第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 3〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 〔問 3〕

第42回社会保険労務士試験の択一試験問題解説

雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)

〔問 3〕 基本手当の延長給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問において、「個別延長給付」とは雇用保険法附則第5条に規定する給付日数の延長に関する暫定措置に係る給付のことをいう。

A 訓練延長給付は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(その期間が2年を超えるものを除く。)を実際に受けている期間内の失業している日について、所定給付日数を超えて基本手当の支給を行うものであり、受給資格者が上記のような公共職業訓練等を受けるために待期している期間は、訓練延長給付の対象外である。

B 個別延長給付の日数は原則として60日であるが、基準日に30歳未満である受給資格者については30日となる。

C 広域延長給付及び全国延長給付における延長の限度は、いずれも90日である。

D 基準日において45歳未満である受給資格者が個別延長給付を受けるためには、厚生労働省令で定める基準に照らして雇用機会が不足していると認められる地域として厚生労働大臣が指定する地域内に居住していることが必要である。

E 個別延長給付の適用を受けることのできる受給資格者であっても、同時に訓練延長給付の対象となる場合には、まず訓練延長給付が行われ、それが終わった後でなければ、個別延長給付は行われない。

皆様、こんにちは。今回の解説をはじめさせていただきます。

「基本手当の延長給付」とは、何のことでしょう?という疑問に対する答えとしては、「なぜ延長しなければいけないのか?」ということをきっちり考えると答えが出てきます。本来は、基本手当という求職中の生活費をもらい続けながら、ハローワーク(公共職業安定所)などの力も借りながら、努力をしていれば、再就職できるはずです。雇用保険法は、そのための法律なのですから・・・。しかし、今は「不況」です。本人がいくら努力をしても、再就職できない場合があります。その場合には、「これだけ努力しているのに再就職できないのだから、もうすこし面倒をみてあげましょう」というのが「基本手当の延長給付」の趣旨です。ですから、「努力」をしている事が前提ですね。では、基本手当の延長給付とはどのようなものがあるのでしょう。 大きく「個別>広域>全国>訓練」の4つがあります。 そして、優先順位もこの順番です。 個別延長給付、広域延長給付、全国延長給付、訓練延長給付、という名称の延長給付なのですが、私は、順番の覚え方は「大きく訓練」で一発で覚えることができますね。 (1)個別延長給付は「その人」個人が対象の延長給付。 (2)広域延長給付は「兵庫県」または「近畿地方」というブロック内に住む人全員が対象の延長給付。 (3)全国延長給付は「日本」に住む人全員が対象の延長給付 (4)訓練延長給付は「公共職業安定所が指定した職業訓練」を受けている人が対象の延長給付

というものですから、最初の3つは小さい地域から大きな地域へ、そして最後だけ公共職業安定所が指定した公共職業訓練をうけている人が対象であるから、優先順位は覚えやすいですね。

では、中身をもう少しくわしく見ていきましょう。

「個別延長給付」とは、個人に対する延長給付です。

具体的には 「個別延長給付」とは、受給資格に係る離職の日または所定給付日数に相当する日数分の基本手当を受け終わる日が、平成21年3月31日以後である者について適用。受給資格に係る離職の日が平成24年3月31日以前である受給資格者(特定理由離職者である者および特定受給資格者に限る。)であって、次の①②のいずれかに該当する者については、受給期間内の失業している日について、所定給付日数を超えて、基本手当が支給される。だったのですが、離職の日が平成26年3月31日以前までと延長されました。こういう情報は厚生労働省のホームページに紹介されることが多いです。私は2013年6月11日現在では http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020ie1.html というURLで確認しました。

① 受給資格に係る離職の日において45歳未満である者または厚生労働大臣が指定する地域内に居住する者であって、公共職業安定所長が一定の基準に照らして就職が困難な者であると認めた者であること

② 上記①に掲げる者のほか、公共職業安定所長が一定の基準に照らして当該受給資格者の知識、技能、職業経験その他の実情を勘案して再就職のための支援を計画的に行う必要があると認めた者であること

つまり、

特定理由離職者か特定受給資格者で、平成21年3月31日に基本手当の所定給付日数分の支給終了日を迎える人から受給資格に係る離職日が平成24年3月31日(変更後平成26年3月31日)までの方が対象の暫定措置で、

1. 受給資格に係る離職日において45歳未満 2. 雇用機会が不足している地域として指定する地域に居住 3. 公共職業安定所で知識、技能、職業経験その他の実情を勘案して    再就職支援を計画的に行う必要があると認められた者

※ 厚生労働大臣の指定する地域は 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、新潟県、富山県、石川県、長野県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 (平成21年10月1日から適用)

→ 給付日数が60日分延長   (被保険者であった期間が通算して20年以上かつ所定給付日数が270日又は    330日である方は、30日分の延長)。

1及び2については、基本手当受給中に積極的かつ熱心に求職活動を行っている人が対象となるので、求人への応募回数等が少ない人や、やむを得ない理由がなく所定の失業認定日に来所しなかった人などは対象にならない。

となります。実際のお役所での扱いは、もう少しわかりやすく言えば、

(1) 受給資格に係る離職の日において45歳未満の方 (2) 雇用機会が不足する地域として指定された地域に居住する方 (3) 安定所長が再就職支援を計画的に行う必要があると認める方

となっていますし、この3つの覚え方で良いと思います。「45歳未満の人」「求人がない地域に住む人」「何か支援したらなあかと思われる人」ですね。これらの人は、「懸命に就職活動をしているのに報われない人達のことですね。」

だから、「個人」にたいしての「個別延長給付」という名目で原則として60日の基本手当(生活費)の日数が増えることになります。

2番目は「広域延長給付」です。これは、たとえば、「兵庫県」や「近畿地方」というブロックを指定する延長給付です。特に求人がなくなった地域に住む人達が90日を限度として基本手当(生活費)の所定給付日数が増えることになります。これは共職業安定所長(結局はハローワークのことですね)から、「広域職業紹介活動」を受けることが条件となります。1つの例えをあげると、「今兵庫県はどこもかしこも会社からの求人がないから、大阪府で仕事を探しなさい。遠いですね。でも、仕事はありますよ。遠いから、そこまでの旅費や宿泊費も出しますよ」という制度が「広域職業紹介活動」のことですね。

3番目は「全国延長給付」です。これは、日本全国の求人状況が非常に悪く、仕事が内という状態だと、厚生労働大臣が認めた場合に、日本に住む全ての受給資格者に基本手当(生活費)の所定給付日数が90日分一律に増やされることです。とはいっても、今まで「全国延長給付」が実行されたことはありませんし、今後も実行されることはないと私は思っています。でも、一応制度として法律上は規定されています。

最後に「訓練延長給付」で、これが実際に、適用されることが多い延長給付です。今現在、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練を受けている受給権者は、もともとあった基本手当(生活費)の所定給付日数がなくなっても、90日を限度に延長(増やしてあげますよ)という措置をとることです。

いずれも、懸命に求職活動をしているのに、就職できないのはかわいそうだから、もうすこし援助してあげましょう、という趣旨の「延長給付」ですね。そして、人によっては、複数の「延長給付」が重なる人がいます。その場合は、法律の一般法と特別法の関係と同じで、特に限定した範囲の延長給付が優先されます。だから、「個別」「広域」「全国」の順になり、最後は住んでいる地域と言うよりも、懸命に求職活動をしている人を救う、という広い範囲での「訓練延長給付」が1番最後になりますね。

では、具体的に問題文を見てみましょう。

Aの問題文は「待機している期間は、・・・対象外」とありますが、「公共職業安定所長が指示した」のだから、お役所で責任を持ってもらわないと困ります。公務員が民間人に指示した場合は、極力民間人に甘くなる、とイメージしていれば「ひっかけ問題」があっても大丈夫です。「公共職業安定所長が指示した」公共職業訓練を受けている、または待機中ということは、その人は公共職業安定所長が認めた人、となります。認めていなければ「公共職業訓練」を受けさせてもらえません。「お金を払って民間の訓練をうけなさい」と言われるのが現実です。ということは、もちろん、訓練延長給付は90日までもらえますね。よってAは×(誤答肢)となります。

Bの問題文は「えっ、そんなことはどこにも書いていないよ」となりますね。よってBは即時判断で×(誤答肢)となります。

Cの問題文は「その通り」ですね。「延長給付」の日数について再確認すると、個別だけが60日(または30日)、で残りはすべて90日、つまり、広域、全国、訓練の3つが90日がそれぞれ限度でしたね。だからCは○(今回の〔問 3〕の解答)になります。

Dの問題文は「引っかけ問題」ですね。個別延長給付は「45歳未満」「求人がない地域」「再就職支援」のいずれかでしたね。もう一度お役所マニュアルをご紹介すると、

(1) 受給資格に係る離職の日において45歳未満の方 (2) 雇用機会が不足する地域として指定された地域に居住する方 (3) 安定所長が再就職支援を計画的に行う必要があると認める方

のいずれかに該当すれば「個別延長給付」がもらえますね。 ですから、今回のDの問題文中では、上の(1)(2)の2つ共必要としている文章ですから、「そりゃあ、あんた厳しすぎるよぉ」ということで、×(誤答肢)となります。

Eの問題文は、「無茶苦茶」ですね。個別広域全国訓練の順になっていないので、即時に判断して×(誤答肢)となります。

結論として今回の〔問 3〕の解答は「C」となります。

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