い止めのひどい状況が予想されたので、国会で討論するときに、「4月1日スタートとするよりも、3月31に雇用契約がきれるパターンが多く予想されるから、1日早く施行して3月31日スタートとしよう。そうすれば、3月31日に雇用契約がきれる多くの労働者がすくわれるのではないか。」という話し合いにより、珍しいパターンの3月31日スタートとなったのです。たまには、国会もまともなことをやりますね。この期間も最初は平成21年3月31日から平成24年3月31日までの期間だったのですが、改正法制定により平成21年3月31日から平成26年3月31日までとなりました。

今から、失業したときに生活費としてもらう「基本手当」の所定給付日数(あなたにはこれだけの日数分の生活費をあげますよという日数のことです)をわかりやすく示します。

普通に円満退職した場合は、

働き始めてから10年未満に辞めた失業者は「90日」
働いたのが10年以上20年未満の失業者は「120日」
働いたのが20年以上の失業者は「150日」分の基本手当(生活費)をもらうことが可能です。これらの人達は、いったん働くことをやめたけれども、まだ働きたいから、働くところがみつかるまでの生活費を雇用保険からあげましょう、という趣旨での基本手当(生活費)を法律で決められた日数(所定給付日数)だけもらうことができますね。

一例として、20年以上はたらいた人がやめた場合は、150日まで基本手当をもらえるはずですが、比較的早く再就職先が見つかって、働き始めたら、それ以降は「給料=賃金=報酬」などと呼ばれるお金をもらうはずですから、「基本手当」はもうもらえなくなりますね。たとえば、基本手当を56日分しかもらっていなくても、残りの94日分は「ないない」として、打ち切りになりますね。もともと、再就職するまでの生活費なのですから、「早く再就職できて良かったね」ということになりますね。本当に再就職を考えて退職した人は、一般的に早めに再就職することが多いですね。なぜならば、再就職するあてがなければ、わざわざ会社をやめるケースは少ないはずですからね。

それにたいして、リストラや倒産などで「やめたくないのに失業してしまった」というパターンはどうでしょうか。極端な話、昨日までは、失業することなどは、思っても見なかったのに、今日会社にきたら、「悪いけど君には辞めてもらうよ。というよりも、社員全員にやめてもらうよ。我が社は倒産するからね。」という事も、世の中には現実としてありますね。そういう失業の場合はどうなるのでしょう。たかだか100日前後で次の再就職先が見つかるでしょうか。若い人ならば、「独身だし給料は安くても良いから雇ってください」という具合に雇ってもらえるかもしれませんが、ある程度の年齢で子どもも大きくなっているので、ある程度の金額の給料がないとやっていけないねという人がおいそれと再就職先が見つかるでしょうか。世の中は、そんなにうまくできていないですね。ですから、「青天の霹靂(せいてんのへきれき)」というような状態の倒産やリストラなどにあって、失業した人達に関しては、再就職先を見つけるまでの基本手当(生活費)をもらう日数(所定給付日数)の数は、考慮されています。具体的には

特定受給資格者の所定給付日数

年齢20以上1020051001051年未満
60~6524021018015090
45~6033027024018090
35~452702401809090
30~352402101809090
30歳未満1801209090

の表の簡単な形を2分以内で書けるように8月の本試験までに100回でも200回でも書いて練習してください。この表の各省略語の意味は、「20以上」は算定基礎期間(離職の日以前の被保険者であった期間→働いていた期間のことです)が20年以上、という意味をあらわします。「1020」は算定基礎期間が10年以上20年未満を、「0510」は算定基礎期間が5年以上10年未満を、「0105」は算定基礎期間が1年以上5年未満を意味します。「240」「210」「180」「150」「90」はそれぞれ「基本手当をもらえる日数→所定給付日数」が240日、210日、180日、90日をあらわします。次の列からも同様です。

次にこの表の具体的な書き方を言います。
左側に上から「60~65」「45~60」「35~45」「30~35」「~35」と書いてください。それぞれの意味は、60歳以上65歳未満、45歳以上60歳未満、35歳以上45歳未満、30歳以上35歳未満、30歳未満となります。漢字を書いていたら時間がないので、数字と「~」という記号だけで書きます。次に「30~35」のすぐ右に「240」という数字を書いて、右斜め上方向にあと2つ連続で書いてください。そして、「~30」のすぐに右に「-」を書いてその右隣に「180」という数字を書きます。そしてすぐ右上に「180」と書いてその上にも「180」と書いてあとは、右斜め上に「180」で最後に左斜め上に「180」と書きます。ここまでで、あなたのノートには「240」が3箇所と「180」が5箇所書かれているはずです。それから、1番右の列には上からしたまで「90」と真ん中に一箇所わかるように書きます。今のあなたのノートには「240」と「180」と「90」という3種類の所定給付日数をあらわす数字がかかれているはずですね。次に「35~45」のすぐ右に「270」という数字を書いて、その右上にも「270」という数字を書いてください。そして「45~60」のすぐ右に「330」という数字を書いてください。ここまでで「240」「180」「90」「270」「330」の5種類の所定給付日数の数字をあなたは書いていますね。まだ書いていないところは一番上の「60~65」の列が「180」の一箇所だけしか書いていませんね。左に1つ移動する毎(ごと)に数字が30増えます。右に1つ移動する毎に数字が30減ります、というルールで書き込んでください。すると、180の左側に近い方から「210」「240」右側に「150」という数字が書けますね。「30~35」の列の240と180の間の空欄にはバランスをとって「210」を書き込んでください。そして「~30」の列の180の右側には「120」を書き込んでください。最後に残った3つの空欄には「90」と書き込んでください。

これで、倒産やリストラ(解雇)などにより、「青天の霹靂(せいてんのへきれき)」状態で失業した人に対する基本手当(生活費)を支給する所定給付日数の表ができあがりです。倒産やリストラ(解雇)などで、失業となった人のことを雇用保険法では「特定受給資格者」といいます。特別の理由で失業給付を受給するようになった人という意味です。

それに対して「特定理由離職者」とは、特別な理由で失業した人という意味ですが、この特別な理由というのは、一年契約や二年契約などで働いていた人が、「もっとこの会社で働きたいのです」と希望しても「ダメだ」と言って、契約の更新をしてもらえなかった人や、「体力不足、心身の障害、疾病、負傷、視力減退、聴力減退、触覚減退、妊娠、出産、育児、家族介護、配偶者との離婚や別居」などの正当な理由により離職した者、「結婚に伴い住所地が遠くなった、育児にともないその他の理由」で通勤不可能又は困難になったことにより離職した者のことを意味します。これらの離職者を「特定理由離職者」といい、特定受給資格者と同じだけの所定給付日数分の基本手当がもらえます。

最後に障害者等は、雇用保険法では、「就職困難者」といい、

就職困難者の所定給付日数

1年以上1年未満障害者等の就職困難者の算定基礎期間が
45~653601501年未満は一律150日で1年以上は
~4530015045歳以上か未満かで360か300と覚えます

のように算定基礎期間が1年以上であれば、45歳以上65歳未満の人は所定給付日数が360日、45歳未満の人は300日分の基本手当(生活費)がもらえます。1年未満の場合はいずれの年齢層の人も150日となります。

以上のイメージを頭に入れて実際の問題を見てみましょう。

Aの問題文は「受給資格要件」についてわかっていますか?という問題です。一般の受給資格者に関しては、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12箇月以上必要です。それは、離職すると言うことが自分でもわかっているという前提ですね。しかし、特定受給資格者や特定理由離職者に関して言えば、「青天の霹靂(せいてんのへきれき)」で急な離職を余儀なくされると言うことで、離職の日以前一年間に通算して6箇月以上の被保険者期間でOKですね。それは、青天の霹靂(せいてんのへきれき)ならば、12箇月も働くのは無理ではないかという配慮が働いているとイメージしてくださいね。ですから、Aは○(正答肢)となります。

Bの問題文は「労働条件が著しく相違したことにより離職」とありますね。これは「特定理由離職者」になりません。特定理由離職者とは「正当な理由による自己都合の離職」です。あなたは「えっ、それではかわいそうじゃないの?」と思うかもしれません。特定理由離職者とは、正当な理由による自己都合での離職です。今回の問題文の内容は、「明らかに使用者側の責任」らよる離職です。解雇と同じだと雇用保険法はとらえます。ですら、事業主側に全面的に責任がある「特定受給資格者」という扱いで、実際の基本手当(生活費)をもらう所定給付日数は同じですから安心してくださいね。よってBは○(正答肢)となります。

Cの問題文は「その通り」ですね。希望したのに契約更新をしてもらえかったという離職は「特定理由離職者」という扱いですね。よってCは○(正答肢)となります。

Dの問題文は「すべて」の単語で私は×(今回の〔問 2〕の解答)とします。もう少しきちんとした解説をすると特定理由離職者は、今回の最初に私が解説したように、「雇い止め」のパターンと「正当な理由退職」の2つありましたね。そして、後半の「正当な理由退職」は平成21年3月31日から平成24年3月31日限定の時限立法ですね。もちろん平成24年3月31日以降も状況が悪いと予想されたら、平成23年度の国会審議により、延長されると私は信じていますが、とりあえず今の段階では、この間の特別措置と言うことで、趣旨としては、「どうしても辞めざるを得ない理由により離職した」そして、本来ならば、離職以前2年間に通算して12箇月の被保険者期間が必要なのだけれども、通算して12箇月ない人を救ってあげよう、という趣旨がこの「正当な理由退職」での特定理由離職者でしたね。ですから、特にすくってあげなくても、本来の離職以前2年間に通算して12箇月の被保険者期間がある人は、「正当な理由退職」であっても、一般の受給資格者として失業給付つまり基本手当を受給できるので、特定理由離職者というあつかいにはなりません。離職以前2年間に通算して12箇月の被保険者期間がない人を救うために、離職以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月しかない人をすくう為にもうけた特別措置としての特定理由離職者という平成21年3月31日から平成24年3月31日までという時限措置(法改正により今は平成21年3月31日から平成26年3月31日までに変更)ですので・・・。よってきっちりと説明すると「すべて」ではなく、「離職の日以前1年間に通算して6箇月以上の被保険者期間を有していること」なおかつ「離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12箇月未満であること」というように「6~12箇月」という制限がつきます。よってDは×(今回の〔問 2〕の解答)となります。きっちりと考える人にとっては、難しかったかも知れませんね。私のように「すべて」は×と今までの経験から直感的に答える人の方が本試験本番では正解が導き出せるかも知れない問題の1つだと感じています。

Eの問題文は「その通り」ですね。よってEは○(正答肢)となります。

結論として今回の〔問 2〕の解答は「D」となります。

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